■山本七平botまとめ【「元号廃止論」の虚構】/~元号法制化は戦前の軍国主義につながると主張する元号廃止論者の本音は天皇制廃止にあり~

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山本七平bot @yamamoto7hei

①【「元号廃止論」の虚構】大分前のことだが、「元号問題に関する座談会」なるものに出席したことがある。 私はこういうとき、どのようなメンバーによる座談会か、などということには全く無関心な方なので、何気なく出席して驚いた。>【「常識」の落とし穴/民主主義の運命/「元号廃止論」の虚構】

2019-03-28 00:02:00
山本七平bot @yamamoto7hei

②いわばそれは、「元号廃止論者」の座談会に等しく、それでは座談会にならないので、存続論者の私が「つるし上げられ役」として招かれたということらしい。 座談会が進行して行くうちに、私は少々バカらしくなった。

2019-03-28 00:02:33
山本七平bot @yamamoto7hei

③というのは「元号廃止」に結論を持って行こうと、みなが一心に論じているのだが、なぜ廃止が必要なのかの論拠が皆無なのである。

2019-03-28 00:03:02
山本七平bot @yamamoto7hei

④いわば「元号法制化は戦前の軍国主義につながる」という形で論議を進めていくので、私が思わず 「まさか、元号は軍国主義よりはるか以前からありますよ」 といったところが、感情的な総反発をくった。 そのときつくづく感じたことは、まず第一に、この人達の意図は本音は天皇制廃止であること。

2019-03-28 00:03:40
山本七平bot @yamamoto7hei

⑤ただそれを言うとあまりに抵抗が強いし、憲法上の問題が出てくる。 この人たちは一面では、「平和憲法絶対護持」を主張しているから、その矛盾を突かれると困る。 そこで戦術的にまず”外濠”を埋めるような形で、「元号廃止」に持って行こうとしているのだと感じた。

2019-03-28 00:04:18
山本七平bot @yamamoto7hei

⑥第二に、この人達は元号について何も知らない、ということである。 知らない者が勝手に熱をあげているというだけの感じである。 私はこの時、この人達の行き方を少々卑怯だと思った。 というのは、自らの主張が「憲法を改正して天皇制を廃止せよ」なら、堂々とそう主張すればよい、と私は思った。

2019-03-28 00:04:49
山本七平bot @yamamoto7hei

⑦ところが相手は、そういったことはおくびにも出さないから、こちらは何とも言えない。 ただ珍妙な「元号存続=軍国主義復活論」という、騒音に等しい議論の進行を見守っているだけである。

2019-03-28 00:05:17
山本七平bot @yamamoto7hei

⑧少々耐えられなくなり、ちょっと説明させていただくと言って、定期改元と不定期改元、さらに一世一元制への移行、簡単にいえば、「元号の歴史」の要約を話した。

2019-03-28 00:05:49
山本七平bot @yamamoto7hei

⑨定期改元は康保元年(西暦=以下同じ。九六四年)に始まり、以後、万寿、応徳、天養、元久、文永、正中、元中、文安、永正と六十年ごとに続き、戦国期の為に一五六四年には行なわれず、一回だけが抜けて、ついで寛永、貞享、延享、文化、元治(一八六四年)と続き、ついで明治の一世一元制になる。

2019-03-28 00:06:22
山本七平bot @yamamoto7hei

⑩つまりこれは甲子の年、そして原則としてその三年前の辛酉にも行なわれている。 そしてこの間に不定期改元が入る。

2019-03-28 00:06:59
山本七平bot @yamamoto7hei

⑪これは西暦でいえば九六四年から一貫して継続している日本の伝統であり、なぜこういう伝統が生じたかの説明は一応除くが、一千年以上続いている伝統を何で我々の時代に廃止する必要があるのか。 本当にその必要があるというなら、納得できる説明をして欲しいと言った。 彼らには勿論説明できない。

2019-03-28 00:07:30
山本七平bot @yamamoto7hei

⑫第一、定期改元、不定期改元という歴史的事実さえ知らない彼らに、合理的な説明ができるわけがない。 返って来たのは結局罵言に等しい大声だけであったが、その中に、宗教学者として、何かあると進歩的新聞にコメントの載る人がいたので少々驚いた。

2019-03-28 00:07:57
山本七平bot @yamamoto7hei

⑬お粗末すぎて話にならない、という以外に、言うべき言葉がない。 そのときの結論は、「元号を法制化すれば、やがて軍国主義が復活する」ということ。 私はうんざりして、もう何も言う気がなくなった。 何やらそれが本になったらしく、私にも一冊送られてきた。

2019-03-28 00:08:26
山本七平bot @yamamoto7hei

⑭読む気にもならなかったが、一応、目を通して見ると、私の反論」というより「説明」は巧みに処理されており、「元号法制化=存続=軍国主義復活」がその結論となっていた。 この結論が正しいか否か、いずれ時が解答を出してくれるだろうと私は思った。

2019-03-28 00:08:52
山本七平bot @yamamoto7hei

⑮その本は、進歩的新聞で取り上げられたが、私は、どうでもいいという気分になっていた。 つける薬がないからである。 その新聞が、陛下の御不例とともに、新元号のことを、さも当然のことのように報じている。 時の経過はすでに正解を出していると言ってよいであろう。

2019-03-28 00:09:23
山本七平bot @yamamoto7hei

⑯戦後の進歩的文化人の凋落は何によって招来されたのか。 私は、すでに過去のことになり、みながもう忘れてしまったあの時の「元号論争」のことを思い出す。

2019-03-28 00:09:45
山本七平bot @yamamoto7hei

⑰オオカミ少年のような、言い放し、しかも本心は天皇制廃止なのに、それを隠して別の手段をとり、その主張には何の論拠もない、 といったことを繰り返していれば、いつしか人びとは、その人の言葉に耳を傾けなくなるであろう。 それはそうなって当然だという気がする。

2019-03-28 00:10:02