その4、悪の結社の元戦闘員、失恋から立ち直る
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前の話
本編
・銭湯編
失恋からしばらく部屋を出なかった元戦闘員さん。さすがに死ぬのでふらふらと外出。コンビニに入ろうとして周囲がひきつった顔をしているのに気づく。どうやらクサいらしい。これでは潜伏もままならないヴィダーinゼリーを食ったあと銭湯へ。
2016-06-05 20:01:52きゃわきゃわ騒ぎながら同じく銭湯に向かう女子高生の一団が横を通り抜けてゆく 「いまどきの女の子が銭湯か。変わってるな」 いまどきの女の子と言ったとたんに記憶が脳をかすめ鬱に 「ヒーローを見抜けなかった俺の落ち度だ」
2016-06-05 20:03:12汚れを落とす。さすがに時間が早くて男湯にはほかに誰もいない。その分隣の女湯の声がなぜかよく聞こえる 「機密保持性が悪い建物だな…」 と思いながら、女子高生の会話が耳に入ってくるのをつとめて聞かぬようにして湯船に漬かる
2016-06-05 20:05:12ちょっといたたまれないけど、無視して銭湯の料金はらった分はぎりぎり男湯の独り占めを満喫させてもらう。 「おードクトル、ナイスバディ!」 「関節部の動き、いい感じじゃないですか」
2016-06-05 20:09:50関節部?なんとなく赤面してしまう元戦闘員さん 「やっぱこれ盗み聞きしてるみたいで感じ悪いから出るか」 番台のおばちゃんだかおじいちゃんだか分からない人に挨拶して出る。コーヒー牛乳とかはお金がないのであきらめる。 むこうから湯気を立てる女子高生の集団。なんとなく赤面してしまう。
2016-06-05 20:11:20「…俺ってやつは…女がらみでしくじったあとで、あんな年頃の子に…」 とりあえず100コンビニでタイカレーの缶詰を買って帰る元戦闘員さんだった。
2016-06-05 20:12:43・墓参編
元戦闘員さんの墓参り。墓参りといっても、秘密結社の海上要塞が大爆発した近くの浜辺までいって海に向かって黙祷を捧げるだけなのだ。 「大爆発もそもそも自爆装置を総統が動かしたせいなんだけどな…」
2016-06-06 01:29:12「…なんかうまいものでも食って帰るか…」 海鮮丼900円て書いてあるので、ふところは厳しいが、奮発して、と思ったら、 お店の前に看板。秘密結社最後の地、ヒーローの戦いをとくと見よ、みたいな雑な聖地ビジネスが展開中。
2016-06-06 01:32:53店内に変な絵とともに 「海上要塞爆発カレー」 とか書いてある。ダムカレーとかは聞くが 「何にします」 「え、じゃあ海上要塞爆発カレーで」
2016-06-06 01:33:35要塞型に固めたごはんの上に炎をあらわす赤い福神漬けがのり、さらに海をあらわすルーが敷いてあるが、完全にルーは業務用のやつ。あとちょっとぬるい。 「これは…え、800円すんのか…」
2016-06-06 01:34:27「お客さんもあれ?やっぱ秘密結社最後の地を巡礼しにきたくち?」 「いえ」 「なーんだ違うのかー。まあしょうがないよね。あの事件があったのももう結構前だし、今は風化早いもんね」 「そうすね…」 「いやーここも観光でいけないかなって始めたんだけどさー。だめだね」
2016-06-06 01:35:58「だめっすか」 「だいたいさー、あの秘密結社が古臭かったんだよね。戦闘員に怪人で浄水場に人が凶暴化する薬流すとかさー、ちょっと今どきじゃない」 「そうすね…」 「戦闘員はいらないでしょー。顔もイケメンかどうかもわかんないし」 「イケメンかどうかは重要ですかね」 「そりゃ」
2016-06-06 01:37:18「ニュース番組で被疑者の顔流すときにさ?やっぱ逆十字団の騎士みたいなイケメンならさー印象に残るし」 「あーなるほど」 「その点さーあの秘密結社はなんか、全体に昭和って感じなんだよなー」 「そんな感じでしたね」 「まあ俺は好きだった…っていったらいけないけど、悪って感じはしてたよ」
2016-06-06 01:38:38「安心して憎めるっていうか。変な裏事情とかなかったしさ」 「あーそれはなかったですね」 「でしょ。そこはすっきりしててよかったなー」 「あ、すいません缶ビール一本」 「あいよ」
2016-06-06 01:39:35・戦闘服編