島村鬱月が書いたSS #1

鬱病
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ルーミア厨 @moudameder

「みくは彼氏いるから中出しだめにゃ!」 「みくは、みくは彼氏彼氏彼氏彼彼彼彼彼彼中中中中中だめだめだめみく彼氏中みく彼彼彼氏中みく彼彼……」 「……みくの様態に、何か変化はありましたか」 「……いいえ、残念ながら。ただ……昨日行われた催眠療法で、少しだけ糸口が……」 「!」

2018-09-07 12:34:01
ルーミア厨 @moudameder

「なにが、なにが分かったんですか、教えてください!……守秘義務とかに、触れなければ、ですけど」 「それは出来ません。……しかし多田さんは毎日のように前川さんのお見舞いに来てくださっています。少しくらい感傷に浸ってつい独り言を言ってしまうことはあるかもしれませんね」

2018-09-07 12:36:03
ルーミア厨 @moudameder

「……感傷に浸る前に、多田さん」 「……はい」 「前川さんが『彼氏』と呼んでいた方について、何か心当たりはありますか」 「(ギリッ)……、いえ」 「……そうですか。それでは、その場に立ってご退出ください」 「……」 「……ああ、こんなことが起こるなんて……」

2018-09-07 12:38:40
ルーミア厨 @moudameder

「……前川みくさんの精神が崩壊した原因は、彼女がレイプされたことにはありませんでした。ましてや中に出されたからでもない。催眠状態の中で、彼女はそう語りました。ただ……驚くべきことに、彼女は同性愛者だったのです」 「!」 「彼女の繰り返すうわ言から、医師も全く予想しなかった事でした」

2018-09-07 12:41:04
ルーミア厨 @moudameder

「彼女は、レイプされるその腕を必死で振り払おうとした瞬間、焦りに任せて『彼氏』と口走ってしまったそうなのです。それが彼女の心を酷く傷つけました。彼女が誰か他の女性を愛していることに疑いはありませんでした。それなのに心の奥底で『彼氏』という言葉を発してしまったのです」

2018-09-07 12:43:35
ルーミア厨 @moudameder

「前川さんは、自分が今まさに強姦されようとしているというのに、その場で硬直し、次に無抵抗になりました。警察が発見した時に不思議なくらい抵抗の後がなかった理由がここで分かりました。」

2018-09-07 12:46:36
ルーミア厨 @moudameder

「前川さんにとって他ならぬその言葉が自分の口から発せられたということは心の基盤を根底から揺るがすくらいショックだったのです。『もう顔向けできないにゃ』『今度こそ本当に解散だにゃ……たはは』『みくは結局利用していただけだったのにゃ』……そんな事を繰り返して、催眠状態から覚めました」

2018-09-07 12:49:31
ルーミア厨 @moudameder

「……悲劇的な話です。緊急事態にあって発せられたたった一言が、彼女をあそこまで壊してしまうなんて。……ああ、口が滑り過ぎました。お帰りはお気をつけて……あれ?多田さん?多田李衣菜さん?どちらに……」

2018-09-07 12:52:04
ルーミア厨 @moudameder

「……みく」 「みくが私を彼女だと思っていようと、彼氏だと思っていようと、あるいはそのどちらでもなかろうと」 「そんなどうでもいいこと、私が気にするわけ無いだろ」 「本当に解散じゃねえか」 「この……大馬鹿野郎」 嗚咽と涙が病院の屋上で吹きすさぶ風よりもずっと大きな音を立てていた。

2018-09-07 12:55:03