私と人形２　ドルフロ：ショートショート

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#私と人形　私は『指揮官』今日は私の部下にして、戦友たる人形を紹介したいと思う。皆個性的で、はちゃめちゃだったりもするが、決して悪い子達ではない。…悪い子ではないと願いたい子も少しばかり居るのが悩みの種だが。兎も角、話を進めようか。

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スプリングフィールド。主に私の補佐官を務めてくれる。しかし鉄火場に立つ事も少なくない。マフィンと珈琲が絶品であり、頃合いを見計らっては私の前に持ってくる。…一つ悩ましいのは紅茶党でスコーン派のL85A1とかち合うと喧嘩になる事だろうか。二人とも気の良い娘なのだが。

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ナガン・リボルバー。俗称は『ナガン』はたまた『お婆様』自称年寄りを謳うが、中々どうして切れ者である。数少ない拳銃組の取りまとめ役でもある。ロシア帝国やソビエト時代が長かった所為か、小さな体躯ながらウォッカを煽り飲む酒豪でもある。SAAとは年寄り仲間である。

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トンプソン。我が基地の問題児その１である。姉御肌で頼れる人形なのだが、思考回路が完璧にシカゴマフィアのソレなので扱いが難しい。更には風呂に入る事を嫌うので、どうにかせめてシャワーを浴びてくれと説き伏せるのに苦労した物だった。汚れ役を引き受けてくれる人形の一人だ。

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M16　問題児その２である。戦闘面や性格には問題は無いが、かなりの酒豪…いや、呑兵衛である。それはもう、一仕事を終えたと思えば「さぁウィスキーだ、バーボンだ、ビールだ、ひゃっほう」と言わんばかりで頭が痛い。人形たちに支給されている娯楽資金の内、彼女は断トツでお酒の比率が高い。

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AK47　M16が表仕事を担当する人形であれば、彼女は裏仕事を担当する人形である。ダーティワークを好む人形たちを率いては、暴力的な人権擁護集団等を相手に消して回るのがその最たる例であろう。生まれた時期が程近いSKSとは種類を越えて仲が良い存在である。彼女もまたウォッカを好む。…頭が痛い。

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MP40　実直で優秀な人形である。主に私の身辺警護を任せている。少しばかり真面目過ぎるのが欠点だが、仕事とあらば誰とだって嫌な顔をしない『仕事人』であるし、仕事の確実な成功の為ならばどんな相手とも打ち解けようとする凄まじいメンタリティを持っている。ショカコーラが好きだそうだ。

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ワルサーPPKならびにルガーP08　身辺警護班その２である。真面目なP08と嗜虐的な冗談を好むPPKの相性は一見悪い様に見えてそうでもない。むしろ嘗てのドイツで多くの軍人や警察関係者等に使われた事からか、『私』の知る限りではこの二人は他所の基地でも指揮官の警護に回る事を見かける程である。

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SKS　勝気な性格の人形だが、それに反せず腕がいい。ワルサーG43やらM1ガーランドにM14と言ったセミオートマチックライフルで徒党を組んでは狙撃に勤しんでいる姿をよく見かける。親戚筋の63式自動歩兵銃とはどう接すれば良いのかちょっと分からないのが彼女の悩みの種なのだそうだ

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さて、仲間達を紹介した所で1つ話をしよう。あの日私は担当している地域の有力者のパーティに招かれた。勿論断る訳にも行かず、私は不慣れなドレスでめかし込んでパーティに参加した。…人形達を引き連れて。この手のイベントには何かしらのトラブルが付き物だと今の世の中は教えてくれる。

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一体何処から拾ってきたのやら。トヨタの古いクラウンを必死にサビ取りして塗り直した即席のリムジンを仕立てて私達はパーティ会場に到着した。ドライバー役のグリズリーに裏へと車を回しておくように伝える。私は陰鬱な気分に成りながらも表面上は平静を保っていた。取りあえずは。

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「指揮官、幻肢痛の対策は…？」ドレスの着こなしの上手いＰＰＫからの問い掛けに私は頷いた。「痛み止めのキツいの飲んでるから大丈夫よ。…明日は酷い目を見そうだけど」「無理ばかりするんですから」P08の言葉に私は苦笑する。「四肢と片目の幻肢痛で惨めに倒れるより、まだマシよ」

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「お主は本当に無茶を為さるからなぁ」ナガンがやれやれと呟く。何、私の人生なんて無茶ぶりばっかりだ。きっとくたばり死ぬまで悪魔と踊る事に成るのだろう。そうこうしている内にパーティが始まった。私は嫌でも挨拶しない訳にはいかず、内心渋渋と、表面上は笑顔を取り繕って対応した。

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有力者なんて物は何時の時代。どんな場所でも似たような物だ。己の力を誇示し、そして知らしめさせる。その下に多数の犠牲やら、苦労があるとも見て見ぬ振りをして。私は早々に挨拶を済ませると人形達の元へと戻った。彼女たちの傍に居る方が余程落ち着く。そんな時だ。とある男が声を掛けてきた。

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「いやぁ、お美しい。可憐な少女達ですねぇ」「社会勉強の一環として連れて参りました。貴女達、ご挨拶を」そう言うと人形達は丁寧なカ－テシーで…（勿論、これらは事前に組んだ接待プログラムだが）…男性に対応した。口々に偽名で挨拶をして。そりゃそうだ。人形の本当の名前を言ったらドン引きだ

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食事を楽しむ私と人形達。普段はMREやレ－ション。はたまた携帯食料や缶詰料理を食べている私達にはご馳走は有難かった。…尤も、私は今後の出費について考えていた。私達だけが美味しい料理を食べたとしたら、他の人形達からは不平不満が上がるだろう。故に、私の金で彼女らにも喰わせて遣らねば。

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その時だった。不意に銃声が鳴り響いた。多くの人間は驚いて身を屈めたが、私と人形達は動じなかったが。「我々は黒の騎士団！我々は鉄血の人形達との戦闘の反対を訴えかける者である！」何とまぁ。頭の中身がお花畑な連中だろうか。こう言うのに限って、無駄に行動力があるから質が悪い。やれやれ

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私はチョ－カ－型の無線機のスイッチを入れた。「待機班へ。敵の数を知らせ」 『こちらスプリングフィールド、廊下に約10名』『SKSよ。こっちの廊下には７人』『MP40より指揮官へ。逃走用のバンと思しき車を発見』「了解した」私は暫し考えて、そして号令を発した。

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「MP40は待機、他の者は私の号令で攻撃せよ。３、２、１、…Go！」小さな声で号令を掛ける。次々に発砲音が響いた。必殺の銃弾が過激派の頭脳や心臓と言った重要器官をぶち抜いていく。窓ガラスを叩き割りながら。そして、会場の真っ只中でも。人形達は過激派に攻撃を行った。

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ナガン、PPK、P08の三人の的確な射撃で過激派の頭には見事な風穴が開いた。そんな時不意に、私の体に背後から抱き付く者が居た。さっきの男性だった。「良くも我々の計画を邪魔してくれたな…！」「治安維持もグリフィンの業務ですので」淡々と答える私に苛ついたのか。男は私に銃を突き付けた。

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「お前達！さっさと銃を捨てろ！」人形に対して男は高圧的に言葉を発したが、私はやれやれと説明した「無駄だよ。彼女らは私の命令以外従わない」「なら貴様が言え！」「そうか。ナガン。吹き飛ばしてしまえ」言うや否や、ナガンはSAA顔負けの見事なファニングショットで男の拳銃を吹き飛ばした。

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銃を吹き飛ばされた弾みで指があらぬ方向に曲がった男に、私は腕を突き付けた。「あの世で詫びなさい」義手が人工皮膚を破って展開し、銃口が現るとドンッ…！と銃声が響いた。「やれやれ…またペルシカに人工皮膚の予備を申請しないと」「何も指揮官自ら殺さなくても」とP08はぼやいたが…

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「前線に立ってないとね。心が鈍るのよ。だから殺した。私の手で」チョ－カ－型の無線機に声を掛ける「MP40？そろそろそっちに悪党共が逃げると思うから、事後処理をお願い」『了解しました』MP40は深呼吸を繰り返し、そして言葉を発した。「ブチ殺せとの命令が出ました」

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その言葉に、トンプソンやPPSH、そしてM2は喜びの声を上げた。「鉛弾の大盤振る舞いだ！」「腕が鳴るわね！」「シッ、皆さん、気取られない様に」MP40の指示に、人形達は声を潜めた。そして如何にも悪役面と言った面々がバンに乗り込むのを確認すると号令を発した。「全員、放て！」

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大小様々な銃弾が黒塗りのバンとその中に居る悪党共を蹂躙する。バンの中に在ったでろう銃弾や爆薬に引火し、バンは派手に吹き飛んだ。穴あきチ－ズに成りながら。「こちらMP40、後始末は完了しました」『ありがとう。後でささやかだが砲尾を与えてあげるから』その言葉に人形達は喜んたわ