俺の見たかった「魔法少女 まどか・マギカ」

はやしだ @hayashida_tw

【俺マギ】「そんな…」言葉を失うまどか。「どうして、そんなひどいことを…」「ひどい？アタシが？他人の事情もよく知りもしないで、勝手なこというんじゃないわよ」険しい顔でまどかを睨みつける杏子。「…ごめんなさい」自らの迂闊さに小さくなるまどか。

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【俺マギ】縮み上がるまどかを見て、杏子はフン、と鼻をならしていった「ま、いいわ。そんなに小さくなることはないわよ。魔法少女になった理由を、教えてあげると決めたのは、アタシなんだし」

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【俺マギ】「アタシはこの教会で生まれ育った。けれど、それは決して楽しいものではなかったわ」古びたベンチの傷をなでながら杏子、その傷がつけられた昔のことを思い出しているかのよう。「この国ではね、宗教にはまってる人は、異物として扱われるの…」

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【俺マギ】「意味わかんないよね。クリスマスや初詣の時には、あんなに人が集まるのにさ」「家が”普通の仕事じゃない”ってだけで、アタシはいつも仲間はずれだった」そう語る杏子に、まどかは自分の過去を重ねる。「どうしてうちでは、みんなの家と同じように、お母さんが家にいないの？」

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【俺マギ】杏子は続ける「学校で男の子にからかわれても、アタシはやり返すことも出来なかった…。腕力だけなら、絶対に負けない自信があったのに…」「”教会の子が人を殴ってもいいのかよ”あいつらは、アタシが手を出せないことを知ってて、それを逆手に取ってた」

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【俺マギ】「アタシはどうしても仕返しがしたかった。パパは”たとえ、いじめっ子が杏子の身体を傷つけたとしても、魂は神様が守ってくれる”って言ったけど、石をぶつけられたら、心も傷つくっての！」祭壇の十字架に向かって、蔑むような笑みを浮かべながら、杏子。

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【俺マギ】「QBと契約して、アタシは仕返しをするだけの力を手に入れた。ううん、その力を取り返したってカンジかな」「たまった鬱憤を、魔女にぶつける爽快感！ああ、これが自由なんだ！アタシはそう思った」

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【俺マギ】「魔法少女として生まれ変わったアタシの異変にパパが気づくまで、そう時間はかからなかった」「さすがに本職だけあるわね。パパは牧師の娘であるアタシが、異端の力を手に入れたことをとても悩んでたみたい。もっともアタシは、パパが死んじゃうまでそんなこと気づきもしなかったんだけど」

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【俺マギ】「お父さん、亡くなっちゃったの？」「山里に住む教区長を訪ねに行く途中でね、夫婦そろって車ごと崖に落ちちゃった、ってわけ。さすがに自殺ではなかったみたいだけど」「そんな…」

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【俺マギ】「安っぽい同情ならいらないわ。パパが運転をミスったのは、アタシのことで頭がいっぱいだったからかもしれないし、そもそも、教区長に会いに行ったのだって、アタシのことを相談しにいってたんだもの」

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【俺マギ】「ま、アタシが両親を殺したようなものよね」とまるで他人事のように薄笑いを浮かべる杏子。「でも、魔法少女になったことはこれっぽっちも後悔してはいないわ。あのままやり返さないで生き続けても、アタシはきっとゾンビみたいなものだったから…」

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【俺マギ】話を終え、ふう、と大きく息を吐き出す杏子。「ま、これがアタシが魔法少女になったいきさつ」杏子から語られた重い過去に言葉を失うまどかを見て「何よ、”聞かなきゃよかった”って顔してるわよ」と杏子はからかってみせる。

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【俺マギ】「ま、アタシはあんたに話せてよかったわ。吐き出してスッキリしたし、魔法少女の事情を知ってる人間も、そこいらにいるわけじゃないから」そういうと、杏子は自らのソウルジェムを取り出してまどかの目前に差し出す。「これを見て」

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【俺マギ】「契約して魔法少女になると、その人間の魂はこのソウルジェムに移されるの。今のアタシの肉体に、魂は存在しない、いわばゾンビのようなもの」「皮肉なものね、パパがアタシに教えてくれた”魂を守る”ということがどんなものか、パパに逆らうことで、ようやく理解できるなんてね」

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【俺マギ】杏子の話を聞き終え、家路を歩くまどか。手にはさやかのソウルジェム＝グリーフシード。それを見つめ、語りかけるようにまどか。「私、どうすればよかったのかな…」そしてこれからどうするの？と自問する。