「虚構」と「現実」についての話をします。

最近好きなコンテンツが軒並み「虚構」と「現実」との付き合い方についてバチバチにメッセージを送ってくるような気がしたので、まとめてみました。数日かけた規模なので軽く10,000字を超えてますので、ご注意ください。
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らいおねサン @WRaione

しかし最近は、 「『仮面ライダー』は“番組”、“映画”といった虚構の領分に留まらず、視聴者もまた“傍観者”“消費者”といった現実の領分に留まらず、互いに並び立てるような特別なレイヤー(領域)において、共同で何かを成せるようになるはず」という期待を“二人三脚”と呼んでいるのでは、と思います。

2019-01-09 23:03:36
らいおねサン @WRaione

実際のところ、そのようなメッセージを込めておきながら、『平ジェネF』では「虚構」と「現実」の共存するレイヤーを用意したわけではなかったのですが。 現代では技術的に無理があるので、「虚構100%」の映画の中に、「現実」の観客の代弁者を登場させ、擬似的にこれを達成した次第です。

2019-01-10 22:55:25
らいおねサン @WRaione

“観客の精神波を検知してボルテージの数値に変換し、映像の内容をこれに沿ったものに差し替える”システム、みたいなものがあったらよかったんですけど、流石に無理がありますものね。 だから現時点では「観客はみんな仮面ライダーを信じている」と前提を仮定したうえで、内容を固定していました。

2019-01-10 22:58:57
らいおねサン @WRaione

なので、 もし『平ジェネF』を観に来た観客が全員無感動に映像を眺めていたとしても、内容は同じでしたし…… もし席がぜんぜん埋まってなくて、一人二人ぐらいしかいない回の上映でも、内容は同じでした。 このような齟齬が起きる可能性は、大いにありえます。

2019-01-10 23:05:43
らいおねサン @WRaione

だからこそ、事前にパンフレットやPVに 「あなたの記憶に、彼らは生きているか」 という確認を兼ねた煽り文句を載せていたのではないかと思います。 事前に十分に観客の気持ちを煽り立てておくことによって、(実際は出来レースの)“「虚構」と「現実」の共闘劇”を、真実らしく見せるようにしたと。

2019-01-10 23:05:44
らいおねサン @WRaione

なんか、このように書くと「東映がめちゃくちゃ悪どいことをしてる」ように感ぜられますが、そのような話につなげたいのではなくて。 言いたいのは、“この「虚構」と「現実」の折り重なるレイヤー”というものを、東映は一種のSFとして提示したのではないか、ということなんです。

2019-01-10 23:21:20
らいおねサン @WRaione

例えるなら、 ◯ウルトラ警備隊の“腕時計型テレビ電話”とか、 ◯喋るし自立思考する車“ナイト2000”とか、 ◯人々の友情を可視化する“ブラザーバンド” みたいな感じで、「現時点では技術的に無理だけど、近いうちに実現できそうだから虚構の中で擬似的に実現してみた」設定のようなものです。

2019-01-10 23:21:21
らいおねサン @WRaione

※(現時点では上記の3つはすべて現実のものになりつつあります。) 平成の終わる節目において、敢えて “集大成として「虚構」の仮面ライダーと「現実」の観客(あるいはファン)の関係性“を、 “同一のレイヤー上に共存して戦えるもの”として結論したのですから、ぼくとしては考えすぎとは思えない。

2019-01-10 23:21:21
らいおねサン @WRaione

そして映画と並列し、「平成ライダーの歴史の継続を望む勢力」と「望まない勢力」の戦いを描き始めている『ジオウ』を加味して考えると、 本当に東映は20作目を以って「平成ライダーの葬送」をする気になっているのだな、と感じます。

2019-01-10 23:30:18
らいおねサン @WRaione

もしかすれば、 新元号ライダーのあり方は、いつか技術の発展に伴って単なる「番組」(あるいは「映像作品」)に留まらず、破壊的なまでに現実に干渉“する”(あるいは干渉“される”)ようなものに変質するのかもしれません。 それはテレゴングだとか、データ放送といった生易しいものでないはず。

2019-01-10 23:30:18
らいおねサン @WRaione

“「虚構」と「現実」が共存するレイヤー”。 それについて、具体的なものを提案することはまだ難しいと思います。 強いて挙げるとするのなら、それはMR(複合現実)技術の発展という形で実現されるセンが一番有望そうです。

2019-01-10 23:33:47
らいおねサン @WRaione

ところで、エンターテイメントをより面白くするための“「虚構」と「現実」の融合”という工夫を盛り込んだ結果を思考実験してくれたゲームがあるんですよ。 『ニューダンガンロンパV3』っていうんですけど。 ほぼ2年前に発売し、当時はAmazonレビューで賛否が真っ二つに分かれた怪作です。

2019-01-11 00:13:36
らいおねサン @WRaione

ここからはこちらの話に移って行こうかな、と。 ※ この作品はその特性上、ネタバレしてしまうのが非常に心苦しいので、具体的な単語を避けて展開するつもりですが、一応クッションを敷くことにします。 下のマークで囲む内で話をしますので、目印にしてください。。 ▽▲▽▲▽

2019-01-11 00:13:37
らいおねサン @WRaione

まずは概要をば。 このゲームは、“超高校級の◯◯”と評された非凡な高校生たちが閉鎖空間に閉じ込められ、“コロシアイ学園生活”と称したクローズドサークル系デスゲームを強いられる人気シリーズの3作目です。 外伝作品やオリジナルアニメもあるぐらいで、“キャラ”ゲーとしての人気も名高いです。

2019-01-11 00:44:24
らいおねサン @WRaione

この、「“キャラ”ゲーとしての人気も高い」という点はものすごく大事なところです。 ある時はプロデューサーの小高氏がGDC(ゲームデベロッパーズカンファレンス)で、良いキャラクターメイクの秘訣を講演することもあったぐらいで、それほどに『ダンガンロンパ』のキャラクターには定評がありました。

2019-01-11 00:44:25
らいおねサン @WRaione

ゆえに、『ダンガンロンパ』はキャラクターを消費的に使い潰しかねない「デスゲーム系」のゲームでありながら、途中退場していくキャラクターたち全てに凄まじいまでの感情移入を引き寄せることを可能とする稀有なコンテンツとして評価されました。

2019-01-11 00:44:25
らいおねサン @WRaione

第1作の時点で完成度は高い水準に達しており、 ◯本格ミステリーに引けを取らないハウダニット推理体験 ◯いつどのキャラクターが退場するか分からない緊張感 ◯ゲーム開始当初の物語の印象を一章ごとにひっくり返せる巧妙なサスペンスの組み立て ◯決して陰惨な雰囲気で終わらせないネタのバランス

2019-01-11 00:55:18
らいおねサン @WRaione

他にも、 ◯すべての殺人事件に対する必然性の確保 ◯多人数のキャラクターの個性をフル活用 ◯莫大な情報量を適時整理してくれる親切設計 など、褒めるべきところは枚挙にいとまがありません。 そのため、プレイヤーは劇中の出来事を極めて現実らしく感ぜられるようになっていました。

2019-01-11 00:55:18
らいおねサン @WRaione

体験を受容するテンポを阻害するようなノイズは限りなく少ないし、体験をもっともらしいものとして裏付けるリアリティ(もといビリーバビリティ)も高い作品であったわけですね。 続く2作目も、その流れに乗ってさらに洗練された体験を提供できていたと思っています。

2019-01-11 00:59:03
らいおねサン @WRaione

ところで『ダンガンロンパ』の物語は、「希望」と「絶望」の対立をメインテーマにしています。 デスゲームに参加する高校生たちは、ゲームの段階が進むにつれて、閉じ込められた環境の外にある「世界の真実」を知り、煩悶しながらも、ゲームを仕掛けた黒幕と対峙し、「希望」の価値を確認します。

2019-01-11 01:13:25
らいおねサン @WRaione

合わせて、自分たちを知らずに取り巻いていた「絶望」の正体を知り、「希望」と併せ呑むかたちで、作品ごとの答えにたどり着き、黒幕を打倒して外の世界に飛び出していきました。 第1作では、単純に「希望」は「絶望」に勝るもの、と自信を取り戻して黒幕を打倒しました。

2019-01-11 01:13:26
らいおねサン @WRaione

第2作では、「希望」と「絶望」のどちらを選んでも主人公たちは自滅する状況に追い込まれるも、「希望を選びかつ、デメリットの全てを無効化した未来をこの手で創造する」という結論に達し、黒幕を妥当しました。 そして、第3作。 ここにきて、前2作を大きく超えた、衝撃的な結論が導かれました。

2019-01-11 01:13:26
らいおねサン @WRaione

あろうことか、『V3』の主人公たちは、「希望」と「絶望」のどちらをも完全に否定し、これのどちらにも進まない、というぶち壊しの結末を選んでしまったのです。 もちろん、これはキャラクターを最大限に尊重する『ダンガンロンパ』だからこその結論であり、曖昧な放棄は行われておりません。

2019-01-11 22:04:29
らいおねサン @WRaione

その理由はこうです。 新機軸に移行したという触れ込みの『V3』でしたが、実は前2作をメタ的にフィクションとして捉えたうえの、模倣品の「コロシアイリアルフィクション」であることが終盤にて判明するのです。

2019-01-11 22:04:30
らいおねサン @WRaione

あまりにゲーム「ダンガンロンパ」が人気になりすぎた結果、続編は出に出続け、ついには現実の人間の記憶・身体を弄ってまで個性的なキャラクターを人工的に生み出し、閉鎖空間でコロシアわせる24時間生放送ドキュメンタリーにまでエスカレートしていた、というのが真実でした。

2019-01-11 22:04:30
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