安:周りに他の囚人がいるので、施設の中では常に日本人ではない、中国人だったり韓国人だったりとか。大きな施設の中ではアラブ人ばっかりだったんで、そこでは中国人だと言っていたんですけども、ウマルの動画を撮った場所はウィグルの施設だったんで、
2019-01-14 21:13:25彼らは中国人ですから「中国人ではなくて韓国と言え」と言われていたんですね。最初の1年間は民家にいて、私しかいないのでそういうことは言われなくて、日本人と言っても問題なかったので、だから最初の動画などは特に韓国と言わないですし、自分の名前を言っても問題なかったんですけど、
2019-01-14 21:13:25この施設に移ってからそれが変わったんですね。 荻:これは自分で言いながら「この動画は一体なんなのか」ということは想像しないまま撮らされていた、という状況ですか?
2019-01-14 21:13:26安:日本語で話している時点で、彼らはチェックできないですよね。文章であればネットで調べたりできますけど、日本語ってすごいマイナー言語なので、それを口頭で言ったものを彼らが調べるっていうのは難しいじゃないですか。
2019-01-14 21:13:26だから自分は「日本語で言え」と言っている時点で、公開するものじゃないだろうと思っていたんですよ。何を言うか分からないわけですから。そういう中で「名前と国籍を言え」と言われていて、それはチェックできるわけじゃないですか。自分がウマルと言うか安田純平と言うかというのは分かるので、
2019-01-14 21:13:27そこの部分のルールをちゃんと守るかどうかというゲームの一環だろうと私は思っていたんですけど、それが公開されていたので、目的がよく分からないですよね。
2019-01-14 21:13:27荻:またこれが公開されることによって多くの報道も困惑し、また「日本人じゃないんじゃん」という形の、妙な切断操作というか、自己責任であるというか、そうした論調がとても大きくなった部分があります。
2019-01-14 21:13:27蓮:ラジオネーム・さなえさんです。「安田さん、よくぞ無事に帰ってきてくださいました。想像を絶する恐怖の中、奇跡的に気持ちもしっかりなさっていたことに感動しました。どうぞご自分を大事にして、しばらくゆっくりと休んでいただきたいです。
2019-01-14 21:17:12安:現地に行く以上は、自分の身に起きるものは自分の身で受け入れるしかないので、それはもう、これ以上のものではないというか。悪いことなのかどうかというのは別として、死ぬかもしれないし、何があるか分からないですけれども、そういった場所に入る以上は、
2019-01-14 21:17:12荻:覚悟と受忍というようなことですよね。そのために準備をしていくということ。ただ、それを社会が切り離す言葉として使うことや、あるいは政治がそれを切り離すために使う言葉では全く意味が変わってくるものなので、そこはやはり慎重に考えなくてはいけないなと思います。
2019-01-14 21:17:13最後に保坂さん、この3年間でシリア情勢も大きく変わりましたよね。こういった中で、安田さんのようなジャーナリストが、安田さんご自身はしばらくの間なかなか入れないと思うのですけれども、現地に行ってより見るべきものも増えていると思うのですが、そのあたりどうお感じになっていますか?
2019-01-14 21:17:13保:私自身は安田さんのようなフリーのジャーナリストの方を巡る待遇の問題をすごく考えていまして、今回のケースもそうですけども、きちんとした警備を付けるとか保険を払うとか、そうしたシステムを大手のジャーナリズム・メディアがフリーの方からニュースを買うなり何なりするときには、
2019-01-14 21:17:14そのあたりもきちんと盛り込まなければ無理だという感じはすごくしているのですね。はたしてそれがサステイナブル(持続可能)かどうかは分からないですけれども、そうしたような状況をある程度考えていく必要は出てきているとは思うのですけれどもね。
2019-01-14 21:17:14山:近頃報道もすごく少なくなっていますし、でもさっきおっしゃったように今こそやはり非常に大変な時で、ちらほら復興などという言葉も聞くのですけども、まだ国外に出ている、避難を余儀なくされている人たちがたくさんいて、帰ってきたらどんな目に遭うか分からない方がいっぱいいる中で、
2019-01-14 21:20:23シリア人不在の復興というのは考えられないと思うので、そういった人たちをいかに正当な形で国に戻って来るか、あるいは外にいても正当に扱っていけるか、そういったことを私たちはどんどん考えていかなきゃいけないし、
2019-01-14 21:20:23そういう意味でもジャーナリストの方にいろいろなことを報道していただきたいと考えております。 荻:安田さんも今回の件をまとめるなどして、同時に自己検証をしていくと思いますけれども、落ち着いたらどんな作業に向き合っていきたいと思いますか?
2019-01-14 21:20:24安:そうですね。自分自身の内面の話は自分の話なんですけども、拘束された経緯であるとか、現地で見聞きしたものがどういう意味があるのか、先ほどの記者が現地で取材するにはどうするか、警備とかがいいのかどうか、紛争地では武装組織がたくさん戦っているし、
2019-01-14 21:20:24米兵なんかは何千人もイラクで亡くなっているので、警備を付ければ済むという問題でもなかったりするので、そういった方法論も含めて考えていきたいなと思っています。 蓮:皆さん、ありがとうございました。 全員:ありがとうございました。(了)
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