掌小説語り~自作つぃのべる集~44

自作つぃのべるのまとめです。 2016年12月分。
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リュカ @ryuka511

決して順風満帆な歩みでは無かったが、着実に理想とする王国に近付いていた。側近は皆信用に値する有能な者達だった。ずっと側に有った邪心にもっと早く気付いていれば、防げた事態だったはず。刺された胸。邪心など簡単に看破できると思っていた甘い私に、王の資質は無いのだろう。 #twnovel

2016-12-27 01:03:30
リュカ @ryuka511

「貴方は変わらないわね」私を抱き寄せるカラリと痩せた腕の主は穏やかに笑う。その笑顔は皺こそ増えど昔より美しい。これが歳を重ねるという事か。機械の私にはよく解らない。主の手に触れようと挙げた腕が軋む事に気付いた。これは、主と同じく歳を重ねた、と考えていいのだろうか #twnovel

2016-12-28 01:34:54
リュカ @ryuka511

「さぁ、我に屈せよ」魔物を従え騎士は戦場を駆けた。血を浴びた鎧は凶々しく輝く。全てを我が手に、そうすればあの人は自分だけを見てくれる。そうでしょう?愛しい人。自分を愛する恋人の姿を想い描き、騎士は戦場を駆ける。浴びる血が敵のものか自分のものか解らなくなっても。 #twnovel

2016-12-29 00:45:52
リュカ @ryuka511

魔王軍との戦いが終わった世の中で、戦闘用魔法しか使えない魔法使いに存在意義はあるだろうか。せめて治癒魔法が使えれば生きる道はあるのに。かすり傷一つ治せず、腹が減ってもご飯はだせない。出来るのは、敵を傷つけ殲滅するだけ。生ける武器は、平和な世界に存在してはならない #twnovel

2016-12-30 01:06:13
リュカ @ryuka511

政略結婚で嫁いだ家は、大きな不満は無かったがささやかな幸せも無かった。私も夫も、ただ家の為だけに存在し子供をつくった。嫁いでから数十年後、夫が病死した。家中の者に看取られ穏やかに逝った。私は静かに泣いていた。愛していなかったのに、どうして彼の死は悲しいのだろう #twnovel

2016-12-30 23:55:38
リュカ @ryuka511

同じ道を行くのはここまで。再会の約束なんてしないから、互いに旅の目的を果たせるようにと祈り別れた。旅の空の下、約束なんか無くてもまた会える気がしたから。約束に縛られた再会なんて必然みたいで、旅人には似合わない。また会えた時に、喜びの報告が出来るように生きるのみだ #twnovel

2016-12-31 23:57:57