【西国分寺で飲む】福間健二 #k2fact209

福間健二 @acasaazul

流れ星見えなかった。功利主義の兄弟は体を揺さぶりながら、切りをつけて、なにか見つけたことにする。遅ればせの寒さが通るみち。落としたもの、拾ったもの。赤と黒。計算は合うのだろうが、用済みの一歩手前のドア。その把手を拭う。すでに油を吸って汚れている布で。（西国分寺で飲む１）#k2fact209

福間健二 @acasaazul

仲のよくない家族が経営するガソリンスタンドで働いた。だれの言うことを聞いたらよかったのか。求められることも布を投げつけられることもあった。自分らしく。平成の、脇腹の痛み。経営の初歩。北からも南からも油がしみこみ、マーク、いつのまにか消えて戻らない。（西国分寺で飲む２）#k2fact209

福間健二 @acasaazul

このままでは悪いところが動かない。なにか変えてみるべきだ。たとえばその腰をもっと低く。あるいは人にわかる係数をもつ。納得したわけではないが、ＪＲ西国分寺駅、大勢の人が乗り換えるか降りるかして半月が主題になりそこなう夜だ。よかった。だれも遅れていない。（西国分寺で飲む３）#k2fact209

福間健二 @acasaazul

先に来ていたふたりがひとりを案内して、予想できた分類。まず、きょう買えるものと買えないもの。心理は漏れないようにしても、ねっとりした黒とさっぱりした赤。クワイ、ムカゴ、オロブロンコ。若い女性店員のきびきびした動きと元気な声。なんでもある八百屋さんだ。（西国分寺で飲む４）#k2fact209

福間健二 @acasaazul

身近な人たちによくして、よく思われたいが、それを第一にできない。大工のＪの罪を思いながらの、会話にならないやりとり。泣かない悲しい目の理由、ドアらしきものをおおう半透明の幕の意味など、わかるのに時間がかかって、やっと次の区画。寒いので燗酒から。（西国分寺で飲む５）#k2fact209

福間健二 @acasaazul

これ、いい。では、もう一皿。だが、ひとりを救うために多くのものをみすてた。救われたひとりがそれを責める。そんな物語の坂の上、三人が青みをおびて立つ林。よい性格、わるい性格。どっちになるかわからないものが隠れている。今年の紅葉、はっきりしなかったね。（西国分寺で飲む６）#k2fact209

福間健二 @acasaazul

でも、人に。わかりやすい主題で地面をすべりやすくする落ち葉はいつもどおりだ。だれと降りても、力の必要なところ。見てはいるが、観察していない人たちに。観察力の、西国分寺。残され、なにかホッとして飲みなおす三人の、甘くないこの世。割りものはやめておく。（西国分寺で飲む７）#k2fact209

福間健二 @acasaazul

戦争、どうしてなくならないのか。意見ではなく別のことで目の前のふたりと微妙にちがっても、思うこと、壁に落書きしたりはしないが、読書日記はつける。藤井貞和さんの『非戦へ』を読んだ。物語平和論。まだ酒というものがなかった遠い古代のことから考えている。（西国分寺で飲む８）#k2fact209

福間健二 @acasaazul

秋津でもよかったのか。どうだろう。秋津がよかった夜もある。西武線の駅とＪＲの駅のあいだのどこか。大きな串焼き。立ったまま和解した兄弟。戦争と市場の話にも何も落とさず拾わず、冷静に芋焼酎を飲んだ。飲み方はちがった。弟は好きな人がもうこの世にいない。（西国分寺で飲む９）#k2fact209

福間健二 @acasaazul

使用するもの。日本語、紙、ぼんやりしている人。仕上げは輪ゴムで束ねた楊枝七、八本か、なければ指で。突くべきところを突いて、別の世の、満月の真夜中にひとり。電車走ってないけど、やっぱり二つの線が交わるところ。タバコ、最後の一本。もう少し歩いてから吸う。（西国分寺で飲む10）#k2fact209