尾上先生の勉強風景 (10):セクハラ認知

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尾上正人 @9w9w9w92

「女の繁殖生物学の最も本質的な特徴の1つは、年齢である。…より若い女は年長の女よりも、望ましい男からの性的注意に対してより受容的であるかもしれない。彼女らは、マイルドで穏健な性的トーンの行動を、年長の女よりはハラスメントと認知しないかもしれない」p.247.

2018-12-29 16:15:38
尾上正人 @9w9w9w92

「女の繁殖生物学の最も本質的な特徴の1つは、年齢である。…より若い女は年長の女よりも、望ましい男からの性的注意に対してより受容的であるかもしれない。彼女らは、マイルドで穏健な性的トーンの行動を、年長の女よりはハラスメントと認知しないかもしれない」p.247.

2018-12-29 16:15:38
尾上正人 @9w9w9w92

女の年齢とセクハラ認知の関係については少ないが先行研究もある…「女子学生は、(おそらくはより年長の)女性従業員よりは、性的トーンの行動をセクハラとラベル化しにくく、性的トーンの行動を攻撃的と認知しにくい」p.247.

2018-12-29 16:21:57
尾上正人 @9w9w9w92

女の年齢とセクハラ認知の関係については少ないが先行研究もある…「女子学生は、(おそらくはより年長の)女性従業員よりは、性的トーンの行動をセクハラとラベル化しにくく、性的トーンの行動を攻撃的と認知しにくい」p.247.

2018-12-29 16:21:57
尾上正人 @9w9w9w92

〈研究1〉年齢による違い ミッドウェスタン大学の学部生と職員352人(17〜65歳、女68%)に、身体接触・デート要求・外見コメント・見る・顔ジェスチャーの5つの行動を含む、3種類(性的トーンが低い・穏やか・高い)のビニエットを読ませ、セクハラ認知度を1(低い)〜7(高い)で評価。p248・260 pic.twitter.com/AOnk3QtzJU

2018-12-29 21:55:58
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尾上正人 @9w9w9w92

結果…3ビニエットいずれでも、女の方が男よりも性的トーンの行動を深刻に認知する傾向(女の方が平均=Mが高い)。女は年齢が上がるほど、3ビニエットいずれでも性的トーンの行動を深刻に認知する傾向があるが、男は年齢差が顕著でない(低い・穏やかの最年少17〜22歳と44歳以上でのみ有意)。p.251 pic.twitter.com/18LZNYYVYQ

2018-12-29 22:05:52
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尾上正人 @9w9w9w92

権力と地位の区別…セクハラ文献では両者を同一視する傾向があるが別の概念。経験的にも、男の権力・地位と女のセクハラ認知の結びつきは曖昧。先行研究に、権力とセクハラ認知に全く関係を認めないものや、性的トーンの行動は地位の低い男が主導する時に最もネガティブに認知されるとするものも。252

2018-12-29 22:55:44
尾上正人 @9w9w9w92

進化心理学からの予想…女にとり地位は資源獲得と結びつくので望ましく、地位の高い男の性的トーンの行動は地位の低い男よりもポジティブに認知される。逆に、「女の選択は進化した女のセクシュアリティにとって不可欠なので」権力のある男の性的トーンの行動はない男よりネガティブに認知される。252

2018-12-30 03:42:53
尾上正人 @9w9w9w92

〈研究2〉権力・地位の別々の効果 学部生と職員542人(17〜70歳、女69%)に、主導男の地位(法律事務所共同経営者・大手ディスカウント部門マネジャー・コンビニマネジャー)・権力・深刻度を3つずつに分けた27本のビニエットを読ませ、セクハラ認知度を〈研究1〉と同じ7段階で評価。253-4・260-2 pic.twitter.com/57lg9gdzjp

2018-12-30 04:21:24
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尾上正人 @9w9w9w92

結果…女に限定し分析。主導男の権力はセクハラ認知に強い効果、地位は予想に反し有意差なし(地位が上がると僅かに認知度が低下)。地位が権力効果を緩和。どの深刻度でも地位が低く権力が高いと最も認知度が高い。権力は深刻度が低い時に強い効果。女は主導男の権力レベルを一貫し繊細に区別。254-7 pic.twitter.com/T843XyFKTw

2018-12-30 04:51:18
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尾上正人 @9w9w9w92

「年齢は、その妊孕力との関係ゆえに[セクハラ]認知に影響を与える。より若い女は主要な繁殖期間にあり、それゆえ年長の女よりも、望ましい男からの性的注意に対して受容的であると予想された」p.257.

2018-12-30 05:12:19
尾上正人 @9w9w9w92

「地位と権力は、セクハラ認知に逆の効果を持つと予想された。…[結果は]地位はハラスメント認知に主要効果を持たなかったが、主導者の権力については大きな主要効果が起きた」p.257.

2018-12-30 05:17:49
尾上正人 @9w9w9w92

男の対象者についても〈研究2〉を検証…「女と異なり、男のハラスメント認知度は高・中の地位状況では直接・間接権力の有意な違いがなかった。進化的パースペクティブに一致して、女は男よりも、男の主導者が受け手に行使する権力に敏感だったのだ」pp.257-8.

2018-12-30 05:23:39
尾上正人 @9w9w9w92

「概して、どの性的トーンの行動がハラスメントかについての認知は男女で似ていた。このことは、性的トーンの行動の認知への性別効果が過大評価されてきたというグテック(1985)の議論を支持するものである」p.258.

2018-12-30 05:29:14
尾上正人 @9w9w9w92

当研究の限界①年齢と職場経験の関係が説明できていないこと。しかし〈研究1〉で男に認知の年齢差がなかったことから、また深刻度が高い行動では女でも認知の年齢差が小さかったことから、職場経験の影響は小さいのではないか。p.258.

2018-12-30 05:38:28
尾上正人 @9w9w9w92

当研究の限界②…従業員の回答回収(メール)が100%でなかったことから、回答者は非回答者よりもセクハラについて強い見方をしているのではないか。ここでも、男の回答に有意な年齢差がなかったことから、回答バイアスは小さいのではないか。pp.258-9. ロジックがようわからんな…

2018-12-30 05:53:29
尾上正人 @9w9w9w92

政策的示唆…「セクハラ非難を取り扱う上での1つの困難は、人々がしばしば、同じ性的トーンの行動に異なった認知をすることだ」 →①年齢差の考慮…職場組織の年齢構成の分析がセクハラ非難の予測・理解に役立つ(年齢構成が上下に割れている組織では認知問題が表面化しやすい)。p.259.

2018-12-30 06:01:42
尾上正人 @9w9w9w92

→②男女の認知差がそれほど大きくないという知見(特に深刻な性的トーンの行動に対して)…「組織はより自信を持って、敵対的環境行動の明確な定義と制裁において前に進むことができる」p.259.

2018-12-30 06:08:49
尾上正人 @9w9w9w92

→③監督的(直接権力を行使する)立場の人(男)へのセクハラ教育・トレーニングの重要性…意図が無害なものであっても、女に対し権力を持つ男が主導する性的トーンの行動はハラスメントと認知されやすいことを強調する必要。p.259.

2018-12-30 06:15:43
尾上正人 @9w9w9w92

結語「職場はますます、繁殖年齢の人々が出会い配偶関係を作る主要な場になっている。それゆえ、人々がいかに・どんな条件下で、性的トーンの行動を不適切と認知しやすいのかを知ることで、組織は、セクシュアリティに非現実的な制約を加えることなくセクハラをより良くコントロールできる」pp259-60→

2018-12-30 06:41:30
尾上正人 @9w9w9w92

承前「進化心理学と性淘汰理論は、職場におけるセクシュアリティを理解し、セクハラの問題に効果的に対処するプログラムを考案するための、強力なヒューリスティックを与えるものである」p.260. 性淘汰理論の知見はあんまり出てこなかった気が…特に、男は見境なく交尾するのが適応的であるという視点

2018-12-30 06:41:52
尾上正人 @9w9w9w92

読了。女は配偶者選択が適応上の第1課題であるがゆえに、その選択権を阻害する「権力」を敏感に認知し反応するという本論文の知見は、なぜフェミニズムが、セクハラやレイプの専ら権力や支配欲による説明に執心するのかの生物学的な解明・イデオロギー分析にもなっている気がして興味深かった(笑)

2018-12-30 06:42:25