【書き起こし】「三大都市圏に大打撃?巨大台風で10m以上の浸水も~《高潮》そのリスクと必要な対策とは」片田敏孝×荻上チキ▼2018年10月2日(火)放送分(TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」22時~)#ss954
【書き起こし】「三大都市圏に大打撃?巨大台風で10m以上の浸水も~《高潮》そのリスクと必要な対策とは」片田敏孝×荻上チキ▼2018年10月2日(火)放送分(TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」22時~)#ss954 tbsradio.jp/298551 ※少々ケバ取り・整文あり これより連投。
2018-10-18 20:28:07南部広美さん:『伊勢湾台風などで大きな被害をもたらした高潮。そのリスクと、必要な対策とは』。台風による気圧の低下などによって、海面の水位が大きく上昇する現象、高潮。過去には4.5メートルも潮位が上昇したケースもあり、1934年の室戸台風や1959年の伊勢湾台風などで多数の死者を出したはか、
2018-10-18 20:28:08最近でも先月、関西国際空港などに浸水被害をもたらしました。今年8月には、東京都東部で大規模な水害が起きた際の対応を検討してきた「江東5区高域避難推進協議会」が、最悪のケースでは2週間以上浸水する地域が発生するとの想定を初めて公表。
2018-10-18 20:28:08また、東京都港湾局が今年3月に発表した「高潮による浸水想定区域図」によりますと、都内で想定される浸水の深さは最大で10メートルにも達するとされています。ここ数年、巨大台風や豪雨などの異常気象に伴い、被害の甚大化が懸念される高潮災害。
2018-10-18 20:28:09今夜は、まだまだ続く台風シーズンに、あらためて高潮のリスクを知り、必要な対策を考えます。では、今夜のゲストをご紹介します。東京大学大学院・特任教授の片田敏孝さんです。よろしくお願いいたします。 片田敏孝さん:よろしくお願いします。
2018-10-18 20:28:09南:片田さんのご専門は、災害社会工学です。群馬大学の教授、広域首都圏防災研究センターのセンター長などを経て、現在は東京大学大学院情報学科・総合防災情報研究センターの特任教授を務めていらっしゃいます。
2018-10-18 20:28:09荻上チキさん:片田さんといえば、釜石の奇跡として話題となった「津波てんでんこ」でそれぞれしっかりと避難すると同時に、自ら率先避難者となって周りの人たちを避難するというモードに促していこう、ということを地元の子どもたちに教育していたことがしっかりと伝わっていたということで、
2018-10-18 20:28:10とても注目を集めた訳ですけれども、やはり3.11以降、津波対策に対しては結構意識は強まってきたように思うんですが、高潮対策については今回あらためて「そうだな。そういったものもあるな」というふうに気づかされた方も多いと思うんですが、津波と高潮対策、そもそもの共有がされているかどうか、
2018-10-18 20:28:10片:そうですね、まずなんといっても津波は地震によって起こるということで、また被害も非常に大きくて、ある意味現象が非常に派手なものですから、社会的な注目も浴びますし、現に東日本大震災で、まさか日本であれだけの災害が起こると思いもしなかったことが起こったことで、
2018-10-18 20:28:11大変な社会的な注目を浴びましたね。そして日本の防災全体を考えても、どちらかというと地震というのが皆さんの恐怖心をあおっているというところもあると思うんですね。それに対して高潮というのは、主に台風や特に発達した低気圧などによって起こる、
2018-10-18 20:28:11どちらかというと気象災害という方になるわけですね。そうしますと、地震だと非常に怖いというイメージがあるんですけども、まあ台風も確かに怖いんですけども、「まあ家の中にいればなんとかなるや」とか、恐怖心のレベルにおいて少し違いがあるように思うんですね。
2018-10-18 20:28:11ただ、過去の災害を見ますと、高潮災害によって膨大な犠牲者が出ている事例が、過去何度もあります。特に1959年の伊勢湾台風ですね。これでは名古屋の近くで5千人を超す方が亡くなっているという状況もありましてね。特に最近、地球温暖化の影響で台風の巨大化が言われておりまして、
2018-10-18 20:28:12先般の21号台風も、またこの前の24号台風も大変大きな被害をもたらすんじゃないかということで、皆さん警戒モードに入ったわけなのですが、今また25号台風がなんと915ヘクトパスカルという、ものすごい大きなものとして今日本に迫ってきておりますね。
2018-10-18 20:28:12地球温暖化の影響で台風がこれだけ巨大化し、そしてその被害が各地で起こるようになってきた。こういう状況の中で、少し高潮についての関心の高まり、恐怖心の高まりはあると思うんですけども、まだまだ津波ほど高潮に対する理解というのか、
2018-10-18 20:32:55片:まず共通することは、「海からの洪水」というイメージなんですね。平たく言えば、普段見ている海の水面が上昇して、それが陸地に流れ込んでくる。こういう現象においては、津波も高潮も共通するところなのです。海からの洪水である、ということ。
2018-10-18 20:32:56そして違いは何かというと、津波は地震に由来するもの、高潮は低気圧やなによりも台風ですね、台風や発達した低気圧によって起こる。その違いが大きいわけですね。
2018-10-18 20:32:56荻:津波の場合だと、地震でプレートがずれてその勢いで揺れて、それによって波が発生してグッとやって来る、というイメージじゃないですか。台風だとやっぱり風なんですか?
2018-10-18 20:32:57片:そうなんですね。まず津波の場合は、海底で断層ができて、その分水面が上がって、それが伝わってくるというイメージなんですね。何よりも地震があって、というイメージがあるものですから、これから起こるんだというのは分かりやすいというところがあると思うんですね。
2018-10-18 20:32:57荻:地震があるとピピッピピッと鳴って、「この地震で津波の心配はありません」みたいな。ちょっと注目すると、その瞬間に答えが出るというイメージはありますね。
2018-10-18 20:32:58片:ありますね。まあそれほど簡単ではないんですけどね。ただ高潮の場合は、非常に難しい現象なんですね。台風とか発達した低気圧、こうなりますとまず基本的に風だけではないのです。共に低気圧ですよね。気圧が低いということは、ある意味海面を吸い上げるような効果があるんですよ。
2018-10-18 20:38:38加えて、特に湾形状になったような所、例えば東京湾とか伊勢湾とか大阪湾とかいう所には、台風の風によって海の水が吹き寄せられまして、湾奥で一挙に水位を上げて流れ込んでくるという状況があるんです。
2018-10-18 20:38:38ただ、現象として非常に難しいのは、今回の24号台風でも高潮の被害が予想されていましたよね。これがなかなかはっきり予測しきれない部分というのがあるんです。例えば、ちょっと東京湾を頭に浮かべてみてください。そこに台風が近寄ってきます。台風というのは、反時計方向に風が吹いていますよね。
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