ドルフロ二次創作 #すちゃらかログ 『指揮官、誘拐される』

何の因果か、ドルフロ二次創作をはじめました。その割にドルフロ要素は薄いですが。基本的にすちゃらかどたばた、行き当たりばったり、はちゃめちゃです。お時間のある方、もしよろしかったら読んでいただけたら幸いです。(基本的に土曜日更新、随時Togetterでもまとめます) 12/31追記:完結いたしました。これまでおつきあいしてくださってありがとうございました。
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HK15 @hardboiledski45

指揮官はもはや怒る気力もなかった。こいつはとんでもないクソ野郎だ。おれに何をさせるつもりだ? いずれにせよろくでもないことに違いない。何と言うことだ! 「指揮官」IDWが言った。尋常ならぬ響きがあった。「もはやこれまでです。従うしかありません」

2018-10-23 21:33:29
HK15 @hardboiledski45

「何を言うんです!」指揮官は首を振ろうとした。できなかった。苦痛のあまり痙攣する。それでも言った。「まだ、あきらめては、いけませんっ!」 IDWは答えなかった。いきなりかれの上に覆い被さると、かれのズボンを引き下ろし……それから首を絞めはじめた。

2018-10-23 21:37:36
HK15 @hardboiledski45

「ぎええ」指揮官は白目をむき、痙攣した。こうされるのがお好きなんですよね! IDWの声が遠く聞こえる。ちがう。ちがう。それはちがう。ぼくはそんなマゾヒストでは。指揮官はそう言おうとしたが、声にならなかった。ますます首を絞める力は強くなった。目の前がどんどん暗くなる。

2018-10-23 21:40:53
HK15 @hardboiledski45

まるで水の中にいるようだ。声が遠く聞こえる。なに? 心臓が? 息をしてない? おいおい、IDW、おれは生きてる。生きてるよ。おーい。指揮官はそう言おうとした。 「少し静かにしていてください」IDWの声がやたらはっきり聞こえた。「お芝居ですよ。さあご一緒に」

2018-10-23 21:45:37
HK15 @hardboiledski45

「あっ」IDWは素っ頓狂な大声をあげた。「あっ。たいへんにゃ。指揮官。指揮官さーん。あっ。息してない。あっ」 指揮官は素早く対応した。白目をむき、泡を吹く。全身を脱力させた。オポッサムほどとはいわないが、なかなかの死にっぷりではなかろうか、と指揮官は思った。

2018-10-28 18:15:45
HK15 @hardboiledski45

「おーい! おーい! 指揮官さまー! だいじょーぶですかにゃーっ! おーい!」 IDWが耳元に口を近づけてすごい声で呼びかけてくる。途方もなくうるさい。指揮官は顔をしかめたり、笑い出したりしないよう努力した。 「指揮官ーっ!」 IDWが胸ぐらをひっつかみ、すごい勢いで頬をぶっ叩いた。

2018-10-28 18:19:01
HK15 @hardboiledski45

「オボッ」指揮官の首がねじれた。メキッと首の骨が鳴った。痛い。だが頑張って脱力演技を継続する。IDWは今度は反対側の頬を叩いた。指揮官の首は反対方向にねじれた。指揮官は根性を総動員してビンタに耐えた。くそ。おれはマゾヒストじゃないというのに。

2018-10-28 18:21:16
HK15 @hardboiledski45

『おい! こら! 何をやってる! プレイにしてはやりすぎだろう』クソ野郎の声が降ってくる。 「やりすぎたんですにゃーっ」IDWは悲痛な叫びをあげた。素晴らしい演技だ。本年度エミー賞をもらえるだろうと指揮官は思った。「息をしてないし、心臓も止まってますにゃーっ」

2018-10-28 18:24:01
HK15 @hardboiledski45

『なにい』クソ野郎はあわてたような声を出した。『クソッ。加減てのを考えろ! このバカエロ人形が』 「はやく、はやく、お医者さんを呼んでくださいにゃーっ。ああっ。冷たい。冷たくなってる」 IDWは指揮官の頬やら胸やらを高速でなで回しながらわめきまくった。

2018-10-28 18:26:53
HK15 @hardboiledski45

『くそ! 待ってろ。すぐ医者をやるから。ええいくそ。こんなバカだとは……』 ドタバタと扉の向こうが騒がしくなった。IDWは指揮官の耳元にそっと口を寄せた。押し殺した声でささやく。 「準備は」 「なんとか」指揮官はようよういった。

2018-10-28 18:28:59
HK15 @hardboiledski45

ギーッと扉が開く。複数の足音。 「どけ。ちょっと様子を見る」しわがれた声がした。誰かが指揮官の顔を覗き込んでいるようだ。指揮官はカッと目を開いた。頬のこけた、渋紙みたいな顔色の男が、びっくりしたように灰色の目を見開いていた。

2018-10-28 18:33:08
HK15 @hardboiledski45

指揮官はバネ仕掛けのように跳ね上がった。渋紙じじいの顔面にハレー彗星級の速度の頭突きをぶちかました。じじいはうめき声も上げずにのけぞり、ドサッと倒れた。 じじいの後ろに立っていたでかい影二つが近づいてきた。急いでいるようだが遅かった。

2018-10-28 18:35:20
HK15 @hardboiledski45

IDWがそいつらに飛びかかった。凄まじいハンマーパンチを機関銃そこのけの速度で続けざまに叩き込む。 バキ! ボキ! グキ! ゴキ! 男たちは血ヘドをぶちまけ、濡れた砂袋よろしくその場にくずおれた。

2018-10-28 18:40:34
HK15 @hardboiledski45

ナイスプレー! と声をかける間もなく、指揮官はがっしりした手に抑え込まれた。首を絞められる。IDWのそれに匹敵する勢いだ。たちまち目前が暗くなる。 「クソ野郎が」錆びた声が聞こえる。「こんなサル芝居で……」 これはおれの発案じゃない。指揮官は言おうとしたが、声にならなかった。

2018-10-28 18:44:32
HK15 @hardboiledski45

──幸い、指揮官は苦痛やら何やらに耐性がある。カリーナや他の戦術人形に日常的にしばかれまくっているし……それ以前も苦痛にまみれた生活を送っていたからだ。首を絞められたこと? 数え切れないほどある。だから指揮官はあわてなかった。背後めがけて肘打ちを思い切りぶちこんだ。

2018-10-28 18:46:27
HK15 @hardboiledski45

「グエッ」確かな手応えとともに、カエルの断末魔めいた声。指揮官は咆哮を上げ、さらに肘打ちを打ち込んだ。猛烈に身体をよじって暴れる。拘束を逃れた。相手の方を見る。男だった。背の丈は指揮官と大差ない。髪の毛はくすんだブロンドだ。

2018-10-28 18:53:07
HK15 @hardboiledski45

「野郎……」男は落ちくぼんだ目をぎらつかせて呻いた。「ふざけたまねをしやがって……」 「それはこっちのセリフだ」指揮官は言った。 ふたりは黙り込んだ。もう言葉は必要なかった。両者ともに身構え、お互いの隙をうかがう。一瞬が全てを決する……

2018-10-28 19:30:13
HK15 @hardboiledski45

「シイッ」ブロンド男が動いた。蛇のように腕がしなり、ぐうんと伸びてくる。指揮官は素早く腕を上げてブロックした。痛烈な衝撃。 「シャアッ」今度は蹴り。速い。指揮官は素早く後ろに飛んで避けた。距離をとる。再びにらみ合いだ。

2018-10-28 19:34:43
HK15 @hardboiledski45

こいつは何の使い手なのか? 指揮官は考えた。ボクシングではあるまい。レスリングでもない。カラテでもなさそうだ。どうも中国武術くさいが、細かな流派となると、指揮官にはさっぱりわからなかった。ブロンド男は奇妙にゆらめき、次の動きを読ませない。

2018-10-28 19:37:43
HK15 @hardboiledski45

さっきの肘打ちは効いているはずだ。指揮官は考えた。しかし、骨は折れなかったから、打撃のダメージはいずれ薄れてしまう。その前に決着をつけなくては。 OK。指揮官は決心した。いずれにせよ、こいつの息の根を止めればよいのだ。難しいことはあとで考えればよい。

2018-10-28 19:39:26
HK15 @hardboiledski45

よし、と指揮官が腹を決めたときだった。すごい勢いで黒い巨大な塊がブロンド男めがけて飛んでいき、やつをその場に打ち倒した。 振り向いた。IDWがいた。彼女の足下には昏睡状態の肉塊になった男どもが積み重なっていた。みんな顔が無惨に変形していた。

2018-10-28 19:42:21
HK15 @hardboiledski45

「指揮官さま、遅いですよ。こっちはもうカタがついちゃいました」IDWが言った。 「ああ……はい……ありがとうございます」指揮官はぼんやり言った。気が抜けてしまった。指揮官はブロンド男の方に歩いていった。

2018-10-28 19:44:01
HK15 @hardboiledski45

ブロンド男は仲間の大男──たぶん体重100kg近い筋肉マン──の下敷きになってのびていた。指揮官は苦労してブロンド男を筋肉山の下から引っ張り出した。 「何やってんですか」 「捕虜です」指揮官は言った。「IDWさん。そこのジジイを持ってください。こいつらを楯にします」

2018-10-28 19:47:33
HK15 @hardboiledski45

「むうううう」じじいがうめき声をあげた。蠢く。必死に這って逃げようとする。顔の下半分を血に染めて。 IDWがその首根っこをつかんだ。 「むむう」じじいはがっくりと首を垂れた。IDWはそこらの男の服を引き裂いて作った即席のロープでじじいを後ろ手に縛り上げた。

2018-10-28 20:40:29
HK15 @hardboiledski45

「むむむ。むうう」ブロンド男も気絶から醒めた。立ち上がろうとする。大したタフネスだ。指揮官はその上にまたがり、ハンマーパンチを続けざまに打ち下ろした。ブロンド男の顔はたちどころに赤むくれになり、無惨に変形して腫れ上がった。

2018-10-28 20:42:41
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