クルセイド・ワラキア #7 後編
「……ブラド=サン。オヌシはこの国の王なのであろう?くだらぬプライドのためにここで争っている場合か?ヌンチャクを返すのだ。全てが手遅れになる前に……!」サツバツナイトは手を差し出し、歩み寄った。 72
2019-02-23 00:13:21「待て、サツバツナイト=サン……!」ブラド・ツェペシュは歯噛みし、血の涙を流しながら、ヌンチャクを高く掲げた。「余は、リアルニンジャとしての正当なイクサの作法に則り、このヌンチャクを勝ち取ったのだ……!ヌンチャクを取り戻したくば、余と取引せよ……!」 73
2019-02-23 00:14:49「……内容を言え、速やかにだ」サツバツナイトは歯軋りしながら返した。「ただの一度で良い、余に手を貸せ……!プロイェスティの虐殺を止めねばならぬ……!あのデミ太陽光とやらを破壊するために、余にカラテを貸せ……!」 74
2019-02-23 00:16:43「暗黒メガコーポを退ければ、ヌンチャクを返すと言うのだな……?」睨み合ったまま、二人の距離はタタミ十枚、八枚、六枚、四枚と縮まってゆく。これ以上の接近は即ち、大気圏再突入めいた抜き差しならぬカラテ激突を意味するであろう。「余は王である。余は戦友を裏切りはせぬ……!」 75
2019-02-23 00:18:14しばしの沈黙。血みどろのリアルニンジャ二人は、タタミ一枚の距離まで接近し、無言のまま睨み合った。 76
2019-02-23 00:19:37ごく短い状況判断ののち、サツバツナイトは「殺」「伐」メンポから蒸気を吐き出し、ジュー・ジツを解いた。ヌンチャクを求める片手は差し出されたままであったが、いまや、その意味するところは変わっていた。「……ブラド・ニンジャよ、その条件を飲もう……!」 77
2019-02-23 00:20:58サツバツナイトが応えると、ブラド・ニンジャもまた片手を差し出した。二人は無言のまま頷き、硬い握手を交わした。次の瞬間、ブラド・ニンジャの体は無数の黒い蝙蝠へと変じ、渦巻く夜の竜巻と化してサツバツナイトを飲み込んだ。 78
2019-02-23 00:22:42かくして黒い翼の群れは、尖塔の割れ窓から飛び立った。サツバツナイトを伴って。ネオワラキア公ブラド・ツェペシュは夜の闇を渡った。そして赤い風の如き速さで、プロイェスティに向かって飛んだのだ。論理十字軍の戦車部隊が攻め寄せ、ネオンプラズマの火の手が上がる、東の鉱山都市へ! 79
2019-02-23 00:25:47◆【クルセイド・ワラキア】はNinjaSlayerPLUSで2017-2018にかけて連載された長編エピソードであり、偉大なマスターピースのひとつだ。 貴方はPLUSにダイヴすることで、この最新の本格派サイバーパンクニンジャ吸血鬼カラテアクションSF小説を、今すぐ全て読む事ができる!◆ diehardtales.com/n/n8f6b3b8c8ca0 pic.twitter.com/qbWhaqd1MT
2019-02-23 00:30:02