即興おっさん受けつづき(ΦωΦ)

龑村ももか6部2章4話 @mgnstar

つづき書きまーす　http://togetter.com/li/13173

龑村ももか6部2章4話 @mgnstar

❤ちなみに今回も最初しか考えていないのでどこにいくかわかりません

龑村ももか6部2章4話 @mgnstar

【おっさん①】結局、梅村を追いかけられなかった。すんでのところで足が竦んだのだ。思い切りなんて、数年前に川に捨ててしまった。代わりに得たのが忍耐だとしたら、どこかで損をしているのだろう。なにせ、「好きだ」の一言を言い出すのすら大儀で、ひどく億劫に感じるような男になってしまった。

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【おっさん②】「……そんなに見つめないでくれるかな」「見つめてないですよ。眺めてるだけです」「そう」「はい」それを見つめてるって言うんだよ。馬鹿馬鹿しくなって、言うのをやめた。あんな言葉を聞かせておいて、強引に唇まで奪っておいて、あれから梅村はなにも言ってこないし迫ってもこない。

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【おっさん③】ただ、いつものように一服している寺林の横ににこにこしながら佇んで、煙を吐き出す様をじっと横目に見てくる。まなざしはどんな言葉よりも強烈だと思う。雄弁すぎて、まともに彼の顔を正視できなくなってしまった。がしゃん、とフェンスが音を立てる。粗暴に、梅村が寄りかかった。

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【おっさん④】「俺ね、煙草ってだめだったんですよ。匂いとか、あと煙たくて」「……それは、その……ごめん」動揺のあまり煙草を挟む唇が間抜けにゆるむ。また一本無断してしまいそうになったのを、きゅっと堪えた。「寺林さん、人の話は最後まで聞いてくださいってば。だめだったんです、けど」

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【おっさん⑤】「け、ど？」おそるおそる視線を梅村に向けると、彼は人懐っこく相好を崩していた。問い返したきり、なにも言えなくなる。十も年下の男に見惚れるなんて、認めがたい。それに伴ってこの恋心も、なかなか外に出してやれない。若さか勇気か。どこかに落ちていたらいいものを。

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【おっさん⑥】「うっ」えいっ、と肘でわき腹を小突かれた。前触れのない接触に飛び上がりかける。こんなに気持ちは久しぶりすぎて、ひたすらまごつくばかりだ。「苦手だったんですけど、寺林さんが吸ってるのはいいなって思います。寺林さんの匂いと煙草の嫌味っぽいのが混じって、すごく、いいな」

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【おっさん⑦】「それは、どうも」「だからね、俺いつもここに来てるんですよ」梅村が笑うと、どうしようもなく居たたまれなくなって、寺林はすーっと目を伏せてしまう。好き、なんてもの数年ぶりに思い出した。ぶり返した風邪みたいなものだ。捕まっては逃げられない。「あっ、俺もう戻んないと」

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【おっさん⑧】寺林に寄りかかる寸前で、梅村はわざとらしくぱん、と手を打ち合わせた。こういう小ずるいところも許したくなる。わずらわしいものだ。自覚をしてしまうのは、負けたようなものかもしれない。「寺林さん、じゃあじゃあお先にー」上から顔を覗き込まれ、唇をきゅっと内側から噛みしめた。

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【おっさん⑨】距離が近い。ああ、挑まれているのか。細められた双眸に見入られ、目が離せなくなる。ふるえながらも煙草に手が伸びていた。手に持ち替え、自由なほうの腕で梅村を引き寄せる。「寺林さっ……、っん！」口内に煙草の煙をくすぶらせながら、それこそ紫煙が空気に溶け込むようにキスした。

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【おっさん⑩】梅村の目が見開かれる。舌で彼の薄い唇をこじ開け、意地悪に煙を飲ませるようにする。少し梅村が咳き込んだ、身体を寄せ、彼の背をさすってやる。本当に苦手らしい煙草の煙を吸わされても、しかし彼は心底嫌な表情をしなかった。嫌悪よりも、驚愕の色が目立つ。「寺林さん……えっと」

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【おっさん⑪】してやったり。内心にやりと口許を歪ませ、表面上ではなんのこともないふうに装う。そのあたりは、長く培ってきたものがある。「そういうことだよ。……考えろって言ったのは、君だろう」しかしその仮面も、口を開くごとにぼろぼろに剥がれていく。どうにも、だめだ。梅村には敵わない。

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【おっさん⑫】「寺林さん」「そうだよ。君だよ……君が言うから……君が言うからこんな、俺は顔真っ赤にしてるんだ。この前は煙草無駄にしたし、今日はかっこよくいられないし、三十七が聞いてあきれるし、もう帰りたいよ俺は！」一気にまくしたてると、梅村がぽかんをこちらを見下ろしてきた。

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【おっさん⑬】「あーやだ、嫌だもう……」「寺林さん」「うるさいな」「ねえ、寺林さんは」「知らない。ああ、いや、違う……わかってるよ」煙草なんて支えてられなくて、地面に放ってしまった。顔を両手で覆ってずるずる、フェンスに沿うように崩れ落ちる。膝を抱えるなんて子どもみたいだ。

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【おっさん⑭】実際まだまだ子ども、なのかもしれないが。「……好きだよ。あーそうだよ好きだよ。梅村くんが好きですよ」せめて顔を上げてやるものかと、意固地になった。梅村がかがむ気配がする。自分に彼の影が落ちているのを想像して、胸が高鳴った。彼の手。こめかみから、そっと髪を梳いてくる。

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【おっさん⑮】「寺林さん、それほんと？　本当ですか」「うん。おじさんに何回も言わせないでくれ」「……はい」肝心なときに自信を持てないらしい梅村の仕草を探り探りで、彼を、年下なのだと思い出す。そういえば忘れていた。彼にしてみたら、自分は十も年上なのだ。緊張しないほうがおかしい。

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【おっさん⑯】「梅村くんさあ」「はい」「年下だったよね」「……大丈夫ですか寺林さん」「うん大丈夫大丈夫。ちょっとね、忘れてたんだよ」そろそろと首をもたげ、やっぱりこちらを窺い見ていた梅村の胸に頬を寄せた。「でもねえ、俺は面倒なおじさんだから、手がかかるよ。それでもいいのかな」

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【おっさん⑰】現に、もう誰にも彼を取られたくないとか、そんな願望を抱いている。一人だけのものにはならないことを、重々承知してはいるのに。彼の袖を、握り締めてみる。力は強いほうだ。逃がしたくない。「世話の焼ける人はね、寺林さん。かわいいんですよ。自分にしか面倒見られなくしたい」

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【おっさん⑱】「梅っ」「好きですよ。面倒なのは、知ってますから。キスしてくれるまでこんなに時間かかったしね……ねえ、だから俺なら大丈夫。寺林さん――秀一さん」耳元で名前を呼ばれ、ぞくっとした。肌が粟立つ。思わず、梅村にしがみついていた。「どう？　帰りたくないですか、俺と一緒に」

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【おっさん⑲】背中を丸く撫でられ、吐息が洩れる。梅村の手は好きだ。優しくて、いい。「……帰りたい。です」ゆっくり頷くと、唇で髪をまさぐられた。官能が兆す。腹の底から、悶えるように火を滾らせる。他人の体温を想像して昂ることは、もうないと思っていた。「秀一さんはエロいと思うんです」

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【おっさん⑳】「……知らないよ」「俺は知ってますよ」「うわっ！」やわやわ、股間を布の上から揉まれ、声が裏返った。身体が強張る。「こんなことになってて、ねえ。秀一さんエロいな」「……君まで、おじさんみたいな、っことを！」「いいじゃないですか」いっそう強く揉みしだかれ、腰が跳ねた。

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【おっさん21】「もうすぐ三十だし。俺もおにーさん、じゃなくなりますから」「梅村くん！」「今日、楽しみですよ」そう言うと、梅村は立ち上がって室内に戻ってしまった。舌打ちする。こんなことにして、放っておくのは、ひどい。「甘やかしたのがっ、いけなかった……！」

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【おっさん22】再び膝と、頭を抱えうずくまる。梅村は自分でなんとかしろ、というつもりで出て行ったのだろうが、その手には乗ってやらない。悶々とする下半身から懸命に思考を逸らして、治まりを待つ。「……ほんと、意地悪だもう」彼の消えたドアに向かって悪態をつく。それでも好きで、困る。

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