「虚構」と「現実」についての話をします。

最近好きなコンテンツが軒並み「虚構」と「現実」との付き合い方についてバチバチにメッセージを送ってくるような気がしたので、まとめてみました。数日かけた規模なので軽く10,000字を超えてますので、ご注意ください。
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※昨日の話、とは『レイゼロ』に対するお気持ち表明の話です。別にまとめてますのでご興味あればそちらもどうぞ。

らいおねサン @WRaione

昨日の話に関連して、虚構と現実、そして創作について考えたことを垂れ流していきます。 ※この話では、 ◯仮面ライダージオウ(映画含) ◯ダンガンロンパシリーズ(主にV3) ◯レイヤードストーリーズゼロ のネタバレを多分に含める予定ですので、絶対に「イヤだ!!」という方はご注意ください。

2019-01-09 22:45:08
らいおねサン @WRaione

まずは、「虚構」というものの認識について。 90年代、我々はあらゆる創作物について、「これは単なるフィクションだ。つくりものの劇だ。所詮はなんの役にも立たない」という言葉を受けてきました。

2019-01-09 22:45:09
らいおねサン @WRaione

いえ、今でさえそういう考えはかなり強いのですけれど、当時は第四の壁に切り込んだ創作物の台頭があり、なおかつアニメ・ゲームの熱狂的ファンが犯罪者予備軍と認知されるような世論も相まって、「こんなものに耽溺していてはいけない」という総論に収斂していたように思います。

2019-01-09 22:45:10
らいおねサン @WRaione

大事なのは現代における動向なので、当時を思い出したりはしないんですけど(というか当事者ではない)、事実として、旧劇場版エヴァのような「虚構の世界からはいつか卒業し、荒波の現実と向き合うようにしなくては」というメッセージが強く我々を揺さぶり続けていたことは把握しておきたいです。

2019-01-09 22:45:10
らいおねサン @WRaione

というのも、アニメ・ゲームを代表とする「虚構」の世界の産物は、ゼロ年代の終わりがけに差し掛かるまで、大して我々の生活に密着していなかったことが要因です。 今こそ、コンビニ店内でフィクションのキャラクターがキャンペーン告知する声が聞けたり、駅でスマホゲームの広告を見かけますが、

2019-01-09 22:45:11
らいおねサン @WRaione

つい最近まで、そういった「虚構」の世界の存在が、これほどまでに「現実」に溶け合うことはなかったわけです。 “ソーシャル”ゲームと限定する分には、昼も夜もそれに明け暮れる人はオタクに限らなくなりましたし。据え置きにしたっても、持ち歩く光景が自然なものと思われています。

2019-01-09 22:45:11
らいおねサン @WRaione

コミュニケーションの場面にニンテンドースイッチを持ち出す光景がそうですね。この手のCMがまかり通り、“家族団欒の時間も”、“友達と連れ立ってのアウトドアも”、そこに「虚構」の世界との接点を置いてあることが不自然でなくなりました。 流石にeスポーツやパーティゲームに類するものが多いですが。

2019-01-09 22:45:12
らいおねサン @WRaione

映画や音楽ランキングに、アニメや特撮のものがランクインするのも自然になりました。「いい歳こいて……」とは言いにくいのが現代です。 兎も角、アニメもゲームも、オタクのみのものとは限定されず、どのような層の人物でも生活の多くを占めるコンテンツと相成ったわけです。

2019-01-09 22:45:12
らいおねサン @WRaione

何度も言いますが、こういった現象はオタクに限ったことではなくなりました。老若男女にかかわらず、ディズニーランドやUSJで、「虚構」の世界に飛び込んでそれを楽しもうという考え方を自然に受け入れるようになっているのがいい例です。

2019-01-09 22:45:13
らいおねサン @WRaione

グリンチやシュガー・ラッシュを観てきたことを恥ずかしそうに報告する人は今日びいません、ということです。 それどころか、映画の中で主人公たちの心情に思いめぐらせ、目を真っ赤にしてロビーに戻ってくる大人も珍しくないこのごろです。 こういった光景が、自然なものになってきました。

2019-01-09 22:45:13
らいおねサン @WRaione

じわじわと、「虚構」の存在の動向が、われわれ「現実」の存在の心を動かし、生活を動かし、実存的になっています。 しかし、このように活字で整理しないことには気づけないほどに、それは自然です。「同じことを何回も言うな」という声が聞こえそうです。 そうしたくなるほど、無自覚なんですから。

2019-01-09 22:45:14
らいおねサン @WRaione

無自覚が悪いという話をするつもりはありません。 しかし、多少なりとも「虚構の世界の産物に、現実への介入を許してはならない」という意見を聞きながら育った世代のぼくとしては、この先に訪れる「特異点」級の変化を受け入れるために、“自覚的にこの動向を整理する必要がある”と思ったのです。

2019-01-09 22:45:15
らいおねサン @WRaione

最前、『仮面ライダー 平成ジェネレーションズ FOREVER』という映画が公開されました。(現在も上映中です) この映画では、これまで描いてこなかった「平成仮面ライダーを虚構のものと理解しながら、これを視聴してきた現実のひとびと」が登場しました。

2019-01-09 22:45:15
らいおねサン @WRaione

虚構の世界に存在する仮面ライダーは、現実の世界に介入することはできない。 どのように活躍しようとも、それはフィクションの中での解決にしかならなくて、現実の我々に直接寄与できるものは何もない、と。 詳細は省きますが、そのような展開が描かれました。

2019-01-09 22:45:16
らいおねサン @WRaione

現実世界に召喚された仮面ライダーたちがその事実を突きつけられ、一度は挫折するものの、「それでも」と悪役と戦い続けるうちに、人々はその活躍を目の当たりにして、「仮面ライダーだ!」と虚構であるはずの存在に声援を送り始めました。

2019-01-09 22:45:16
らいおねサン @WRaione

「虚構だろうが現実だろうが、ライダーは存在する」という人々の信頼が、次々と歴代平成ライダーを召喚して主人公たちのピンチに駆けつけさせました。 その中には当時の劇中で失踪したり、変身能力を失っているはずのライダーもいます。しかし、その文脈を無視して彼らは集まりました。

2019-01-09 22:45:17
らいおねサン @WRaione

ここで大事なのは、作品の文脈よりも、「作品が完結しようが、どのライダーも人々の心で戦い続けている」という考えを優先していることです。 モチーフを変えて、いくつもヒーロー(あるいは千の顔を持つ英雄とも言えましょうか)は世の中に増えていきました。ライダーに限らない話ですが。

2019-01-09 22:45:18
らいおねサン @WRaione

人によって、自分が「本当に存在する」と最も信じられていた仮面ライダーは、(≒自分が子供の頃に憧れていた仮面ライダーは、)世代によって違うことでしょう。 ある時点からは、「似たような別物が後続にどんどん増えていく」ことを認識して、いつしかそれは「虚構」でしかないと考えるでしょうが。

2019-01-09 22:45:19
らいおねサン @WRaione

それぞれの世代の人々が持つ、「ピンチに駆けつけてくれるはずの、自分のヒーローは……!?」という期待が折り重なった結果、『平ジェネF』では、すべての平成ライダーが並び立つことを可能にしたわけです。 この映画に限って、「現実」の人々が信じる「虚構」として描いたからこその奇跡でした。

2019-01-09 22:45:19
らいおねサン @WRaione

逆に言い直せば、この映画の奇跡は“「現実」の人々がいないと成り立たなかった”ということになります。 「虚構」のみでは、できなかったことなのです。 今や、 「現実」ばかりが「虚構」に溶け込んでいるのではありません。 「虚構」もまた、「現実」に溶け込んでいるのです。

2019-01-09 22:45:20
らいおねサン @WRaione

溶け合った「現実」と「虚構」は、互いの世界に影響力を及ぼしあうようになった、と考えてもいいでしょう。 『平ジェネF』の 「あなたの記憶に、彼らは生きているか」 というキャッチコピーは、「虚構」を信じる心を、劇中の彼らを支える力にしてほしい、という要請だったのかもしれません。

2019-01-09 22:45:20
らいおねサン @WRaione

平成の長い歴史を戦ってきたのは仮面ライダーだけではない。その側で、私たちも一緒に戦っていたのです。 おそらくは平成最後のライダー映画になるであろうこれは、そのことを最後に伝えようとしたのではないでしょうか。 そうなると「どうしてこのタイミングなのだろう?」という疑問が生じます。

2019-01-09 22:45:21
らいおねサン @WRaione

“「現実」の我々は「虚構」の仮面ライダーと二人三脚で歩んでいる”。 それは、言ってみれば当然のことである気もします。 そこで話を終わらせればそれまでですが、しかし「その意味するところがだんだんと変質してきた」と仮定すると、再確認する意味は大いにあるのではとぼくは思うのです。

2019-01-09 22:45:21
らいおねサン @WRaione

これまでは、“二人三脚”の意味するところは、 「『仮面ライダー』シリーズは虚構のものでありながら(主に幼年層の)視聴者のパーソナリティ形成に大きく影響し、また逆に視聴者の感性の変化に大きく影響されてきた」 という感じだったと思います。

2019-01-09 22:54:55
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