【2019年度ニンジャスレイヤー222】ニンニン・スリケン・パワーフォース 前編
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((グググ…なにを迷うことがあるフジキド)) その迷いを見抜いた邪悪なるニンジャソウルが身動ぎする。 ((リアルニンジャであればヨーカイを呼び出せるのも然りよ。彼奴らこそキンボシぞ)) 「ヌゥ…」 ((恐れておるか?ならば儂に体を明け渡せ。あの程度即座に縊り殺して逆さ吊りに)) ((黙れナラク)) 6
2019-02-28 16:25:03フジキドはナラクを抑え、再度スリケンを構えた。 槍男は攻撃を防ぐのに精一杯に見える。殺されるのも時間の問題であろう。スケダチが必要だ。 ニンジャスレイヤーは奥歯を噛む。相手がリアルニンジャであろうとなかろうと、モータルを虐げるニンジャは…すべて殺す。それだけだ。 「イヤーッ!」 7
2019-02-28 16:27:34「「「グワーッ!?」」」 放れたスリケンは過たず5人のニンジャを貫く! 「な、なんだ…!?」 戸惑う槍男の傍へと歩み寄り、ニンジャスレイヤーは倒れたニンジャたちにジゴクめいた声で言い放つ。 「このくだらぬヨーカイをけしかけたのは、オヌシらか」 そして、手にした鎧武者の首を投げ捨てる。 8
2019-02-28 16:28:39「ひ…ヒトカラゲの…首?」 5人の中で唯一立ち上がった赤装束のニンジャが、その首を見て呟いた。 ((グググ。どうやら、知っておるようだ。殺せフジキド、殺せィ!)) 哄笑するナラクの声に内なる憎悪の薪を焚べ、彼は決断的にアイサツした。 「ドーモ、ニンジャスレイヤーです。ニンジャ殺すべし」 9
2019-02-28 16:29:15「ニンジャ…スレイヤー?」 言いながら、赤いニンジャは身を起こして刀を構える。その背後では仲間のニンジャたちも立ち上がってきた。 ニンジャスレイヤーはそれらを睨みながら、背後の槍男に言葉をかける。 「オヌシは下がっておれ」「ハ、ハイ!」 10
2019-02-28 16:30:17「なんだかよくわかんねーけど…」 呟く赤いニンジャを先頭に、ニンジャたちは一様に刀を構える。そして…アイサツすることなく、斬りかかった! 「イケイケドンドンダ!」 シツレイ! アイサツはニンジャのイクサにおける絶対の礼儀であり、欠かしてはならない。コジキにもそう書かれている。11
2019-02-28 16:33:19「イヤーッ!」「グワーッ!?」 真っ直ぐに斬りかかってきた赤いニンジャを、ニンジャスレイヤーはケリ・キックで吹き飛ばした。 「イヤーッ!」 更に他のニンジャの動きをスリケンで牽制する。 動きが止まったニンジャチームを、ニンジャスレイヤーはジゴクめいて威圧した。 「アイサツせよ」 12
2019-02-28 16:34:05「痛ってて…あ、アイサツ?」 ウケミを取って起き上がり、赤いニンジャが首を傾げる。他のニンジャも同様で、互いに「ナニソレ?」「ワカル?」などと雑談を始めてしまった。 「……」 GBAM! ニンジャスレイヤーは、無言で先程捨てた鎧武者の首を踏み潰し、もう一度威圧した。 「アイサツせよ!」 13
2019-02-28 16:35:21「ウワ、コワ」 黄色いニンジャがたじろぐ。 「なーんかよくわっかんねーけど…」 他のニンジャも同様であったが、その中で赤いニンジャのみが不敵に笑い、歩み出た。 「問われて名乗るもおこがましいが、問われなくても聞かせてやる!」 そしてニンジャたちは立ち上がり、一列に並び立つ。 14
2019-02-28 16:36:50「暴れてアッパレ! アカニンジャー!」「轟く八雲! アオニンジャー!」 「きらめきの凪! キニンジャー!」「ひとひら風花! シロニンジャー!」「ゆらめく霞! モモニンジャー!」 各ニンジャが順にアイサツした。 コンマ1秒後、ニンジャスレイヤーはスリケンを生成し、投擲する! 「イ…」 15
2019-02-28 16:37:15「忍ぶどころか、暴れるぜ!」 「ヌゥッ!?」 まだアイサツが終わっていない! ニンジャスレイヤーはシツレイのないよう、投擲モーションを寸前で止めた。 5人のニンジャは、鳥獣戯画めいて集まると互いにポーズを取り、最後の名乗りをあげた。 「スリケン・センタイ! ニンニンジャー!」 16
2019-02-28 16:37:30((なにをしておるフジキド! せっかくのキンボシを!))((黙れナラク)) ((愚か者! ニンジャの首をみすみす捨てるとは! それも五つぞ!))((黙れ!)) 騒ぎ立てる内なるニンジャソウルを抑え、ニンジャスレイヤーはアグラ・メディテーションを開始する。 1
2019-02-28 17:10:21ここは見知らぬ都市の、見知らぬビルの屋上。 ニンニンジャーと名乗ったあのニンジャたちとのイクサから…しばしの時が立つ。あの時ニンジャスレイヤーは、彼らの未熟なカラテを圧倒的な力で捻じ伏せた。 しかし…殺せなかった。 2
2019-02-28 17:10:37((彼奴らが若いと見て情がわいたか! 痴れ者め!))((黙れ!)) そう、彼らはまだ子供であった。若い者は高校生程度、年上の者でもハタチ程度であろうか。リアルニンジャは年を取らないといえど、あの若さは異常だ。 3
2019-02-28 17:12:46「スゥーッ…ハァーッ…」 ニンジャスレイヤーはチャドー呼吸を繰り返し、精神を研ぎ澄ます。 …なにも若さだけで彼らを見逃したわけではない。攻撃によって彼らのメンポが外れ、そうして晒された彼らの素顔は…その目は、悪のニンジャのそれではなかった。少なくともフジキドはそう感じたのだ。 4
2019-02-28 17:13:27この地にきてから、言葉にならぬ違和感がある。なにか霞がかかったような。狐に化かされているような。 「…狐か」 ローズフォクシー。そしてマーキュリーローズ。奴らが関与しているのは間違いない。特にローズフォクシーはまだ生きている。もしこの地に居るのであれば今度こそ殺す。 5
2019-02-28 17:14:12フジキドが決意を新たにした、その時であった。 「ちょっと、よろしいかの」 「!? イヤーッ!」 背後から声をかけられ、ニンジャスレイヤーはフリップジャンプめいて跳び退いた。チャドー呼吸により研ぎ澄まされた感知力を掻い潜るなど只者ではない。 彼はカラテを構え、声の主と対峙した。 6
2019-02-28 17:16:19そこに居たのは、アロハシャツを着た老人であった。小柄であるが、背筋はピンと伸び、実年齢は伺い知れない。老人は飄々とした態度で、ニンジャスレイヤーにアイサツした。 「ドーモ。わしはイガサキ・ヨシタカ。ラストニンジャじゃ」 「…ドーモ、イガサキ=サン。ニンジャスレイヤーです」 7
2019-02-28 17:17:35「お前さんのことは孫たちから聞いておる」 「孫…もしや、アカニンジャー=サンたちか?」 アカニンジャーの身内。報復にきたか。ニンジャスレイヤーの身体に緊張が走る。 「そうじゃ。世話になったようじゃの」 殺気はないが、油断ならぬ使い手だ。ニンジャスレイヤーはカラテを構えた。 8
2019-02-28 17:18:13次の瞬間、イガサキ翁はニンジャスレイヤーの背後に立っていた。 「コレ、早まるでない。戦う気などないわ」 「!? イヤーッ!」 再びフリップジャンプし、ニンジャスレイヤーは距離を取る。 その様を見て愉快そうに笑うと、イガサキ翁はアグラをかき、諸手を上げた。マルゴシのポーズだ。 7
2019-02-28 17:18:32「なぁニンジャスレイヤー=サン。これは提案なんじゃがな」 依然警戒したままのニンジャスレイヤーには構わず、マルゴシのポーズのままイガサキ翁は言った。 「うちの道場で、孫たちと共に修行をしてみんか?」 8
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