ちっさくなった兄様 勇尾 原作軸

夏目一加 @natumeitika

「わかりました。俺も一緒に出かけます」 「兄様、ありがとうございます！」 弟は嬉しそうに笑うと兄を手のひらですくい上げ、兄の体に唇を押し付けた。弟が兄の手を口に含もうとしたところで、兄が慌てて弟を止める。

夏目一加 @natumeitika

「勇作さん、これ以上は駄目です。俺がでかけられなくなります」 「それは困ります」 弟は兄を胸ポケットに入れて、歩き出した。するとまだ家を出たばかりだと言うのに、ポケットの中から兄の寝息が聞こえてくる。

夏目一加 @natumeitika

弟はポケットの上から寝ている兄をそっと撫でる。兄がポケットの中で寛いでいてくれるのが嬉しかった。 兄を初めてポケットに入れたときから、兄の為に体を揺らさないように歩くよう気を付けていた。今では習慣づいてしまって意識しなくても体を揺らさずに歩けるようになった。

夏目一加 @natumeitika

それでも弟は今ポケットの中で眠る兄のために、体を揺らさないように最大限に気を付けて歩く。 体の小さな兄にとってこの世界は生きづらい。だから、そんな兄に少しでも安らぎを与えられたらと弟は思う。

夏目一加 @natumeitika

ちょっと〆がぬるいですが、これで終わりです。