- yamigitune9
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おっちゃんは陽気な時、誰かに触れる、触りたいタイプの人間 おれが説く度に手を握ってくる がっしりと 典型的ハラスメントの素質を持つ者 そしてハラスメントをしてはいけないという会社の教育を理解できなかった事を、今現在理解したらしい(酔っぱらっているが
2019-03-23 17:27:12おにいさん、普通の人間じゃないでしょ 普通ではないです。でも、皆普通じゃないのです。 俺も息子もおかしいと、異常だと、思わないか? 異常こそ正常なのです。正常こそ異常なのです。
2019-03-23 17:28:32なんだそれはぁ と大きく笑う おっちゃんの過去を聞き出してもう一度問うてみる するとあぁ、あぁ、と何かに気付いたようで、また手を握ってきた
2019-03-23 17:30:27俺もおっちゃんの話を聞いていく最中に、その摩擦・・・ギャップと間違いに気づく度に脳汁が溢れ楽しくなってきていた。 チェーン店ではない老夫婦が営む居酒屋は、閉店前に他の客は先に礼を言って帰っていった 閉店を過ぎても帰ろうとしないおっちゃんに、老夫婦が追い出すまで付き合った
2019-03-23 17:32:13あなたは息子に理解されなくても、あなたは幼少期からの病気に負けず、あなたはあなたの人生を歩み、苦しみ、乗り越え、誰にも肯定されず、そして伴侶を得て時代を生き抜いた 生き抜いたからと言って、息子を押し込めたりレールを敷く事はできないのです
2019-03-23 17:34:46もし、やり方が違っていたら上手く行っていたかもしれない でも、それはもう遅い事で、変えられないのです 過去と傲慢な自分は簡単には変えられない だからこそ、変えられない事は諦めましょう 変えられる事は変えていきましょう
2019-03-23 17:36:02常に笑みを絶やさなかったおっちゃんは、その言葉に対しては瞳を細めて少し俯いたのをしっかり覚えている おっちゃんは時代を生き抜き、仕事する事のみに特化した人間であり、人の心を察したり学んだり読もうとしなかったが故に、他人を理解する事ができなかったので
2019-03-23 17:37:36他人を理解しようとしない者がどうして自分を理解できようか 自分を理解しようとしない者がどうして他人を理解できようか 理解する必要が無かった時代の人間。 でもおっちゃんには光るモノがあった
2019-03-23 17:38:53短い時期ですが、面接官をしていた時がありまして 一人だけ、「あっ!」と思う青年がいましてね もうご結婚されていて、子供もいて、あぁ、もう是非うちで働いて喰わせてやってくれって!思って。 でも審査には通らなかった
2019-03-23 17:39:58面接官の経験は浅かったが、面接官として初めて、知りえる上司や同僚10人ぐらいにその青年を推したという だが、返ってくる言葉は機械的で冷たかったという おれがもっと、人事を決められるような、人事ができるヤツと対等でいられるような、あぁ、もう遅いのだと、あぁ、とため息をついた
2019-03-23 17:41:55一緒に働きたいって思う人が正解なんですよねぇ~。でも、そういう人ほど通らない。 そうなんだよ!そうなんだよぉ全く! 世の中世知辛い。惜しいですなぁ。そして審査に通るのが微妙なヤツだったり平凡だったりするんですよね。 おっしゃる通りでございます。えぇ、えぇ 世の中うまくできてる
2019-03-23 17:44:01というようなよくある事に良くある事を返していくうちに、おれの煙草が切れてしまった 買いに行こう!一緒に! とおっちゃんに言われ、俺は3月の深夜をパーカー1枚で、おっちゃんに恋人の様に腕を絡まされて近くのコンビニへ行った
2019-03-23 17:45:35息子と、どうすればいいんでしょうか と寒風の中、俺はずっと迷っていた どう答えるのが正解なのか さぁ、どうすればいいのでしょうね 俺の中に答えが無ければ、それはきっと答えが無いものだと思った
2019-03-23 17:48:08息子は中学受験の際、おっちゃんに反発し、怒ったおっちゃんは殴ってしまったのだと言う そして高校はおっちゃんの母校で、おっちゃんはその高校に行くと息子から聞いて喜んだのだそうだ なんともまぁ、、、綺麗な流れだなと思った
2019-03-23 17:49:51息子は、あなたに恐れと恨みを持っています あなたが飲みに行こうと言っても全面的なOKではないのはそれが理由です 例えばめっちゃ怖くて恨みを持っている上司に、おっちゃんが飲みに誘われる・・・のとまったく同じです。
2019-03-23 17:51:24そして息子は頭が良かったと言いましたよね でも、全てにおいて頭がよかったですか? 勉強や勉学に関してだけ頭がよかったのでは? 人の心を読んだり重んじる思考はありましたか? 息子さんは本当に頭が良かったのでしょうか 息子は頭がいいんだよ、と熱弁したおっちゃんに説いた
2019-03-23 17:53:06唖然とした顔をして、少しずつ頷き、そして煙草を取り出すと、おかみさんがマッチで火をつけてやる が、その煙草は俺の吸っているタバコで、これは強く火を吸わないと火がつかないもの。火は付かず先端が焦げている
2019-03-23 17:54:44無言の後 教えてください。息子とどうすればいいでしょうか。いや、あんたならどうしますか。 待ちます。ずっと。死ぬまで。たとえ死んでも待ちます。
2019-03-23 17:57:18本当に待っていていいのでしょうか それが「合わないという選択をした息子自身の失敗」なら、それが初めて息子に与えられる失敗です。 自分の選択による失敗に気付かなければ、人は成長しない。 それは反面、もうあなたが息子に何かを気付かせるのは難しいという宣言にも近かった
2019-03-23 17:58:34退店前にお互いにどこに住んでるか言い合った。 結構近かった。 おっちゃんは閉店時間から俺が店を去るまでずっと店主とバイクの話をしていた。 ~〇〇ちゃん(店主愛称)、〇〇ちゃん。おれぁね。〇〇ちゃん。 はい、はい そう聞いた夜は、人生で初めて酔っぱらった夜だった
2019-03-23 18:00:23