40代のオッサン（独身貴族）とJKがどちゃくそ恋愛してセックスする話

帽子男 @alkali_acid

そのまま地面に飛び降りた。 「ほぎゃああ！？」 JKの悲鳴を意に介さず、鮮やかな着地を決めると、さっさと二本足で立たせ、またカラスの肉に戻る。

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よく焼けたところで、籠手をはめた指が肉を裂き、息をふきかけてから、差し出してくる。 「あ、いらないです…ごめんなさいむりです…」 あとずさりながら拒むハルミに、怪人はまた三つ目を瞬かせてから自分でむしゃむしゃ食べ出す。すごい勢い。 「あわわわわ…」

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食事が終わると、怪人はじっと女子高生を見つめて、やおらそばに置いていた長いもの、どうやら剣みたいな何かを、抜き払い、突きつけた。 「ひぎゃぴ！？ご、ごめんなさあああい！？」 三つ目男は何か和音で喋ってから、今度は刀身の中ほどをにぎっておのれに向ける。 そうして何かまた言う。

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「…え？あーあ？え？」 ぜんぜん分からない。だが怪人は辛抱強く似たような剣を使った動きを繰り返す。 「あ！し、質問？質問してる？わ、わたし、タナベハルミっていいます、あのミズシマ商業の一年で…えっと…えっと、タナベ、あ、いやハルミ！ハルミです！」 微妙な反応。

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「ハ、ハルミ、ハルミハルミ！…ハルミ！」 助かりたい一心で質問に答えようとするJK。三つ目男はしばらく口をもごつかせてから、やがて剣を向けて答える。 「ハルミ！」 「い、イエス…アイアム、ハルミ…」 小声でしかもなぜか英語で返事をしてから、気力を使い果たしてしゃがむハルミ。

帽子男 @alkali_acid

どっと疲れが出て震えだす。 「うう…」 「…ゥ…モン」 「…ごめんなさい…許して…ごめ」 「ウ…モン…」 「えっ？」 涙ぐみながら見上げると、怪人は刃を己に向けながら繰り返し喋っている。和音が単音に収斂して、聞き取りやすくなっている。

帽子男 @alkali_acid

「ウモン！なまえ？ユーアーウモン？」 「ウ…モ…ン」 「は、ハルミ！ハルミハルミ！」 必死におのれを指さして名前を連呼するJK。同じく繰り返す緑肌三つ目男。 食い散らかしたカラスのそばで謎の対話が成立しようとしていた。

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◆◆◆◆ ウモンは、十代JKのハルミからすると信じられない速度で言葉を学んでいった。初日でカタコトが喋れるようになり、二日目にはてにをはも使いこなすようになっていた。 「え、じゃあウモンさん四十二なんですか…おっさんじゃないですか」 「太陽。大地。回る。四、十、二」

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「それで独身？で貴族？」 「独身。貴族。戦い、誓い。家族」 「はあ…」 色々分からないことも多いが、四十代のオッサンで独身貴族らしいとは伝わった。四十代の割にはとても元気だ。よくカラスとかアライグマとかをとってきて食べてる。初日の夜にめちゃめちゃ腹を壊してもがき苦しんでたが。

帽子男 @alkali_acid

一回すごい下痢をしたっぽいのに治ったら平気でまた食べている。 ハルミには自然薯を掘ってきてくれた。イノシシが食べようとしていたらしい。まあまあいける。 「あのう…私、町に…あ、でも…」 「町」 「町に帰ろうかなって…あ、そうだ…えっと…でも…」

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JKは言いよどむ。そしてどうせ分からないだろうと思って一気にまくしたてる。 「わ、私、あの…帰りたいんですけど！ゆ、誘拐されてて！それで！」 「誘拐」 「誘拐。ええとつまり」 身振り手振りで説明。ウモンは三つの眼を瞬かせる。 「誘拐」 「はい」 「町」 「帰りたいです」

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「ウモン。帰りたい」 四十代のオッサンは告げて、空を見上げた。 ハルミは思わずつられて一緒にあおぐ。 「ウモンさんも帰りたいんですか…自分の星に…」 「帰りたい。戦い。家族」 「そう、ですよね…」

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「ハルミ。帰りたい」 騎士はうなずいて、立ち上がった。 「行く」 「あ、はい」 JKは立ち上がってちょっとふらつく。オッサンが手をとり、導く。 「ど、どうも」 「距離。太陽。昼、から夜」 「はい…えっと、はい？」

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二人は山の中を歩いていく。ウモンはやぶもガラ場もものともしない。 邪魔な灌木や蔦があれば剣をふるってあっさり斬り倒す。 越えられない谷はハルミを抱えてひょいとわたってしまう。 「すごい…」 「独身貴族」 「独身貴族ってすごいですね」 「戦い。家族」 「あ、戦って家族を守る？」

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恐ろしい距離を移動して、日が暮れるころ、舗装道路に出る。 「ありがとうございました」 「ハルミ。帰りたい」 「帰ります」 「ウモン。帰りたい」 「あ…帰れるといいですね…」 「帰りたい」 JKが手を振ると、騎士は剣を振り返して茂みに消える。 「はー…これでよかったのかな」

帽子男 @alkali_acid

「ウモンさんも一緒に来た方がよかったかな…分かんない…」 悩みながら道をくだっていく。どのくらいで町につくのか。車は通るだろうか。警察は近くにいるのだろうか。せめて携帯電話があればなと思う。でも歩くしかない。

帽子男 @alkali_acid

クラクション。気づくといつのまにか後ろにワンボックスカー。消音改造したハイブリッド車だけど、そういうことはJKは知らん。 「わ！？」 「どうしたのこんなところで」 中から二人組の若い男性。

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「あ、わ、わたし！ゆう…遭難して！け、警察に電話し…」 「警察？まじ？てか君なんかくさくない？」 「え…えっ…えっと」 縮みあがるJK。若い男達はぺちゃくちゃおしゃべり。 「まあいいや。お前、携帯貸してやれよ」 「やだよ汚れんじゃん。お前が貸せよ」 「俺もやだし」

帽子男 @alkali_acid

「あの…私…これで」 「まあいいや、警察すぐそこだから乗ってけば？」 「そうそう」 「え、いいです…」 扉が開いて降りて来る。 「早く乗りなよ」 「せっかく止まってあげてんだからさあ」 「ごめ…ごめんなさい」 「謝るぐらいなら乗れよ」

帽子男 @alkali_acid

ほとんど無理矢理ひっぱりこまれる。 「…あの…」 「きったねーくっせー…でもよく見たらかわいいじゃん」 「ぷっ、お前そういうの好みなの」 「あたりまえじゃーん」

帽子男 @alkali_acid

男達がにやつく。ぞくっとして逃げようとするが肩を抑えられるハルミ。 「ミズシマ商業一年B組のタナベハルミちゃん。だよねえ？」 「なん…で…」 「逃げちゃだめじゃん。トラック事故ったぐらいでさー」 「ひっ…」 「絶対このへんうろうろしてると思って探してたんだよずっと」

帽子男 @alkali_acid

ぶるぶる震えがくるJK。 「やだ…許して…許して下さい…」 「いやーおしおきだわ。勝手に逃げたのまじむかついたし…うちらの仲間大けがしたのに見捨てたっしょ？」 「知らな…知らない…許して…」 「許さねえつってんだろ死にてえのか？ああ？」 胸を握りつぶすようにして揉んでくる。

帽子男 @alkali_acid

「ごめんなさい…ごめんなさい…許して下さい」 「そんなに許して欲しい？」 「許して下さい」 「じゃあさ、この薬飲んで」 錠剤。やばそう。 「いや…」 涙ぐんで首を振る女子高生。男達は頬をはたいて来る。 「殺すぞ」 「…飲みます…飲みます」

帽子男 @alkali_acid

げらげら笑う男達。 「ハルミちゃんさあ。一応いっとくけど、お前ん家、親が離婚してウツ病でしょ」 「ぇっ…なんで…」 「誰も助けてくんないよな。通報もしねえって。したとしても家出扱いっしょ」 「やだ…なんで…」 「今さあ、そういうのネットですぐシェアされんだわ」 「っ…」

帽子男 @alkali_acid

男達がまた笑う。 「おい、まじびびってるよこいつ！おい漏らしたら殺すからな！」 「なんで…なんで…」 「あー個人情報？どうせ学校で恨まれてんじゃねえのお前。友達いなそーだしさあ」 ハルミの脳裏に、仲の悪い担任の女性教員のことが浮かぶ。でもまさかそんな。