ギガベース日誌　過去編「ラインアーク防衛」

再す誕ふ者ん🍜🍬 @hfsm_ABIDING

「依頼の内容を説明させてください」　#ギガベース日誌

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「ラインアークに対し、企業連の本格攻撃が開始されようとしています」 #ギガベース日誌

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「企業連はこれまでも数々の有形無形の嫌がらせをしてきましたが、それでも折れない我々に、遂に剥き出しの悪意をぶつけてきたのです。我々には、ホワイト・グリントという強力な切り札があります。ですが、企業が本気になったとすると、決して十全な戦力ではありません」　#ギガベース日誌

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「我々が手に入れた情報では、中央管理局攻撃を目的とした2機の最精鋭ネクストとは別に、居住区侵攻を目標とした空挺部隊の存在が確認されています」　#ギガベース日誌

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「既に我々は、一人の優秀なリンクスに対し、ホワイト・グリントと協働した防衛任務を依頼しています。しかし、彼等が企業のネクストに釘付けにされてしまえば、別動隊を止められる戦力はありません。多くの犠牲が出る事は疑い無い状況です」　#ギガベース日誌

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「ですから、あなたに3枚目の切り札になって頂きたいのです。地上を棄て、地上の民を棄てた現在の企業は、もはや社会を支える賢明な経済主体などではなく、選民思想に支配された独善的寄生虫に過ぎません」　#ギガベース日誌

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「あなたなら分かるでしょう。企業の支配する世界に、未来などありません。我々自治市民が、途を切り拓かなければならないのです」　#ギガベース日誌

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「勿論、できるかぎりの謝礼は用意します。あなたの力を我々に、自由のために貸してください」　#ギガベース日誌

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海上都市ラインアーク、中央管理局近辺。 海上輸送路デルタライン上にて。　#ギガベース日誌

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大海原を切り分ける超巨大輸送路、夕焼けに照らされた海上の交差点の上に、2機のネクストが並び立つ。 停滞と脆弱。 クレイドル体制に異を唱え、自由主義を掲げるラインアーク。その最精鋭戦力たるネクスト「ホワイト・グリント」を葬るべく差し向けられた刺客。　#ギガベース日誌

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カラードランク1、常に戦場に在る実力派の天才オッツダルヴァが駆るステイシス。オーメルの抱えとなったアスピナ機関が送り出した実験個体CUBEが搭乗するフラジール。 2機は何にも阻まれる事無く、中央管理局を視認できる位置まで到達した。少なくともここまでは。　#ギガベース日誌

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2機は、ラインアークが主張するところの「主権領域」をとうに侵犯しているが、リンクスはそれを気にも留めていない。 敗者の主張が普遍性を得られるほど、この世界は優しくは無い。 「……政治屋共」　#ギガベース日誌

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「リベルタリア気取りも今日までだな。貴様等には水底が似合いだ」 そう、オッツダルヴァは気だるげに吐き捨てた。競争に敗れ、体のいい安寧に縋る事しかできなくなった者達への、ある種の軽蔑と呪詛を込めて。　#ギガベース日誌

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「いけるな？フラジール」 「はい、そのつもりです」 オッツダルヴァの呼びかけに、CUBEは無機質に返答した。ある種の自身が垣間見える反応を受け、天才は満足げだった。 「それはよかった。じゃあ、行こうか」　#ギガベース日誌

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2機を迎え撃つは、ラインアークが誇る最高戦力、ホワイト・グリントと、ラインアークが今回の防衛の為に雇った独立傭兵が駆るストレイド。 彼等もまた海上輸送路上に立ち、中央管理局に接近するステイシスとフラジールと相対する。　#ギガベース日誌

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ストレイドのオペレーター、セレン・ヘイズは、僚機のオペレーターに通信を繋ぐ。 「こちら、ストレイド、オペレーターのセレンヘイズ」 「ホワイト・グリント、オペレーター、フィオナ・イェルネフェルトです。貴方方のご協力に感謝します。共に幸運を」　#ギガベース日誌

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「それより、一つ確認させろ。敵ネクストとは別に、航空戦力も投入されるという話だが」 「心配要りません。もう一人、優秀なリンクスに対応を依頼しています」 「……DfJ、ARETHAか」　#ギガベース日誌

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DfJ。謎多きそのリンクスについて、セレンの情報網にも何度かかかっていた。 トーラス設立に前後してカラードに登録した腕利きの独立傭兵。あからさまにトーラスに近く、カラードランクの底辺をうろつくテレジア以上に黒い噂が絶えない男。　#ギガベース日誌

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彼に関する噂で、関わった任務の内容以上に、セレンにとって強くひっかかるものがある。 それは、彼の姿と声が、リンクス戦争で戦死した筈のとあるリンクスのそれに酷似しているというものだった。　#ギガベース日誌

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実際、該当するリンクスと実際に会話をし、今の時代まで生き残った者は殆どいない。オリジナルの大半は戦場に没し、アスピナやアナトリアの生き残りの多くは口を閉ざしている。 その中で、セレンは数少ない“例外”だった。　#ギガベース日誌

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彼女はかつて一度だけ、そのリンクスと会話した。 取るに足らない、短い内容だったが、その声は未だ記憶としてこびりついている。 今回の作戦で、DfJと通信を繋ぐ機会があれば、あるいは……。　#ギガベース日誌

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そんな考えを、セレンは一呼吸もしないうちに捨てた。 彼女の今の使命。それは、自分が見出した可能性に満ちた少年を、最大限にサポートする事に他ならない。 「……聞こえるな」 「うん。セレン、どうかしたの？」　#ギガベース日誌

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「任務に集中しろ。ホワイト・グリントと協働し、企業のネクストを撃破する」 「わかった」 ぶっきらぼうな態度のオペレーターに特に不平を溢す事も無く、少年は自らの乗機、ストレイドのOBを起動した。　#ギガベース日誌

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企業とラインアーク。 絶対的な敵対関係にある二者。それらの思惑を背負い、4機のネクストは激突する。 体制と反体制。管理と自由。 多くの目にとって、その戦場はありふれた思想の衝突の現場にしか見えていない。　#ギガベース日誌

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その実態が、かつて天蓋を目指した者達の妄念を歪んだ形で実現する為の舞台装置であるなどと、当事者たるリンクス達は知る由も無い。　#ギガベース日誌