呟怖と散文

晴れ時々雨 @rio11ruiagent

おいでって言ってくれたんだ。一緒にやろうって誘ってくれたんだ。だから知らなかった野球もスタメンに選ばれるようになったし、仲間もできた。ずっと見ていてくれると、なんの疑いも持たずにそう思ってたんだ。でも俺は中学生であの人は友達の母ちゃんだ。あのおっぱいに顔埋めて褒められたかった。

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今僕はカフェで、テーブルの上にこぼれたジンジャーエールを舐めている。 どちらかというと目立たないタイプで微かに目を細める表情が印象的だった。何にも染まっていない感じに惹かれた。時折僕の腕に付いた糸屑を拾いながらつねったりした。 彼女がひっくり返したグラスが転がっている。僕は抗えない

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ドアをノックするとビオラのような笑顔が出迎えた。途端に無愛想になる。さっきそこで営業の若い社員とすれ違った。きっと彼だと思ったんだろう。ご要件は、などと声色が堅い。彼女はビオラだ。パンジーより小さくぷりぷりしてかわいい。花言葉は誠実、そうね、おそらく自分の感情に誠実なんだろう。

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河っぺりで自分の膝に頬杖つきながら河童はため息をつく。ぬらりひょんは人間に見つかるなと言う。それがルールだと。わかっちゃいるけどつまらない。昔はよかった。河に来た馬をおどかして尻子玉抜いたり、傷薬をやって代わりに胡瓜もらったり。 人が来た「昨日の鬼太郎見た？」 これだもんなー #呟怖

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何もかもわかったような顔をして銃を突きつけてくる。うん、そんなような気はしてた。タイミングに驚いただけで裏切られたとは思わない。そうさ、俺たちは自由だ。どこでどんなことを誰としていても、受取りかたはみんな違う。それでも確かにあの一瞬だけは、同じ空気を吸ったんだ。 さあ、やってくれ

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私は諦めない そんなに難しいことじゃない だって自分で選んだことだから どんなときもそれを忘れずに 私は諦めずに立ち向かいたい #140字小説

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吐き気がする。雨の日の満員電車。たくさんの人の知らない匂い。臭い。ドアが開いてやっと解放される。重い足取りでなんとか会社にたどり着く。出社するだけで体力が奪われる。 エレベーターで二日酔いの上司と乗り合わせた。胃から朝食が込み上げる。もう気力もない。目が回る。 #詩人の本懐 目眩

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おまえをぶっ壊してやる おまえを作ってきたものをぶっ壊してやる いいか 覚悟は出来てるな？ 出来てないなら そこで一生混乱してろ #詩人の本懐 #詩 知り合う

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ベランダで洗濯物を干したあとそこで一服する。換気扇の下より気兼ねしないでいい。空しか見えないこの空間にわたしひとり。白い煙が流れて雲に混じる。 パーテーションの向こうから聞き慣れた音がした。しばらくして煙が流れてくる。プルタブを起こす音。喉が鳴る音。いいなぁ、お隣の旦那さんの一服

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素敵な靴を履いているね。君にとても似合ってる。あ、ちょっとこっち向いてご覧。襟が曲がってる。かわいいワンピースだ、刺繍がいい。胸に花がついてるね。とても手触りのいい生地だ。君のお母さんはとてもセンスがいいね。滑りが良くて、いつまでも触っていたいよ。 #140字小説 変態紳士 #官能工房

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陽が落ちて夜がやって来ると、街灯の灯りにほっとする。よく見えるようになる訳ではないが、並んで灯る電気の光が明るく感じる。 けれどひとつずつを見ると、周りの暗闇が深くなって電灯の古さが拡大されて、さっきより寂しくなる。灯りによってできた影が濃くなる。 辺りはやっぱり夜なのだ。

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許せないということがある。 許すとか許さないとか考えているときは、本当は許したい。でも癪にさわるから許さない。 許したほうが楽なのに。 自分だけが惨めな気がして許すことができない。 誰か神様みたいな人に許していいって言ってもらえたら。 たぶんそれは自分なんだろう。

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あたしを殺せるな、と思う。 彼にじゃれついて軽々とひっくり返されたりするとそう思う。 彼はあたしを殺そうとすれば簡単にできる。そんなことしないよと笑ってるけど、ただ漠然と死を感じた。 もし１００分の１、１０００分の１の可能性で彼があたしを殺すならそれも仕方ないなと思う。 いいよ、別に

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死ぬのかも知れない。急に腑に落ちた。俺は登山中、滑落した。崖の取っ掛かりになんとかへばり付いて生きている。突如風が吹き空の向こうから黄金の龍が翔んできて俺を背に乗せて大空を飛行した。さっきまでの気鬱さが嘘のようだった。龍は一周りすると普通に俺を崖に下ろし、飛び去っていった。 #呟怖

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孫を探しているんです。そうその老人は言って、観覧車に乗り込んでいった。俺と彼女は老人の後に乗ったがゴンドラ内の老人は窓の外を覗くでもなく静かに座っていた。それからは老人を見なかった。 帰りの駅のホームであの老人に出くわした。孫を探しているんです。彼女は少し険しい顔をしていた #呟怖

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望遠鏡を手に入れた。レベルが１上がったような気がする。月を見る予定だった。だったのだが弾みで斜め向かいのマンションの一室にピントがあった。そこにいる女は１２階という高さから無防備だった。夜専門だが何気に昼間覗いた。部屋に何か置いてある。瞬間閃光が走り目に衝撃が突き刺さった #呟怖

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あなたが好き。でもどこが好きかなんて聞かないで。答えられないから困る。笑顔かな、いや豪快なとこかな、優しいとこかな、アホなとこかもしれないし考えてもわからない。ただあなたを思い浮かべると微笑んでるわたしがいる。ここって言えないけど、大好きなんだよなぁ。考えてたら会いたくなっちゃう

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彼が眼鏡を外す。ネクタイを緩め髪を崩す。鳥肌が立つ。これからその手がこの体に触れることを想像すると興奮が止まらない。まだ誰も触れてないのに猛ってくる。 だめだ、それは僕にさせて。 はやる気持ちを抑え、静謐を楽しむ。彼のシャツのボタンを外すのは僕だ。 #官能工房 #官能小説 睦み合う

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ちょっと待ってくださいね、と女子社員が書類に手を伸ばす。スカートの裾が少し上がり、膝の裏がその１０センチ上まで露わになった。 膝の裏の血管が青く透け、その先を目で辿る。それは彼女の太腿に這い、小ぶりに締まった臀部に続く。尻に散りばった血管は女の秘蜜を吸って、私の鼻先へ匂いを届ける

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今日は店仕舞い。残りのマッチをすって遊ぶ。揺れる炎を見ていると群衆のざわめきや通りの喧騒も消えてゆく。 炎の中に一人の男の後ろ姿が見えた。生き物のようにしなる鞭を持ったその男の世界が少女を襲った。 あの湿った音が耳に蘇ると、少女の壺は蜜が溢れ、訳のわからぬ思いにに肌が粟立つのだった

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娘は幼い頃からよく笑う子だった。我が子ながらその可愛さが自慢だった。おどけた顔も、ふくれっ面も彼女のすべての表情を知っている。 けれど彼だと紹介されたその少年に向ける微笑みは、母の私ですら知らないものだった。 なによ。 笑いながら、胸の奥から湧き出てくる青白い塊を必死で押し殺した。

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世の中は年の瀬を迎え、人々の流れは途絶えない。小雪がちらつく黄昏時、少女はひとり、白い息を手にかけた。 「マッチをひとつ」 眼鏡をかけた紳士が少女に声をかけた。少女は透けるような手で紳士にマッチを渡しながら手袋の隙間を指でなぞった。 「こっち」 少女は建物の陰に男を引き込み、跪いた

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怪物がうおんうおんと地を震わせ泣いている。なぜ泣くのか問うと、一旦泣き止んで考え込んだ。はて、どうして俺は泣くのだろう？泣きたい気がする、とまた泣き出すので笑ってみろと言った。不思議そうな顔で一旦泣き止むと今度はぐひひぐひひと空が震える声を出した。さっきより不気味さを増した #呟怖

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公園でこの間の女の子を見かけた。目が合うとにやりと笑う。カチンときてるのにまた隣にやってきて僕の横顔をじっと見ている。女の子が何か言おうとして息を吸い込んだとき、僕は持っていたメロンソーダを口に含みその子の口に流し込んでやった。そのまま飲み込んでたけどびっくりしただろう。勝った