Affair Story -wct- 二章

とりあえず二章。後輩と出会った俺の独白と、次への繋ぎな感じ。何も考えずに書くと色々大変になると再確認。
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Affair Story @affair_story_s

家の中で寝転がりながら、俺は天井を見つめる。その模様に思考を這わせながら、考えるのは今日出会った少女の事。新しい、『見える』人間。そして、話すことによって分かった、自分と彼女の思考の違い。いや、思考というよりは――、「認識、か」 #as_wct

2011-04-22 23:38:46
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うん、と。認識の違いだ。事象達に対する、認識。言われるまで俺の中でも気づかなかったこと。それを当然だと思っていたこと。「俺にとってあいつらは、人間だったんだなぁ……」それを今日、認識させられた。そして、彼女は、後輩は、「人間とは思っていない」 #as_wct

2011-04-22 23:49:13
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事象は事象。その存在は、在る事を基本として、それを当然としている。つまり、彼女にとって、事象達はそこら辺に偏在する存在であり、見ようと思えば見えるが、意識しなければ見続ける事ができない存在でもあるわけだ。その点俺は、 #as_wct

2011-04-22 23:52:56
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「そこに居ると認識してしまえば、後は事象を人として見るからずっと見続けられる、ってことか」後輩には『風』と『音』が見えていた。彼女自身が、風に髪を揺らし、音を耳にしていたからだ。時間を気にした一瞬しか、『時』を認識することはできていなかった。 #as_wct

2011-04-22 23:54:33
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人として見ず、ただ、存在として感じているだけ。「……」胸に生じた感情に、いや、と俺は否定を入れる。それは、人それぞれの価値観だ。押し付けていいものではない。しかし、それでも、「あいつらは、人の形としてそこに居るのにな」在るのではなく、いるのだ。俺には、そう思える。 #as_wct

2011-04-23 23:48:28
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価値観。見方。それ次第だ。事象なんて訳の分からないものに人格を感じている俺がおかしいのかもしれない。幽霊のような不確かな存在を在るだけと感じる彼女の方が正しいのかもしれない。「あー……」思い至らなかった。俺も、『君』も、ずっと、あいつらと人として接していたから。 #as_wct

2011-04-23 23:50:33
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見え始めというのもあるかもしれない。俺の場合は、『時』がすぐに説明してくれたし、その態度で事象を感情のある存在として――人として思っていただけで。きっと、後輩もあいつらと接していくうちに、同じようになっていくだろう。「……まあ見えて意識し続ける必要があるけど」 #as_wct

2011-04-23 23:52:31
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慣れだ、慣れ。うん、と俺は頷いて身体を起こす。「なあ『音』、いる?」「ん? 何だ?」自分の声を聞きながら呼びかければ、すぐに『音』が俺の前に胡坐を掻いて現れた。相変わらず唐突だ。首を傾げてくる『音』に小さく笑い、「仲良くしろよ?」「ん? ああ、当り前じゃないか」 #as_wct

2011-04-24 22:59:14
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「――というか」『音』は心外だというように唇を尖らせ、目を細める。「私は君とも仲良くしたいと思っているのに、他人の事だけなのか?」「え? 仲いいじゃん」え、な、何でそこでダメだこいつみたいに呆れられた顔されるの!? やれやれ、と肩をすくめた『音』は笑顔になり、 #as_wct

2011-04-24 23:06:33
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「ああ、仲いいな。うん」「おい泣くぞ俺」「泣きたいのはこっちだよ……」『音』はもう一度肩をすくめて座りを正す。「ところで今日も想い人に会えなかったようだけど――」「いきなり路線変えていじめか? 本気で泣くぞ?」「はは、本気の音じゃないな」本気で泣きたくなってきた。 #as_wct

2011-04-24 23:16:03
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そんな俺を気にすることなく、『音』は俺の視界に顔を入れ、「冗談だ、許してくれ」ニカッと歯を見せて笑われては何も返せない。しかし癪だ。頭を掻いて俺は、「ふん!」「あいたぁ!」近づいていた『音』のデコに頭突きを一つ。「これで許してやろう」「ひ、ひどいじゃないかぁ!」 #as_wct

2011-04-25 23:30:42
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やかましい。俺は聞く耳を持たず『音』にお帰り願い、よっと立ち上がる。体をほぐして時計を見れば、もう寝てもいい時間。「寝るのかな?」「んー、どうしようか」当然のように現れた『時』に生返事を返し、「眠いなら寝るのが一番やよ」布団を敷いてくれる『睡魔』に肩を落とす。 #as_wct

2011-04-25 23:40:08
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「何か最近の俺、お前らに振り回されてないか?」「そんな事無いよ。あ、今日の夢はこれでいい?」本棚の方では『夢』が小説を取り出している。まだ寝るって決めてない筈なのになぁ。ともあれ確かに時間はちょうどよく布団で誘ってくる『睡魔』は魅力的で、「寝るか」意志弱いな、俺。 #as_wct

2011-04-25 23:45:50
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まあ早寝早起きで明日も歩きまわるっていうのも悪くない。うん、というかそれがいいな。明日も特に用事ないし、今日のリベンジという考えで行けばむしろアリだ。頷き俺はさっさと寝ようとして、しかし携帯が鳴ったので手に取る。「はい、もしもし?」「も、もしもし?」『雨』だ。 #as_wct

2011-04-26 23:42:22
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「よおどうした、久しぶりだな。最後に会ったのって花見の後お前が酔っ払って桜散らしたときだっけ?」「は、恥ずかしい思い出掘り返さないでよ!」耳元で怒鳴られ『音』に叩かれた。その目は意地悪はダメだと言っているように見えて、俺は分かったと目で返し、「で、どうしたんだ?」 #as_wct

2011-04-26 23:46:42
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「あ、うん。明日、そっち行くから」「……え?」受話器を耳にあてたままテレビをつければ、ちょうどやっていた天気予報で降水確率は90%と言っている。「マジ?」「何よその声。迷惑っていいたそうね」「あ、いや、迷惑じゃないけど明日は散歩したかったなーとか」「そ、それなら」 #as_wct

2011-04-26 23:49:59
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「ん?」問うた先、受話器の向こうで息を吸う音と雨音が聞こえる。「わ、私が一緒に散歩してあげてもいいわよ?」「ん? いや、いいよ。悪いし」「悪くないわよ!!」声と同時に『音』に腹を殴られた。い、今からだ浮いたぞ俺!? 膝をつきながら顔をあげれば冷たい目。 #as_wct

2011-04-27 23:04:39
Affair Story @affair_story_s

シャドーボクシングまでしてやがる。「ちょ、ちょっと待て『音』、お前さっきから何を」「別に。私は『雨』さんの音を体現しているだけです」つまりええと、酷いな『雨』! 「えーと、なんだ、その……散歩、するか?」「べ、別にあんたと散歩なんて」「どっちだよおまうをおお!!」 #as_wct

2011-04-27 23:07:36
Affair Story @affair_story_s

『音』の拳をかわし、俺は、「よし、明日散歩しよう。頼む。な?」「そ、そこまでいうならしょうがないわね」『雨』の声は穏やかに、『音』は拳を下ろして頷く。何なんだよいったい。溜息をつきながら、俺は布団に倒れ込む。そこに居た『睡魔』の膝を感じながら、「んじゃ、おやすみ」 #as_wct

2011-04-27 23:09:36