「技能実習生は間違っていました。ごめんなさい。もっとまともな受け入れ方をします。どうでしょうか。移民政策です。移民政策にもいろいろあります。今度特定技能1号2号という移民政策を作りました。これでいかがでしょうか」と言えば、
2018-11-25 10:03:42「それは駄目だね」とか「不十分だね」とか「一歩前進でいいんじゃないか」とかいう議論になるんだけど、今までのことを反省もしないで変な出し方してくるから、どんどん混乱してくる。
2018-11-25 10:03:43あと、丹野先生おっしゃっていましたけど、人材確保という目先のことだけに目が行っていて、本当は少子高齢化の中で日本社会をこれからどうやって支えていくのか、そのために外国人の労働者に来てもらって、どうやって共に日本の社会をつくっていくのかっていう議論を戦略的にしなきゃいけないのに、
2018-11-25 10:03:43そこをすっ飛ばして在留資格をどうつくるかとか、それが来たら日本側はどうまずいのかとか、何か不正が横行するんじゃないか、っていう、小手先・目先の議論ばっかりしている。この議論の仕方がとてもよくないと思います。
2018-11-25 10:03:43荻:まず大局観がないというのが一つですし、場当たり的であるということ、それから5年経てばこういう資格が得られますみたいな、在留資格が得られますというようなことが書かれていますけれども、そうした議論が、少なくとも今の内閣にとっては終わっている段階の話なので、
2018-11-25 10:09:33印象としては全ての問題を先送りしてるようにも捉えられますよね。では、今指宿さんが指摘された入管法改正案ですが、改正の理由として政府はこのように説明しています。官僚文章なのでちょっと理解しづらいところもあるかと思いますが、紹介を長谷部さんにお願いします。
2018-11-25 10:09:33長:「人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野に属する技能を有する外国人の受け入れを図るため、当該技能を有する外国人にかかる、新たな在留資格にかかる制度を設け、その運用に関する基本方針および分野別運用方針の策定、当該外国人が本邦の公私の機関と締結する雇用に関する契約、
2018-11-25 10:09:33並びに当該機関が当該外国人に対して行う支援等に関する規定を整備するほか、外国人の出入国および在留の公正な管理に関する施策を総合的に推進するため、法務省の外局として出入国在留管理庁を新設する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である」。
2018-11-25 10:09:33丹:前半部分と後半部分で分けて考えますと、前半部分はいってみればヨーロッパだったら40年前にやめてしまった、ガストアルバイターを受け入れるといっているようなものですよね。
2018-11-25 10:09:34それぞれの産業とそれぞれのところで決めさせて、その分野が必要とする労働者だけを受け入れる、ということを言っているのですから、これは紛れもない、昔ヨーロッパで行われたガストアルバイター・ゲストワーカーという制度だと思います。 荻:とても古いタイプの。
2018-11-25 10:09:34丹:だからそういう意味じゃ、普通は他の国々だったらそこを超えて移民問題という話になっていっているのに、この国は50年前のヨーロッパに戻ったかのような、外国人の受け入れという観点からすると、あまりにも古いパターンの形に持ってきたなあという感じを非常に強く持っています。
2018-11-25 10:14:05荻:つまり政府が「この分野で何万人」という指定をしてコントロールすると。そこで来る人は生活者だから、転職することもありますし、市場は当然流動的なので、どんな雇用が必要なのかは、1年2年ではなくて数カ月から半年で変わるのです。
2018-11-25 10:14:05それを、政府が「この雇用分野で何人必要だ」とコントロールできるかのような古いタイプの移民政策であると。 丹:そうです。極めて古いタイプだと思います。 荻:これが前半の長ったらしい部分ですね。後半はいかがですか?
2018-11-25 10:14:05丹:後半が非常にいやらしい部分だと個人的には思っていまして、以前から「外国人庁をつくれ」という話はあったと思うのです。だけど、それは入管の延長としてつくれというのではなくて、日本人の生活を考えたとき、何か犯罪を犯したときに摘発するための警察のような、
2018-11-25 10:14:06摘発機関と福祉を分けてつくられているわけじゃないですか。だからこそ、例えば親が犯罪を犯したとしても、子どもが福祉を受けられないということはないでしょう?だけど、入管はあくまで摘発機関ですよね。今度のこの形だと、摘発機関の中で在留上の問題まで扱う。
2018-11-25 10:14:06在留上の問題って、ほとんどが住んでいることによって起きる問題ですから、いってみれば福祉まで扱うわけじゃないですか。それをぶち込んでしまったら、親とか自分の身の回りで何かしらあったからということだけで、本来は福祉を受けたいという人だって受けられなくなっちゃうじゃないですか。
2018-11-25 10:14:06そもそも今の時点で在留の一元管理が始まってから、「適法じゃないと受けられない形になっているから、それでもかまわないんだ」という発想もできると思うのですが、この国は子どもの権利条約を結んで実行していくということを国際的に約束もしているわけですし、
2018-11-25 10:19:52そうしたものの中では在留資格とは関係なく、子どもは福祉を受ける権利を当然持たなければいけないといったことが入っているのに、これだと摘発機関の中で福祉を受けるという形が今までよりも強く出るということになってしまいますので、国が管理をするという点では理想なのかもしれませんが、
2018-11-25 10:19:52荻:そうですね。またこの理由、長い文章なのですが、一番最後にそれらの長い文章が何に掛かるのかというと、これこれこういった理由があるため、法務省の外局として出入国在留管理庁を新設する必要があるということなので、実は目玉は新しい官庁をつくることだ、と説明しているのですよね。
2018-11-25 10:19:53そこにはどんな権限が与えられるかというと、今回の改正案では「この法務省の権限も新しい省庁に」「これも新しい省庁に」と。実は新しい省庁に渡されていない幾つかの権利があって、そこが気になるところではあるのですが、こういった新しい省庁をつくるということは、社会の構成を大きく変えるし、
2018-11-25 10:19:53指:そうですね。さっきも言いましたけどね、人材確保っていう目先のことで考えているわけですね。そういうことで受け入れを考えるとどうなるかというと、ガストアルバイターの話も出ましたけど、使い捨ての発想になっちゃうんですよ。
2018-11-25 10:22:37労働力を都合よく使って、いらなくなったら帰ってもらおうっていう。こういう発想がどうしても抜けない。でもそうじゃなくて、社会を共に支えていく仲間を受け入れるっていう、多文化共生的な考え方で本当はやるべきだと思うんですね。ここに多文化共生って言葉は一言も入っていないですよね。
2018-11-25 10:22:37