その4、悪の結社の元戦闘員、失恋から立ち直る
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「戦闘員…ふむ…そういえば組織によってはそんなのもいたな…不効率な仕組みだからほとんど廃止になっていると聞くが」 「…いやー。ははうちの結社は色々と昔気質で」 「そうか。なかなかいい引きだったから、怪人かヒーローかと思ったが…ふむ…それではあまり楽しくないな…」
2016-06-06 21:01:16「竿のことは気にしなくていい。こぼ男爵(バロン)の名にかけて、君に弁償させたりはせん」 「あ、どうも」 「それではな…ここのうわさ、それとなくヒーローや怪人に広めてもいいからな」 水面に没しかけた巨大魚は、ふとまた頭を出して言うと 元戦闘員さんはかすかに身をこわばらせる
2016-06-06 21:02:49「い、いや…いないっすね…ヒーローの知り合いなんか…」 「ふむ…下っ端の君では怪人ともそう付き合いはなさそうだからな…まあ、次の勝負のときを待つとしよう」 泡とともに消える巨大魚。ぼんやり見守る元戦闘員さん 「魚が一番エンジョイできる?色んな考え方があるなあ…」
2016-06-06 21:04:28「ひょっとしたら、あんな風に生き残って…好きな姿に化けて生き残ってる怪人てのはまだいるのかもな…エンジョイか…俺が怪人だったら…そうだな…」 考え込む元戦闘員さん 「…思いつかない…」 とりあえず折れた竿そのほかを持って受付に戻る。 「ぼうずね」 「はあ…竿は」
2016-06-06 21:05:57「ヌシがやったことはしょーがねえよ。ほら、残念賞」 「あ、ありがとうございます」 アンパンをもらってもぐもぐしながら、最寄りのバス停までまた何kmもてくてく歩いてゆく元戦闘員さんなのであった。
2016-06-06 21:07:38・蛇足編
元戦闘員さんの秘密結社はなんの関係もなくあんまり人気が出ない感じのやつで大総統と幹部と怪人と戦闘員がいるやつです。あと浮遊する海上要塞が本拠地でした。CGを使わずぎりぎりまで特殊効果と爆薬とワイヤーアクションに頼って昔ながら絵作りを今のセンスでやろうみたいなイメージでおなしゃす
2016-06-06 21:20:42なので元戦闘員さんも割と「悪だから社会を混乱に陥れないと」「とにかく人間どもを困らせるのだ」みたいな計画に従ってきたし、最後それでどうなるのかとか考えたことなかった。
2016-06-06 21:23:09でもヒーローはどんどん怪人をぶち殺していき、「か、勝てねえ…」とブルっちまったのも事実。仲間はだいたいぜんぶ爆発して生きてないんだけど、自分はなぜか爆発してないので、不発だったのかな?って思ってる。本当のところはよく分からない。
2016-06-06 21:24:23「次の怪人になりたいもの、前へ出ろ」 ってDr.デスに言われたとき、めっちゃDr.がこっち見てたんだけど、友達のバルカンゴリラが瞬殺された光景が目に焼き付いて足が動かず、隣のやつが 「イ゙ーッ」 と雄々しく叫びながら迷いなく一歩踏み出したのを今でも夢に見る
2016-06-06 21:25:43銀光戦士シャンバランこと大空流星は本格メタルヒーロー。0.1マイクロ秒でコンバットスーツをまとい、宇宙から来たメタル軍団と戦い勝利。夢だった保育士にもなり、めでたしめでたしなんだけど、婚期はちょっと逃がした。1年の戦いのあいだに、悪と対峙していないと生きている実感がなくなり
2016-06-06 21:33:22また悪の組織を研究してるうちにちょっとはまってしまい(敵幹部にイケメンとかも多かったので)、まあ晩婚の流れだしいいかなみたいな雰囲気で28歳だ。でもめっちゃ鍛えてるから年より若く見えるぞ。あと飲むと虎になる。時々トーキョーのアキハバラにある、悪の組織放出品の店で変なグッズ買ってる
2016-06-06 21:34:52悪の組織が壊滅するとだいたい放出品が出るからヴィランマニアは買うのだ。作りが丈夫で、アウトドアとかには結構役立つぞ。最近はヴィランルックもファッションとして認められつつあるともいうし。でもまあ元ヒーローとして外で身につけたりはしないぞ。大空流星(28)。
2016-06-06 21:36:11家では最近買った戦闘員の戦闘服くんかくんかしながらオナニーとかはするがな…ストレスの多い現代…元ヒーローも決して楽ではないのだ。
2016-06-06 21:36:50次の話
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