編集部イチオシ

cdbさんの映画版「響」感想

「響」原作がどうにも好きになれなかったのだけれど、この人の解釈を聞いてもう一回読んでみようかなって気持ちになりました。 これが正解だとは思ってなくて他にも解釈の余地有ると思いますが、私はこの感想好きです。
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CDB@初書籍発売中! @C4Dbeginner

だからこの映画は「響という天才作家が現れたから他の作家はもういらない、響だけ読んでいればいい」というカリスマの物語ではないんですよね。響は既存の作家たちに「あっ誰々(呼び捨て)、あなたの小説好き、握手して」と、まるでファンダムの少女のように駆け寄っては嬉しそうに自分の手を見つめる

2018-09-22 08:02:34
CDB@初書籍発売中! @C4Dbeginner

文芸部の凛夏とのシーンも、それまで褒めていた彼女の小説を「つまらなかった」と言い切って平手で殴り合う場面は、軽蔑ではなく、凛夏が自分の文章を捨てたことに怒っている。凛夏はやがて初期衝動を取り戻し再び書き始め、響は「おかえり」と微笑む。作家をして再び書かしめる批評家として響がいる。

2018-09-22 08:09:14
CDB@初書籍発売中! @C4Dbeginner

だから月川翔監督の『響』は、モーツアルト的な天才を崇拝する映画ではなく、響というモーツァルトが周囲のサリエリたちに初期衝動を吹き込む映画になっているんですよね。天才でありたいという十代の欲望をすくい上げつつ、天才でなくてもいい、情熱のまま書けばいいというエンパワメントになっている

2018-09-22 08:20:49
CDB@初書籍発売中! @C4Dbeginner

だから響の文学観というのは、アカデミズムやエリート主義的なものではなく、尾崎豊ではなくヒロトやマーシーがロックンロールを愛する感覚に近いと思うんですよね。教室でホウキをギターの代わりにして歌う、それがロックだというヒロトと同じように、響は凜夏の稚拙な小説の中にも初期衝動を見る

2018-09-22 08:35:03
CDB@初書籍発売中! @C4Dbeginner

古今東西の小説をブートレグを聴き漁るように読み耽る響は、メディアが持て囃す人気作家の中にも耐え難い退廃を見るし、売れず賞も取れず自殺しようとする作家の小説にも砂金のように輝く文学の欠片を見る。そういうアナーキーでロックンロールな文学少女を平手友梨奈が本当に魅力的に演じていると思う

2018-09-22 08:40:13
須藤玲司 @LazyWorkz

cdb先生の『響-HIBIKI-』評、さすが。 平手友梨奈ってたまに歌とか歌ったりする人だと最近知りましたが、原作の響よりもサヴァン症候群っぽさを強めに出したうえ、憧れの作家との握手を大切にする純粋な文学読者という面を強調し、ケリも重く、原作の響よりもむしろこちらのほうが響だという好演です。 twitter.com/C4Dbeginner/st…

2018-09-22 10:23:32
CDB@初書籍発売中! @C4Dbeginner

映画『響 -HIBIKI-』感想。ある特殊な人物像を演じることに特化した役者を「性格俳優」と呼ぶのだけど、平手友梨奈には間違いなく「性格女優」としての資質はあると思う。私見を挙げれば、庵野秀明という映画監督はたぶんこの子の演技をすごく欲しがる。彼女だけ庵野映画のリズムで呼吸し演技している

2018-09-21 23:54:49
須藤玲司 @LazyWorkz

そしてこの感想は『響 -HIBIKI-』を観た直後に書こうとしたのですが、サヴァン症候群という言葉を思い出せず、もっと公の場で発表しにくいちょっとアレな単語しか浮かばなかったので、けっきょくめがねっこの話しかしなかったのでした。 twitter.com/LazyWorkz/stat…

2018-09-22 10:30:00
須藤玲司 @LazyWorkz

『響 -HIBIKI-』鑑賞。 漫画実写化としてほぼ完璧。平手友梨奈って誰だか知りませんが、めがねっこ映画としても傑作です。 原作は作者の画力の問題で、見せ場の暴力が弱いんですが、実写は響の暴力のヤバさもきっちり表現してます。 編集者に褒められたときの最初のデレっぷりがキュート。つんつん。 pic.twitter.com/Etl40iSJ1n

2018-09-15 23:10:34
CDB@初書籍発売中! @C4Dbeginner

映画『響』のキャスティングで面白いのは、小栗旬、柳楽優弥、北川景子という大人組キャスト、これみんな平手ちゃんと同じくかつて若きカリスマとしてメディアに騒がれた人たちなんですよね。小栗旬は若くして名を成し、柳楽優弥は14歳で史上最年少カンヌ男優賞、北川景子はミスセヴンティーンモデル。

2018-09-22 21:52:40
CDB@初書籍発売中! @C4Dbeginner

この大人組キャストは映画の中では響の若い才能に圧倒される大人たちを演じるのだけど(そしてその演技はとても素晴らしい。踏切の小栗旬、ホームの柳楽優弥!)一方で先輩俳優としては、平手友梨奈という人の今立っている場所の辛さ、プレッシャーの大変さをよく知っている人たちなのではないかと思う

2018-09-22 21:57:06
CDB@初書籍発売中! @C4Dbeginner

『響』のドキュメントで小栗旬が「色々なものを背負いながら頑張っている。単純にすげえな、俺が十代の頃は浮き足だってたのになあ」と語ったり、平手ちゃんと毎日連絡しているという北川景子が舞台挨拶で「公開できて本人のためにも良かった」という言葉を残して涙したり、色々あったんだろうなと思う

2018-09-22 22:02:02
CDB@初書籍発売中! @C4Dbeginner

柳楽優弥氏も、本人が語っているけど十代後半から「カンヌ最年少受賞」のプレッシャーが重くなって、俳優活動から離れていた時期があった。ガソリンスタンドで洗車をしたり飲食店でバイトをしていた。そういう経験のある先輩たちと仕事で交流が持てたのは、平手友梨奈さんにとって良かったのではと思う

2018-09-22 22:07:57
CDB@初書籍発売中! @C4Dbeginner

かつてカリスマだった先輩たちが、新しい世代の平手ちゃんに遺憾なくぶっ飛ばされる役を熱演するのっていいなと思ったんですよね。先輩ってそういうもんだよなという。北村有起哉さんはすげえ嬉しそうに蹴られてましたけどね。欅坂シングルの平手友梨奈回し蹴り券を買ってんじゃねえかというくらいに。

2018-09-22 22:15:34
CDB@初書籍発売中! @C4Dbeginner

平手さんが色んなインタビューで「響でいることは生きやすかった、心地よかった」と語っていて、(映画初主演の新人女優のコメントとしては空前絶後だと思うけど)、確かにそういう演技になっていたし、予告編の印象よりずっとヒューマンな、文学と人間への愛がある映画になっていたと思うんですよね。

2018-09-22 22:27:36
CDB@初書籍発売中! @C4Dbeginner

「社会を破壊するのが文学でありアートだ」というある意味で酒鬼薔薇聖斗的な陳腐でイージーな文学観をちゃんと退けながら、その一方でやっぱり響という子は怪物なんだ、善か悪かを決めることはできない、ポリティカルコレクトな存在ではないんだという描き方で、ちゃんと文学映画になってるんですよ。

2018-09-22 22:31:37
CDB@初書籍発売中! @C4Dbeginner

なのでぶっちゃけ月川翔監督すごいと思うし、監督自身「よく俺、この題材をこのキャストで商業映画に着地させて公開にこぎ着けたわ。俺以外誰もできねえわ」と思ってるのでは。記事で「初めて恩師の黒沢清さんに手紙を書いてチケットを送った」と語ってたけど、会心作だと思うnatalie.mu/eiga/pp/hibiki…

2018-09-22 22:41:13
CDB@初書籍発売中! @C4Dbeginner

原作漫画の『響』も本質的には熱い漫画だと思うんですよね。あれは編集部側の「なろう小説家を無双マーケティングしよう」という企画を漫画家の力業であそこまで持って行った作品だと思っていて、響が凜夏に「編集者のせいにするな、書くのも責任取るのもお前なんだ」と語るのは作者の決意表明だと思う

2018-09-22 23:12:50
Yさん @U_mayu_B

某映画レビューサイトに平手友梨奈ちゃんの響の演技について長々投稿したんだが(笑)こちらの意見と少し被っていた。平手友梨奈版響には原作とは違った生きづらさや切実さがあって一人とてもリアルだった。彼女の芝居が評価されないのはもったいないので少しでも売上に貢献するために珍しく自己開示。 twitter.com/C4Dbeginner/st…

2018-09-24 07:43:21
Yさん @U_mayu_B

元々平手友梨奈ちゃんの表現は好きだけど、映画で主演で主題歌で…はどうなんだろうと思っていたし、映画も演技もガッカリ覚悟で観に行ったんだけど、彼女の響としての感情表現が歌含めて何というかすごく的確で本物で、生きづらくてもがいていた頃の自分と重なる部分もあり、あ、これは良いと思った。

2018-09-24 07:51:19