脳科学者・茂木健一郎(@kenichiromogi)さんか語る 「福島」
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福島(1)ぼくの父の弟は、いわき市に住んでいる。大学を出たあと福島の会社に就職した。子どもの頃は浪江に住んでいて、時々遊びにでかけた。おじさんのアパートには長髪のおじさんの写真があって、昔はロックにかぶれていたと知った。
2011-04-24 07:25:22福島(2)おじさんの名前は「金太郎」。強くなるようにとつけられたらしい。子どもの頃、自分の名前がいやだった、とおじさんは言っていた。福島に住んでいたので、ぼくと妹は、おじさんのことを「福島のおじさん」と言っていた。
2011-04-24 07:26:49福島(3)「福島のおじさん」を訪ねて、毎年のように福島を訪れた。ある時、おじさんが、工場につれていってくれた。朝の敷地内を歩くと、街灯の下に虫がたくさん来ていた。アカアシクワガタや、タガメを生まれて初めてみた。うれしかった。
2011-04-24 07:27:55福島(4)「福島のおじさん」といっしょに、相馬野馬追を見にいったことがある。草原で待っていると、すごい数の馬が来た。武者たちが乗っている。地響きがすごかった。迫力があった。草むらを歩いていると、大きなジャノメチョウが飛び出した。
2011-04-24 07:29:33福島(5)おじさんと福島の旅館に泊まったときのこと。足の高い台で食事が出た。ぼくは当時小学校に上がる前。「わあ、お殿様の食事みたいだ」とよろこんだ。どこの旅館だったか、今ではわからないけれども。
2011-04-24 07:30:40福島(6)その後、おじさんは、いわき市に住むようになった。時々遊びにいった。ある時、ハワイアンセンターというのに行こう、と連れていってもらった。まるで熱帯のようで興奮した。ここは昔は炭坑だったんだよ、と言われて、不思議な気がした。
2011-04-24 07:32:07福島(7)「福島のおじさん」で始まった福島との縁は、その後もずっと続いた。三春町で子犬を見つけて、近所に聞いたけれども誰もわからず、仕方がないのでミルクをやりながら新幹線でつれて帰ったこともある。「チャー」という名前をつけて飼っていた。
2011-04-24 07:34:02福島(8)福島の印象は、大きな大地と、青い空。そして、さわやかな風。大らかで、やさしい人々。浜通り、中通り、会津とそれぞれの魅力がある。磐越西線で、郡山から会津に向かう車窓の光景が忘れられない。
2011-04-24 07:35:33福島(9)「福島のおじさん」は、今もいわきに住んでいる。おばさんが近くに入院していて、ぼくも時々お見舞いに行く。将棋が好きで、とても強いおじさん。子どもの時から、いろいろと教えてもらった。おじさんとまた将棋を指すことを楽しみにしている。
2011-04-24 07:39:04