戦術人形ログ "Cafe Springfield I"

寝る子@ @neruko3114

次を，次をと思いながらも言葉が浮かんでこない私に，彼女は言った。「いいえ」その間は数瞬。それを聞いた私は嘘だ，と確信した。 #戦術人形ログ

寝る子@ @neruko3114

「……その，言い難いのですが，カウンセリングを受けられてはいかがでしょうか」絞り出すように私は言った。この状況に対する最適解を出せる程，私はできていなかった。次善策は専門家に対応を依頼すること，ならばと私はそれを選択し，提示した。 #戦術人形ログ

寝る子@ @neruko3114

「……そう，そうね」指揮官は含んだように言った。それから続けた。「私もそう思う。実はこれから受ける予定」指揮官はコーヒーを飲み干して，席を立った。コーヒーごちそうさま，そう言って，退店していった。私はそれを見送ることしかできなかった。 #戦術人形ログ

寝る子@ @neruko3114

#戦術人形ログ "Cafe Springfield I" 終わり

寝る子@ @neruko3114

追記：元々男性指揮官がスプリングフィールドに女性が多くて肩身が狭いことを話し，戦術人形は機械であるから性別はなく，しかし女性であると思っている自身の所在について話すプロットを描いていた。

寝る子@ @neruko3114

それは戦術人形が女性の姿をとっていることと，インストールされた知性がそれらしく振る舞っていることに起因する錯覚であると指揮官は考える。つまり目の前にいるスプリングフィールドもまた突き詰めれば，女性と錯覚させている機械である。彼は男性が少ない状況下のストレスで認識が歪んでいる。

寝る子@ @neruko3114

ストレスにさらされたことによるものと察したスプリングフィールドは指揮官に簡易的なメディカルチェックを受けるようすすめ，彼は既に受診したと答える。その時の顔は薄ら笑いで，誰に向けた嘲りなのか。というところで終わる，予定にしていた。

寝る子@ @neruko3114

実はここまでで述べたものは，元々の予定プロットに更に即興で手を加えたものという点はさておき，男性指揮官を描いていくなかで，男性指揮官というキャラクタに作者を投影してしまったので，その回避策を講じたのが本作，となる。