あるローカル線での昼下がりのできごと

でんでん（職業アイドル） @de__n

利用してる路線が映画の舞台になって「ローカル線で繰り広げられる～」と紹介されてるのを見て初めて、ここがローカル線だということを知る。

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そのローカル線を利用してきた中で一番心に残ってるのは、ある昼下がりの出来事。

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先に乗り込んだ３人組の男子高校生の友達が、発車寸前になってホームへ続く階段を駆け下りてきた。車内から急げ急げと囃し立てる３人のもとへ彼が「セェーーフ！！」と叫んで駆け込むよりも、ドアが閉まるのが一足早かった。

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頭から突っ込んできた彼の顔面は、ガンッ！という音とともに、美しいと形容しても差し障り無いほど見事にドアに挟まり、宙に浮いている。首から下をホームに残したまま凍り付く彼。つられて凍りつく車内。一呼吸置いて気が触れたかのように笑い出す男子高校生たち。

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必死で笑いをこらえる他の乗客。異物に反応してわずかに開くドア。顔だけ引っこ抜いてホームに残ればいいのに、体を滑り込ませて乗り込んでくる挟まった彼。プルプル震えだす乗客。あろうことか私の向かいの席に座る彼。目をそらす私。目を合わせようとする彼。息詰まる攻防。

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友達も一緒になって目を合わせようとしてくる。何故だ！何故なんだ！今のめっちゃオモロかったやんな、と同意を求めてるのか！よそでやってくれ！！ていうかセーフちゃうやん！全然セーフちゃうやん！…という彼への突っ込みに耐え切れなくなって遂に噴出した私に、勝ち誇ったように笑ってみせる彼。

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「めっちゃ恥ずかしいわー」とか何とか言いながら全然視線を外してくれないので、結局、終点までニヤニヤ笑いあう羽目になった……という、その駅を通過するときいつも思い出す、とある昼下がりのお話。

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文章では上手く伝わらないと思うけど、ズダダダダダダダ…「セェーーーフ！！」→ガンッ！！…のスピード感がヤバかった。素晴らしいタイミングだった。あんなにセーフじゃないセーフは今後二度と見ることはないだろう。

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あと、彼の顔面の挟まり方が本当に芸術的だった。首で挟まってしまいそうなところなのに、きっちり両方の耳のラインで、地面と垂直で、計算したってあんな美しく挟まれない。きっと人生の中で彼が最も美しい瞬間だったはずだ。私は深夜に何言ってんだ。

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１postにまとめるつもりだったのにものすごく長くなってしまった。お騒がせしました＞＜

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他にも、開いたドアと一緒に手が戸袋に飲み込まれて、しかもそこが終点で、騒ぎになって駅員さんに救出されて、心優しい先輩が私の手を撫でながら「こんなに腫れて可哀想に」って言ってくれたんだけど別に腫れてなかったとか、そういう思い出が詰まった路線が映画になりました！見てね！『阪急電車』！