石塚潤一「黛敏郎の〈涅槃交響曲〉について」

石塚潤一「黛敏郎の〈涅槃交響曲〉について」のツイートのまとめ   『石塚潤一講演会』講義の概要 (3/24 夕方の部) http://buncademy.co.jp/wordpress/?page_id=2483 • 日時:2019年3月24日(日)開演 17時 続きを読む
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石塚潤一 @jishizuka

涅槃交響曲第一楽章のスコアをみて、分析的なことを始めてみたのだが、「黛敏郎の電子音楽」に載っている川島素晴の和音の類型化が素晴らしい。元ネタを知らずに書かれているのに、一部の音のオクターブ移行を視野に入れつつ、和音のキャラクターの違いをキッチリと捉えていて間違いがない。

2019-03-18 22:33:02
石塚潤一 @jishizuka

川島チャートがあるので、涅槃のスコアをみながら適宜、この和音は〇〇寺、あ、これは〇〇院。。。ここは半鐘Bだな、、という具合にポンポン当てはめられるので、かなり楽をさせてもらっている。

2019-03-18 22:36:19
石塚潤一 @jishizuka

そういえば、黛敏郎は涅槃交響曲のスケッチにおいて、山下敬治らが計測した部分音周波数から、12音平均律における各音の周波数を記したチャートを基に音程を調査、平均律からの誤差も調べた上、四分音メッシュ(24音平均律)上での記譜にまで落とし込んでいる。

2019-03-20 19:37:33
石塚潤一 @jishizuka

前述したように、(おそらくは計算を手で行わざるを得なかったがゆえの)間違いも幾つかあるのだが、当初はこの4分音を視野に入れた音組織で、涅槃交響曲の各和音を構成しようと試みていたよう。ただ、60年前に四分音だらけの交響曲を発表しても、演奏は不可能だったし再演もされなかっただろう。

2019-03-20 19:41:10
石塚潤一 @jishizuka

ただ、黛が音高把握に使用した12音平均律の音程チャートが、C1=32 ヘルツ、A=430.5ヘルツで構成されているので、A=442の現行のチューニングからすると、37セントばかり音程が高めに出ている。

2019-03-20 19:50:20
石塚潤一 @jishizuka

私の黛敏郎《涅槃交響曲》についてのツイートをまとめて下さった方がいらっしゃる。24日は、任意の周期関数が三角関数の級数によって記述できるという事実を、矩形波のフーリエ展開によってデモンストレーションするところからはじめようかと。togetter.com/li/1329664

2019-03-21 20:07:33
石塚潤一 @jishizuka

矩形波なら容易にスペクトル計算の積分ができるのだが、一般にはリーマン和を数値積分しなくてはいけないことを説明。その後、梵鐘に限らず実際の音というものは、基音の整数倍ではない、非調和的な上音を含んでいる、という話を。これはピアノの調律において、オクターブを微妙に広めに調律すること

2019-03-21 20:10:27
石塚潤一 @jishizuka

とも関係している。続いて、音響合成における、部分音の周波数、そのスペクトル、あと位相の重要性や、差音やうなりの鳴る理屈も、実際にグラフをみてもらって理解してもらおうかと。ついでに、ヘテロダインの発音機構についても説明します。テルミンやオンドマルトノに絡んでいるシステムですね。

2019-03-21 20:12:39
石塚潤一 @jishizuka

そこまで説明すると、涅槃交響曲の作曲において、何が出来て何が出来ていないかが明確になるかと。あとは、山下敬治の解説の中で、後世の黛の発言に大きな影響を与えた部分について。また、その理解が黛側の「認知の歪み」のようなものであったことについても。

2019-03-21 20:14:41
石塚潤一 @jishizuka

黛敏郎は、音の経時的な変化について突っ込んだ思考を行い、それを創作に生かしたほとんど最初の作曲家なので、涅槃交響曲のスコアにも、そうした苦闘のあとのようなものがある。その部分には注目していきたいですね。微分音をつかうなら実現できたであろうことが、平均律に音程をマップしたため、

2019-03-21 20:18:29
石塚潤一 @jishizuka

限定的にしかできなかったこともある。その黛敏郎の最後の意地が結晶した一音というのが、涅槃交響曲のある和音の中にあるのです。そのことも納得できるように説明する心算。

2019-03-21 20:20:15