「書物についての書物」がたどりつく“真実”は何か――。「100分de名著」ウンベルト・エーコ「薔薇の名前」。(補足を追加。)

これは解説についての解説だ。ネタバレ注意、当然のことながら。  誤記を修正。補足も追加。
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イヌノオー@ @inunohibi

そこでドイルは的外れな「推理」を披露して(後で別の犯人がわかったりする)、「探偵小説の作者が名探偵ではない」という今となっては当たり前のことを認識させた。

2018-09-25 22:29:43
イヌノオー@ @inunohibi

(より深刻で最近の話としては、「特捜検察のエース」が証拠を改ざんしていた冤罪事件とか)

2018-09-25 22:30:49
イヌノオー@ @inunohibi

しかし、これらの記号論哲学的な結論を、クソ真面目に受け取る必要はないかもしれない。番組内で伊集院光氏も疑問を呈していたように、それこそが「笑い」を否定し、書物に毒を塗って封印していたホルヘ的態度かもしれない。

2018-09-25 22:35:43
イヌノオー@ @inunohibi

訳者が巻末の解説で注意を促しているように、「薔薇の名前」とは、すでにテーマにかかわる重大な内容がはしがきにふくまれている。

2018-09-25 22:38:22
イヌノオー@ @inunohibi

すなわち、この小説は作者エーコが本屋で見つけた翻訳本を基にしている(という設定)が、原本は確認できなかったし、存在していたかどうかも分からない。アリストテレス「詩学」第2部のように、本当に存在したかどうか分からない書物なのだ、と。(おわり)

2018-09-25 22:39:14

補足

イヌノオー@ @inunohibi

詳しくは実際に読んでもらった方が早いのだが、まずエーコが手に取ったのは、ラテン語で書かれた14世紀のアドソの手記を忠実に復元した1600年代のJ・マビヨン師なる人の版に基づいた、修道院長ヴァレなるものの手によるフランス語翻訳版である。

2018-09-26 13:41:56
イヌノオー@ @inunohibi

ところがエーコが訳文を書き溜めたノートとは別に、旅の途中の混乱で、ヴァレ版を「親しい人物」に持ち去られてしまった(詳細は不明)。そしてヴァレが一冊でも本を書いたという記録、修道院の印刷機すら確認できなかったが、

2018-09-26 13:42:16
イヌノオー@ @inunohibi

また全く別の本(これもまた、訳書で原本は不明)から、アドソの手記の引用を多数発見した。そのため、おそらくアドソの手記は実在したはずだ。

2018-09-26 13:42:29
イヌノオー@ @inunohibi

ただし、ヴァレ版は後年の知識に基づいた加筆修正も多い。・・・という恐ろしく込み入った設定になっている。

2018-09-26 13:42:47