サイバー戦争入門

いつかやってくる、未来
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うえだしたお @YT1093

1. 外交とビジネス、通商による支配 2. プロパガンダによる情報操作 3. 親ロシア的な指導者の擁立と、反ロシア的指導者の追放(政権転覆) 4. 左派勢力、過激派、犯罪組織の支援(反ロシア政権への転覆工作) 5. 経済戦争、エネルギー資源戦争 6. 民族対立や緊張の演出 7. 正規・非正規戦争

2019-01-19 17:43:08
うえだしたお @YT1093

なかでも、プロパガンダによる情報操作はコミンテルン以来の伝統芸であった。また、デカップリング(離間工作)を得意とするため、反ロシア的国家に対する左派勢力の支援、過激派、犯罪組織の拡大などはお手の物である。

2019-01-19 17:43:27
うえだしたお @YT1093

ところで、そろそろサイバー戦争の話に戻ろう。ロシアの大戦略に含まれている「正規・非正規戦争」には当然ながら「ハイブリッド戦争」をも包摂している。なかでも、ハイブリッド戦争の前哨戦こそが「サイバー攻撃」であった。

2019-01-19 17:43:45
うえだしたお @YT1093

サイバー攻撃の主体には大きく分けて二種類が存在している ・国家 ・非国家(非正規軍、ゲリラ、テロリスト、犯罪者集団、個人など)

2019-01-20 03:13:48
うえだしたお @YT1093

サイバー戦争における防御の法的枠組みはいまだ完成しておらず、例えば規模の大小に関わらず、非国家によるサイバー攻撃(金融犯罪、薬物取引、児童ポルノなど)を捜査する機関にはIGCI(インターポール、サイバー犯罪対策部局)が挙げられる。IGCIの本拠地はシンガポール、初代局長は日本人だった。 pic.twitter.com/ElNdwHIw1e

2019-01-20 03:18:16
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うえだしたお @YT1093

他方で、ICPOは対国家という前提における捜査には着手できない。政治軍事、ならびに人種問題、宗教にまつわる捜査はICPO憲章によって否定されている。したがって、「サイバー戦争」という軍事行為を取り締まる国際機関は事実上、存在していないことになる。 pic.twitter.com/d39mlDESaj

2019-01-20 03:29:55
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うえだしたお @YT1093

もっとも、国際社会はこうした事態に手を拱いていたわけではない。90年代半ばには欧州評議会においてサイバー犯罪専門家会議を設置、97年以降にはサイバー犯罪にまつわる条約作成の実務作業に入った。2001年には欧州評議会閣僚委員による合意がなされたのち、同年、正式に採択される。

2019-01-20 03:30:19
うえだしたお @YT1093

これを「サイバー犯罪条約(2001)」と言い、一般には採択されたハンガリー首都の名をとって「ブダペスト条約」と呼ばれている。

2019-01-20 03:30:38
うえだしたお @YT1093

詳細については、「外務省:サイバー犯罪に関する条約」に概略がまとめられている。現時点で五十数カ国が批准しており、少なくともサイバー犯罪だけは国際的な枠組みで対処できるように(表向きは)なった。 mofa.go.jp/mofaj/gaiko/tr…

2019-01-20 03:33:23
うえだしたお @YT1093

ところが、まだ問題は残されている。サイバー犯罪のなかでも、とりわけ規模と被害の大きい「サイバー戦争(サイバー安全保障)」の分野には、いまだ条約も存在していなければ、これに対処する国際機関も設置されていないのである。

2019-01-20 03:36:32
うえだしたお @YT1093

こうした現状に対して、かつて「ジャパン・ハンドラー」としてアーミテージと並ぶ影響力を示したジョセフ・ナイ(Joseph Nye)は2015年5月に試論として、サイバー戦争における条約締結の必要性を述べている。 pic.twitter.com/kbavaE80Rb

2019-01-20 03:40:11
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うえだしたお @YT1093

ジョセフ・ナイによる試論では、脅威(cyber threat)を以下のように定義する 1. 国家やそれに準ずる組織が主導する cyber war 2. 国家(以下略)が主導する産業・経済スパイ活動 3. 非国家組織によるサイバー犯罪 4. 非国家組織によるサイバーテロ ナイは、各々に異なる対処の必要性を訴えた

2019-01-20 03:44:25
うえだしたお @YT1093

現在、米露による提案では、国連主体によるインターネット規制条約の可能性が模索されている。しかしながら、インターネット空間における「検閲」も危惧されることから、各国の国内法に照らした上で共通する「明白な違法行為」の監視から着手する計画など、様々な提案がなされている。

2019-01-20 03:49:22
うえだしたお @YT1093

ところで、わたくしはiPhoneを契約解除してガラケーを持ち歩いている。自宅においては家電のIoT化をきらい、スマートスピーカーの類は勿論、NAS(SSDやHDDのネットワーク共有)も行っていない。取引用端末や寝室のiMacを除く、機微な情報を含めた端末はネットワークに接続すらしていない。

2019-01-20 03:54:33
うえだしたお @YT1093

いささか神経症的な慎重さを誇るわけではない。サイバー攻撃の危険性をあえて強調しておく趣旨である。

2019-01-20 03:55:42
うえだしたお @YT1093

それでは、サイバー戦争入門の最後に「サイバー攻撃202X年」と称して、簡易シミュレーションでもやっておこう。

2019-01-20 03:59:22
うえだしたお @YT1093

先ず、サイバー攻撃による全機能停止(black out)を具体的にイメージしよう。ここではドラマ「レボリューション(2012)」から、サイバー攻撃によるブラックアウトの場面をご覧いただこう。 pic.twitter.com/dGpo6FyKXt

2019-01-20 04:49:13
うえだしたお @YT1093

もちろん、現実のブラックアウトに「チカチカ」といった、いかにも映画の演出めいた時間的猶予は存在しない。コンピューターの稼働中に電源ボタンを押してみればわかるように、スッと音もなく、心の準備もなしに全機能を停止する。

2019-01-20 04:59:41
うえだしたお @YT1093

202X年、首都圏郊外のトンネル内にて、非常用の通話ボタンが押される。通話に応じたのは警備会社の職員で、数年前から自治体に委託されてトンネルの維持管理を請け負っていた。事故とトンネル内部の損傷を報された職員は担当職員に連絡、現場到着までの目安を告げて通話を終える。 pic.twitter.com/sxFpLdmj9Z

2019-01-20 06:05:04
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うえだしたお @YT1093

警備会社の職員がトンネルに駆けつけると、そこには誰もいなかった。とまどいながらも報告書を書いて業務を終えると、職員は家路についた。こうした奇妙な通報は同時期に観測されていて、或るときは線路の上に置き石が、また或るときには汚物がプラットホーム上に巻かれるなどの「実害」も報告された。 pic.twitter.com/o25PvlIKuT

2019-01-20 06:08:54
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うえだしたお @YT1093

インフラの老朽化が進むなか、鉄道各社では送電線の保守管理がこれまで以上に課題となっていた。とりわけ変電所の設備は老朽化も著しく、保守要因の人手も足りていない状況が続いている。一部の路線では送電線を覆う絶縁体がはがれて架台に接触、ショートを起こして停電事故を起こしてしまった。 pic.twitter.com/TpBWk8tDqC

2019-01-20 06:10:23
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うえだしたお @YT1093

80年代の鉄道民営化を経たのち、景気低迷による雇用の抑制も相俟って、鉄道の保守管理を担う現場では年齢構成に著しい偏りが生じていた。かくして、起こるべくして起きた事故が2010年代後半より目立ち始めたのだ。 pic.twitter.com/ZAjqXkKzov

2019-01-20 06:11:42
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うえだしたお @YT1093

企業による設備投資を「ジュグラー循環」というサイクルで捉えることがある。さらに長いスパンで起こる建設投資を「クズネッツ循環」と呼び、各種の循環は時には重なり合い、時には断続的に続くことで、大きな景気循環を生んでいる。奇しくも、2010年代はインフラ老朽化の直撃した時代であった。

2019-01-20 06:13:13
うえだしたお @YT1093

折しも不安定化していた極東情勢に際して、こうした脆弱性を見逃さない勢力が存在していた。彼らは充分な人材と資金を浸透先の日本に投入して攻撃の機会を伺う一方で、日本社会に善良な一市民として同化、様々な現場で就労するなど、社会的な評価も築き上げてきた。

2019-01-20 06:13:33