対着上陸作戦の史的観察とか

前の続き
20
名無し整備兵 @seibihei

下級部隊の意志を上級部隊の意志に引き戻す事は、戦況上これを許さない場合があり、又これを許す場合に於いても非常な困難に遭遇するものである。

2011-04-30 01:02:48
名無し整備兵 @seibihei

上下級司令部及び司令部内の作戦思想の不統一は、作戦の指導を混乱に導く重大な原因である。順調又は攻勢作戦においては、思想の統一は比較的容易であり、たとい若干の不一致があっても過度に表面化すること無く推移するのが常態である。

2011-04-30 01:05:13
名無し整備兵 @seibihei

しかしながら防勢又は持久作戦に於いては、思想の統一が困難である。しかも、一度逆境に立ち至ると、従来一致していたかに見えた思想も分裂する事が少なくない。

2011-04-30 01:06:46
名無し整備兵 @seibihei

これがため、作戦思想については、妥協的調整を戒めるとともに、作戦準備間に於いても手段を尽くして思想の不一致を発見し、早期にこれを調整する事が必要である。この際、兵棋・現地研究等による具体的検討が望ましい。

2011-04-30 01:08:48
名無し整備兵 @seibihei

またサイパンにおける米軍上陸当初の夜襲の失敗等上級司令部が、下級兵団に対し明確な任務を付与して、これに適応する戦力を与え、或いはその戦力の限界を至当に判断して、その任務を限定する事は、極めて重要である。

2011-04-30 01:13:03
名無し整備兵 @seibihei

特に全般的欲求が大で、全般的戦力の不足した状況に於いて然りである。

2011-04-30 01:14:00
名無し整備兵 @seibihei

上級兵団が欲求に駆られ、下級兵団に過望の任務を与え、或いは任務に即応する戦力充当を怠ったならば、自ら命令の尊厳性を害し、下級兵団をして命令必行の気魄を喪失させる事になりやすい。

2011-04-30 01:16:27
名無し整備兵 @seibihei

しかも一度作戦開始後は、厳然たる事実の前に上級司令部の欲求は逐次崩れ去り、衝撃を受け、或いは焦燥してさらに実行至難の行動を下級兵団に要求する結果となる場合が少なくない。

2011-04-30 01:18:41
名無し整備兵 @seibihei

さらにニューギニアにおける阿南第2方面軍司令官のホーランジア奪回のための独断的統帥指揮等に見られる如く、統帥の冷静慎重と秩序ある節度とは、大部隊になるにしたがってますます必要である。

2011-04-30 01:20:58
名無し整備兵 @seibihei

大部隊の指揮官は軽率に重大な決心を為す事を特に厳戒すると同時に、決心の変更は最も慎重な考慮の下に行うべきである。一度実行に移されると、じ後の修正変更は極めて困難であり、これを強行すると統帥の秩序と節度を破壊する事になる場合が多い。

2011-04-30 01:23:03
名無し整備兵 @seibihei

しかしながら一方、状況の推移に応じ部署の変更を必要とすることも生ずる事は当然である。この場合に於いては、いたずらに行きがかりにとらわれて命令の訂正を一概に排斥する事は一考を要する。その実行の可否、利害等を慎重に考慮して全局の利益を図ることに努力すべきである。

2011-04-30 01:25:06
名無し整備兵 @seibihei

情報は軍の運命に関わる基本施策に反映すべきものが多く、その役割と責任は極めて重大であり、断じて軽視を許さるべきものではない。したがって情報担当者は、責任を持って確信のある情報を基礎とする積極・執拗、かつ強力な施策面への意見具申について躊躇すべきではない。

2011-04-30 01:40:39
名無し整備兵 @seibihei

また情報は、本筋として適時答えをそのものズバリで入手しうる事が理想である。しかし多くの場合、情報は入手しうる内容が目的に対し不十分であるのみならず、この不十分な情報すら適時に入手しがたいのが実情である。

2011-04-30 01:43:23
名無し整備兵 @seibihei

民事特に住民の疎開(避難)は・・・重大問題であった。居住地を離れる事は、失職を意味し、生活の基盤を失い、住宅・食料の取得の面に於いても大なる不安が伴った。反面、重要産業の生産確保の面からも疎開(避難)を制限しなければならない状態もあった。

2011-04-30 01:52:19
名無し整備兵 @seibihei

したがって疎開(避難)の実施に当っては、疎開(避難)の時期及び範囲を選定する事が第1段階で、これに伴う受け入れ態勢の確立が第2となる。疎開(避難)の形式は、自発的なもの、強制的なものに大別されるが、いずれにしても組織的に行われることが必要である。

2011-04-30 01:54:03
名無し整備兵 @seibihei

・・・(太平洋戦線での戦例に触れ)これは住民の戦争(作戦)に対する協力又は支援は良かったが、総合的に組織化し、且つ統制運用する面で、法的にも不備があり、施策に於いても不十分であった。

2011-04-30 01:55:52
名無し整備兵 @seibihei

当時、民防の組織も作られ、疎開処置も採られたが、作戦第一主義に徹するの余り、行政における民生の面で均衡を欠いたと言える。多数の防衛召集は、行政面を過度に圧迫し、住民の生活維持、疎開(避難)指導を困難にした。

2011-04-30 01:57:32
名無し整備兵 @seibihei

太平洋戦場における被制空海下の海洋中の孤島の作戦は、西欧大陸における防勢作戦に比較して、さらに受動的性格が強く、常にどこから敵が上陸してくるか分からないという内線作戦における不安と焦燥を伴っていた。

2011-04-30 01:59:08
名無し整備兵 @seibihei

これがため、既述のように配備は万遍なく全正面平等となり、また断固たる決意の実行或いは部署の転換も困難になりがちである。

2011-04-30 02:00:35
名無し整備兵 @seibihei

また専守防御だけでは作戦目的を達成できないので、何とか攻撃行動によって主動性を確保し、敵に打撃を与えて活路を求める必要性から、時として追い詰められた鼠が猫に噛み付くような切羽詰った心理に陥り、近視眼的且つ衝動的な作戦・戦闘行動をとり失敗する事が多い。

2011-04-30 02:02:35
名無し整備兵 @seibihei

既述のように大本営統帥部が現地軍の実情を知らず、また現地軍が敵情は言うまでも無く、輪が第一線の状況が不明で把握できなかった。

2011-04-30 02:04:28
名無し整備兵 @seibihei

これを克服して如何にして重要方面又は地域における戦況を確認し、また如何にして戦果或いは戦力を正当に認識するか等的確な実情把握については、その組織と平素からの修練が必要である。

2011-04-30 02:06:06
名無し整備兵 @seibihei

また戦場特に困難な状況に於いては、自己の利害、思想が如実に表現され、感情に走り、ややもすると最も堅確であるべきその団結が乱れがちである。

2011-04-30 02:07:40
名無し整備兵 @seibihei

通常、生死を共にする自隊内の団結は立派であるが、陸海空又は異職種等の部隊相互間は、時として敵視し合い、その結果意外な抵抗として表面化し、或いは独善主義に陥りやすい。さらに戦闘が長期化し、或いは絶対的持久防御等の作戦環境に於いては、思想が分裂しがちである。

2011-04-30 02:09:42
名無し整備兵 @seibihei

さて、対着上陸作戦の史的観察はここまで。この後は書かれた当時における「今後の趨勢」なので、引用は避ける。

2011-04-30 02:12:55