『チェルノブイリの森』(M・マイシオ著、中尾ゆかり訳)の抜粋やら要約やら

副題は「事故後20年の自然誌」、2006年に書かれた本です。良書。 “”内は抜粋で、/(半角斜め線)は中略の印です。
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阿南a.k.a アンナ万里🏳️‍🌈 @Annan3

#genpastu 『チェルノブイリの森 事故後20年の自然誌』M・マイシオ かの地は鹿・猪・狼が闊歩する野生の王国に!(福島原発周辺の自然に関してはやや楽観視できそうか?)だがねじれた松、奇形のクワガタ、不揃いな鳥の卵。延々と循環する放射性物質。チェルノブイリは楽園ではない。

2011-05-09 20:50:38
阿南a.k.a アンナ万里🏳️‍🌈 @Annan3

『チェルノブイリの森』より1-1(※今更だけど単位ね。)a.放射能/1ベクレル=1秒に1回崩壊して放射線を1個発する能力。370億ベクレル=1キュリー。 b.照射線量/物質が受ける放射線量。放射線源からの距離によって異なる。ガンマ線とX線。1クーロンkg=3876レントゲン。(続

2011-05-09 21:02:39
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『チェルノブイリの森』より1-2 c.吸収線量/放射能を受けた物質が吸収するエネルギー量。物質の種類or放射線の種類によって吸収量は異なる。1グレイ=100ラド。d.線量当量/放射線が生物に及ぼす影響。吸収量が同じでも放射線の種類によりダメージが異なる。1シーベルト=100レム。

2011-05-09 21:10:56
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『チェルノブイリの森』より2 汚染された物体をゾーン外に出さない為の「ごみ捨て場」の記述あり。今や正確な数も場所も不明で放射能を垂れ流している。どうにか保っている例として、オリンピックプール程の大きさで深さ3.5m、床と壁は1.2mの粘土で水と放射性核種を漏らさない「埋葬地」。

2011-05-09 21:26:35
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『チェルノブイリの森』より3 05年の本ゆえシーベルト単位はないが…“原爆が投下されたあとの罹患率と死亡率を基準/急性放射線障害を引き起こすのは、最低でも一〇〇レムの急性被ばく/三〇〇から五〇〇レムの急性被ばくでたいていの人が死ぬ。一五〇〇レム以上の急性被ばくでは、誰でも死ぬ”

2011-05-09 21:41:29
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『チェルノブイリの森』より4 激しく汚染された場所の描写が不気味。表土は埋められ1.2mの砂をかけられ液体ポリマーを吹付けられた。ポリマーが砕けると松が植えられたが、妙によじれた藪の形に育った。“木片1キロに最高でセシウムが何と五〇万ベクレル、ストロンチウムが七〇〇万ベクレルも”

2011-05-09 21:50:19
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『チェルノブイリの森』より5 著者は(当時は)原発反対でも賛成でもなく淡々としているが、恐怖感については正直に述べている。“「赤い森のこのへんは、バックグラウンド線量が一レントゲン/時あるの」/書くのはわけないが、体験するとなるとそうはいかない。/不安はまる見えだったらしい”

2011-05-09 21:59:50
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『チェルノブイリの森』より6 スモモの汚染を計る場面。線量計は空気中のバックグラウンド線量を測る物。内部の放射線量についてはわからない。セシウム137ならガンマ線分光測定法でわかるが、ストロンチウム・アメリシウム・プルトニウムは、サンプルを燃やして分析せねばならない。

2011-05-09 22:05:28
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『チェルノブイリの森』より7 “ゾーンに生息する動植物を何もかも燃やして分析するのは不可能/食物連鎖に入りこんだ放射性核種の正確な量は誰にもわからない/見積もりにしても、数字は絶えず変化する。生命は不変ではない。放射性核種はつねに流動し/ひとつの生物からべつの生物へのぼり…”

2011-05-09 22:10:04
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『チェルノブイリの森』より8 植物が土中の放射性核種を吸収するのは、必要とする栄養に似ている場合。プルトニウムは何にも似ておらず根っこからは入りこまない。でもセシウムはカリウムになりすまし、ストロンチウムはカルシウムになりすまして入りこむ。付近の分子はベータ線とガンマ線を浴びる。

2011-05-09 22:21:22
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『チェルノブイリの森』より9 “無人の村が散らばる原野/ウクライナと同様にベラルーシ(とロシア)でも、放射性セシウムのレベルが一五キュリー/平方㌔以上、あるいは住民が一レム(一〇ミリシーベルト)/年以上の「余計な」線量を被ばくする高濃度汚染地域からの立ち退きが義務づけられている”

2011-05-09 22:28:55
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『チェルノブイリの森』より10 “九〇年代を通して最大の優先事項は、セシウムが四〇キュリーを超え、年間被ばく線量が五レム以上の地域に住む人びとの立ち退き/第二の優先事項は、汚染が一五から四〇キュリーの土地に住む人びとの立ち退きだったが、こういった場所に住みつづけた人は少なくない”

2011-05-09 22:33:57
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『チェルノブイリの森』より11 “ウクライナ側で汚染濃度ナンバーワンのイノシシは、肉一キロにセシウムを四四万四二〇〇ベクレルも含んでいた。“ただ九〇年代初期に狩られたもので、以降は減少、〇二年に狩られた二頭は一〇〇〇ベクレルと六五〇ベクレル。個体や季節の餌によっても異なるそうな。

2011-05-09 22:45:28
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『チェルノブイリの森』より12 「狩り」ついでに書いておくが、本は密猟者の存在にも軽く触れている。金持ちや権力者が、この広大な野生の王国で、娯楽のために違法な狩りをするのだそうだ。あの辺ではましな国であるウクライナ(失礼)でも、賄賂やコネがはびこってるんだなぁ…

2011-05-09 22:53:13
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『チェルノブイリの森』より13 “動物の個体群の健康状態は/個体群の大きさで測定する/不思議に思えるかもしれないが、チェルノブイリの大型哺乳動物は/個体群が大きいからすこぶる健康だと言える。”ただ変異体がいない理由について科学者は、変異体は生まれても死ぬ・食べられるからだと言う。

2011-05-09 23:04:51
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『チェルノブイリの森』より14 “変異体のすべてがぞっとするような奇形を起こすわけではない。”ねじれた松や左右非対称のクワガタはともかく、哺乳類では目に見えない遺伝子の変化さえ、ごくわずかだそうだ。理由は謎。でもネズミは寿命が短く、一腹の子の数も少なく、一〇キロ圏では免疫力低下。

2011-05-09 23:16:55
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『チェルノブイリの森』より15 冷却池に棲む魚は事故後一八年でも放射能レベル限度を超えていたが、“冷却池が抱える大きな問題は、魚ではない/池が人工だということだ。水位を維持する揚水場の操業には費用がかかるが、発電所が閉鎖されたので、冷却池を維持しておく経済上の必要性がない。”

2011-05-09 23:28:57
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『チェルノブイリの森』より16 “冷却池は地下水の大きな汚染源/除染は実際問題として不可能/作業する人の被ばく対策に費用がかかりすぎ/回収された放射性廃棄物を置く場所がない。/ひとつの選択は、つねに水を満たして、干上がら… (cont) http://deck.ly/~rQiCi

2011-05-09 23:36:11
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『チェルノブイリの森』より17 「ごみ捨て場」、湖や湾の澱、石棺や発電所敷地が強い汚染の点源。敷地は片付けられコンクリート等で覆われたが、穴あけ工事でその下の汚染が明らかに。土から地下水へ、プリピヤチ川へ、ヤニフ湾へ。湾の地下水、〇二年は一立方mのストロンチウムが二七万ベクレル。

2011-05-09 23:55:51
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『チェルノブイリの森』より18 余談。〇四年に単身バイクでチェルノに乗り込んだという女性のHP。本に登場する学者が嘘だと怒ってるw「私たちの車でゾーンに入って、それに旦那もついてきたのよ。バイクのヘルメットだけ持ち歩いて、写真だって全部、旦那が撮ったんだから」

2011-05-10 00:01:46
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『チェルノブイリの森』より19 “ウクライナの強制避難者─とりわけ五十歳以上の人は、サマショールよりもはるかに大きなストレスを受けた。生まれてこのかた、青々と木の茂る涼しいポレーシェの森で自分たちの丸太小屋で暮らしてきた… (cont) http://deck.ly/~aP1sr

2011-05-10 00:09:24
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『チェルノブイリの森』より20 食物による内部被曝について“事故直後から一九九〇年代を通して、ウクライナ政府は汚染された農産物の摂取を減らす対策を/ところが対策費は二〇〇〇年以降、削減され、事実上ゼロに/官僚のなわばり争いも問題のひとつだ/緊急事態省は農務省に助成費を渡さない/”

2011-05-10 00:18:51
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『チェルノブイリの森』より21 手当ての多くが小額な件について難しい問題。ベラルーシ・ロシア・ウクライナとも、ソ連の慣習を踏襲し、放射能被災者全員に少しずつ支給。著者は厳しい。“少ししかない資源を、医療上の必要ではなく、… (cont) http://deck.ly/~9xOvG

2011-05-10 00:29:46
阿南a.k.a アンナ万里🏳️‍🌈 @Annan3

『チェルノブイリの森』より22 釣魚を土産にした人の話“「誰かが線量計で調べたら、大丈夫だった」/線量計が測定するのは空気中のガンマ線だけで、魚の体内にある放射能のことなど何もわからないのだと説明したら、顔が青くなって/市場で売りさばく密猟者もいて、その出所は誰にもわからない”

2011-05-10 00:44:10
阿南a.k.a アンナ万里🏳️‍🌈 @Annan3

『チェルノブイリの森』 やりすぎたので、これで終わりますw この本はあくまでも自然誌であり、動植物の実態報告が多くを占める。汚染地域が野生の王国になるとは何とも皮肉だ。著者メアリー・マイシオはウクライナ系アメリカ人ジャーナリスト、日本で出版された07年にはキエフ在住だったようだ。

2011-05-10 00:57:29