クルセイド・ワラキア #7 前編

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
0
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

だが、今さらどうすればいい。ツインテイルズは必死に考えた。既に殺し合いは始まっている。間違っていましたと言って、今さら吸血鬼ニンジャたちと和解できるだろうか?ありえない。だとすれば、すべきことはひとつだ。 48

2019-02-20 23:41:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「時間がない!とりあえず黙ってて!イヤーッ!」「グワーッ!?」ツインテイルズはソニアの鳩尾にカラテを叩き込み、気絶させた。そして彼女を米俵めいて肩に担ぎ、オー・オーの側に駆け寄った。「オヒメサマを捕まえた!ヤッタゼ!逃げるよ、オー・オー!」 49

2019-02-20 23:43:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「0_o」オー・オーは驚きながらも、ツインテイルズとともに、バルコニーに向かって一目散に走った。「「「アイエエエエエエエエ!」」」UNIX技術者たちはニンジャの狼藉を見て、悲鳴をあげ、螺旋階段へと逃げていった。 50

2019-02-20 23:45:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「急いで!オー・オー!」ツインテイルズはオー・オーの肩にあるフライト用取っ手を掴み、腰の後ろのマルチタッパーに足を乗せて、彼を急かした。「早く、もっと早く!」 51

2019-02-20 23:47:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「オー・オー」オー・オーは腰だめ姿勢を取り、前屈みになった。シュゴウン!シュゴウン!シュゴウン!バックパックとサイバネ足の裏から白い火花と煙を伴うジェット噴射が開始され、オー・オーの重サイバネ巨体が徐々に浮き上がり始めた! 52

2019-02-20 23:48:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

最初は数センチ。やがて二段階目の噴射が開始され……。シュゴアアアアアアア!凄まじい噴射音とともに、オー・オーの巨体が飛び立つ!バルコニーを離れ、ネオワラキアの暗黒の空へと! 53

2019-02-20 23:50:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ヤッタ!」ツインテイルズが陰鬱な森を見下ろしながら叫ぶ。このまま国境外へ脱出できれば、自分たちの勝ちだ! ……だが、その時。彼女のニンジャ第六感が危険を告げる。尖塔の周囲を飛び回る無数の蝙蝠、その全ての視線が自分に集まったかのようなゾワゾワという恐怖感が、彼女を襲った! 54

2019-02-20 23:53:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何かに、見張られてる……!?」ツインテイルズは、城の中庭から竜巻めいて迫る、ひときわ黒々とした蝙蝠の群れを見た。それは決然たる意志を持って彼女たちを追ってくるようであった。オー・オーは飛行姿勢を制御するのに精一杯で、それに気づいていない。 55

2019-02-20 23:55:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「オー・オー、危な……!」ツインテイルズが警告を発した時には、既に手遅れだった。大小様々の蝙蝠の群れは、空中で凝縮すると四方八方に弾けた。その中から現れた人型が、彼らに飛びかかってきた。ツインテイルズは恐怖で目を大きく見開いた。それはネオワラキアの主、ブラド・ニンジャであった。56

2019-02-20 23:57:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」「ピガガガガガーーーーーッ!?」ブラド・ニンジャの強烈なトビゲリがオー・オーを直撃!KBAM!KBAM!KBAM!オー・オーは小爆発を伴ってキリモミ回転し、ツインテイルズごと玉座の間のバルコニーへ叩き落とされた! 57

2019-02-21 00:00:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ツインテイルズは気絶したソニアを抱えたまま、緊急回避着地!CRAAAAASH!叩きつけられたオー・オーは、転倒したバイクめいて火花を散らしながら玉座の間の床を滑り、そのまま仰向けで動かなくなった。「ちょっと、オー・オー!?オー・オー!」ツインテイルズは青ざめた。 58

2019-02-21 00:03:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「盗人どもめが、余の玉座の間を直接狙うとは……」レッドドラゴンは蝙蝠の群れを従え、バルコニーへと着地した。彼が大理石の床を闊歩すると、蝙蝠たちはケープへと吸い込まれてゆき、影はさらに暗く深くなった。「ア……ア……」ツインテイルズはソニアを抱えたまま後ずさった。 59

2019-02-21 00:06:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「その愚かしさに相応しい死を与えてやろう…!」玉座の間に降り立ったブラドはヌンチャクを構えた。「余を畏れよ…!」剥き出しの怒り。剥き出しのカラテ。リアルニンジャの存在感がアトモスフィアを歪め、壁に飾られた若きブラドや亡き妻や家族らの肖像画の目が、全て、ツインテイルズを凝視した。60

2019-02-21 00:09:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ニャイエエエエエ……!」ツインテイルズは恐怖し、腰を抜かした。彼女は必死で状況を説明しようとした。「ち、違います、騙されて、ここに……!」呂律が回らない。格が違う。彼女は逃れえぬ死の運命を悟った。すぐ横には気を失ったソニアがいた。どう見ても命乞いは無駄だろう。ただの人攫いだ。61

2019-02-21 00:12:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(((オー・オー、助けられなくてごめん……)))ツインテイルズはその場で仰向けになり、黒海の浜辺に打ち上げられたアジめいて口をパクパクさせた。レッドドラゴンはツインテイルズをカイシャクすべく歩み寄った。だが……広間の中央で、不意に立ち止まった。 62

2019-02-21 00:14:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ギギギイと大扉が押し開けられ、何者かの声が聞こえた。「……盗人が盗人に説教をたれるとはな」 「貴様は……」ブラドはゆっくりとそちらを振り向いた。現れたのは、宵闇を纏ったかのような黒装束のニンジャであった。燭台の蝋燭の炎に照らされ、そのニンジャの「殺」「伐」メンポが鋭く輝いた。 63

2019-02-21 00:17:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

そうだ、彼がいた、と、ツインテイルズは覚束ない意識の中で考えた。この城には、もう一匹のカラテの怪物がいたのだ。ネオサイタマの死神が。ツインテイルズの意識は、そこで飛んだ。 64

2019-02-21 00:21:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

◆ニンジャスレイヤープラスより 【クルセイド・ワラキア】#7 前半終わり 後半へ続く◆

2019-02-21 00:23:46