都筑ミチオの憂鬱(新本格の祖にしてバッシングする人)

良くも悪くも現状の日本のミステリに多大な影響を与えた都筑道夫さんのスタンスについての思索あれこれ。結果的に新本格への扉を開いたご本人がバッシングする側に回る不可思議を考察してみました。
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じねん @jinensai

うわ、懐かしいものが出てきやがった。 pic.twitter.com/ek3lfLqnbN

2018-12-04 00:06:36
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じねん @jinensai

『死体を無事に消すまで』見返し。よぉし、分かった!(cv加藤武) pic.twitter.com/QhsI2yXFlJ

2018-12-04 00:30:20
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じねん @jinensai

記憶の検算をしてたが、これで確定だわ。 ※1982年 弘前大学ミステリー同好会(弘大ミス研1期)旗揚げ ミス連の講演会ゲスト 1983年 小泉喜美子(不参加) 1984年 島田荘司(参加;熱海) 1985年 辻真先(参加;秩父) 1986年 都筑道夫(参加;よみうりランド)

2018-12-04 00:39:09
じねん @jinensai

1983年(小泉喜美子姐さん)参加しとけば良かった…orz。(後悔先に立たず)

2018-12-04 00:40:30
じねん @jinensai

1984年の熱海(島田荘司さん)が綾辻さんが質問(バイクについて?)に立った回。つまり現場に居合わせたことになる。人喰いの木の構想もお話頂けたはず。あいにく宴会には『北の夕鶴~』のゲラに朱入れのため島田さんは不参加だったが。(残念)

2018-12-04 00:47:28
じねん @jinensai

時系列を整えてみると、1986年以前、確かミステリマガジンの後書きか何かで都筑さんが日本のミステリは欧米から25年遅れている趣旨の主張をしていたはず(実物読んだ記憶はある)。

2018-12-04 00:51:28
じねん @jinensai

1986年は私は既に会社勤めだったが、有給取って現役連中とともに参加し、都筑さんの講演を聞き、『死体を無事に消すまで』にサインを頂いたことになる。

2018-12-04 00:54:14
じねん @jinensai

その都筑さんの講演会が私にとっては結構トラウマ級のダメージで、日本の遅れは25年から50年に訂正されてしまったのである。私の心積もりでは、島田荘司さんの登場で10年遅れぐらいに縮まっているように感じていたからだ。

2018-12-04 00:59:10
じねん @jinensai

TL上で芦辺拓さんが時折、産経新聞の斜断機での都筑さんによる新本格バッシング(あいにく私はその現物は読んでいないが)の話題をつぶやいていたので気になっていたのだか、都筑道夫さんのスタンスは実際どうだったのか思索することがある。

2018-12-04 01:07:21
じねん @jinensai

新本格バッシングだから、1987年の『十角館~』以降なのであろう。『黄色い部屋はいかに改装されたか?』が1975年。その後の注目作としては1977年~1978年の『匣の中の失楽』(竹本健治;「幻影城」連載)、『占星術殺人事件』(島田荘司;1981年)、『斜め屋敷の犯罪』(同;1982年)が挙げられる。

2018-12-04 01:19:24
じねん @jinensai

関連性を思索すると、都筑さんにとって『黄色い部屋~』による問題提起へのアンサーが、これらなのかという一種の落胆があったのではないか。この件は以前も多少つぶやいたが、テキスト的な表面上の主張は「トリックよりロジック」、「トリック無用」だが、彼の底意はむしろ逆だったように思えるのだ。

2018-12-04 01:25:46
じねん @jinensai

都筑さんは私見ではどうにもアマノジャクな気質に思えて仕方ない。「トリック無用」というのもトリックさえ出しておけば良いという安易な方向へ流れていたことへの警鐘がそう言わせたのではないか。社会派全盛期、トリック主体な本格ものが荒唐無稽過ぎて読者の腑に落ちない状況に陥っていたのだ。

2018-12-04 01:32:52
じねん @jinensai

社会派は社会派でいわゆる人間ドラマのワナにハマって、ミステリからブンガクへの先祖帰りに陥っていたわけで、ミステリ界隈には「このままではいけないが、どうしたら良いか分からない」という空気感が存在していたことは確かだろう。

2018-12-04 01:36:08
じねん @jinensai

打破するための方向性の一つとして(角川の戦略に乗ったとはいえ)「洋魂和才」の横溝正史が再評価されたのとは別に、荒唐無稽を手厚いストーリーテリングで裏打ちする島田荘司が登場するのだが、都筑的には、まだ荒唐無稽をやるつもりなのかという負のバイアスが掛かってしまった節がある。

2018-12-04 01:46:02
じねん @jinensai

荒唐無稽なトリックを紐付けるための戦略が都筑さん的にはロジックだったわけだが(島田荘司の資質がストーリーによる紐付けなことまで突っ込みが浅く不十分)、ロジックが暴走して「ロジックの荒唐無稽化」を引き起こすことまでは、神ならぬ都筑さんの想定外のことだったのだろう。

2018-12-04 01:54:49
じねん @jinensai

欧米に対する日本のミステリの遅れが25年から50年に延長された原因は『黄色い部屋~』へのアンサーが荒唐無稽(トリック、ロジックとも)の領域を出るものではなかったことへの苛立ちもあるのではないか。ロジックで紐付けることでトリックを再生しようとする都筑にとっては想定外過ぎたのだろう。

2018-12-04 02:05:41
じねん @jinensai

そうした屈託が、都筑(ともあろう人)を、新本格バッシングへいざなったのではないか。

2018-12-04 02:12:38
じねん @jinensai

一方で「トリックよりロジック」はいわゆる日常の謎へと展開されて行くことになるが、こちらはこちらで荒唐無稽が去勢されてこぢんまりし過ぎてしまう。(ままならないなあ…。)

2018-12-04 02:17:37
じねん @jinensai

さて、先日の都筑道夫のスタンスへの思索の附けたりだが、結論から言って新本格への決定的な舵を切ったのは(本人の意思と無関係に)都筑さんだったように思う。

2018-12-09 08:45:07
じねん @jinensai

時々思い出してはエッセイに目を通してたりするが、吹雪の山荘や絶海の孤島を舞台にすれば、強迫的に要求されてきた警察活動をまるごと省けて、名探偵が活躍しやすい環境を提示できるという主旨の文をどこで見かけたか思い出せない。

2018-12-09 08:49:52
じねん @jinensai

しかし都筑さんは実作でそれを提供してくれてもいる。物部&片岡の2作目の『最長不倒距離』がそれだ。1980年に角川文庫で出版されている。

2018-12-09 08:53:18
じねん @jinensai

学生時代からミステリを書いてた身として、警察活動の参考ってTVドラマぐらいしかないし、警察に取材といっても、こちらは後ろ楯も何もない小僧である。都筑さんの『最長不倒距離』は、これなら心置きなく書けるという道(道夫だけに)を指し示してくれた作品でもある。

2018-12-09 09:00:44
じねん @jinensai

恐らく私を始め、溺れたり窒息しかかっていた全国のミステリ作家予備軍にとっては新鮮な酸素が膨大に供給されたような心地だったことだろう。その一時避難地域に才能が殺到したところから新本格は芽吹いてくる。

2018-12-09 09:04:45
じねん @jinensai

しかしこの事態はミステリを荒唐無稽で野暮ったく洗練されてないお話から、洗練されたものへ推進しようと骨を折ってきた都筑さんからは、幼稚で乱暴なムーヴメントに見えていたのかも知れない。

2018-12-09 09:10:08