ギア・ウィッチクラフト #3
BRATATATATA!BRATATATATATA!「アイエエエエ!」「そっちだ!」「下がれ!」「グレネードだ!」「RPGだ!」「駄目だ、速い……アバーッ!?」「アバババーッ!」「助け……アバーッ!」BLAM!BLAM!BLAM!「やめ……やめてくれーッ!」「AAAAARGH……」「嫌アババババーッ!」ナムアミダブツ! 1
2019-04-28 22:03:26銃を撃ちながらカタナのトルーパーが二歩下がる間に、甲冑騎士は二倍の歩幅で四歩前進する。これによりあっという間に間合いは詰まり、ツーハンデッド神聖ローマンカタナブレードツルギのジャスト間合いとなる。「フンーッ!」甲冑騎士がツルギを振り下ろすと、無惨な真っ二つ惨殺体が生ずる! 2
2019-04-28 22:05:38「ウワアアーッ!」BANG!ガシャン!BANG!ガシャン!BANG!失禁しながらカタナ・トルーパーがショットガンを撃つ。甲冑がひしゃげ、騎士はよろめく。何の意味があろう。騎士は粗相者を見た。「アイエッ……」「フンーッ!」「アバーッ!」横斬撃!胴体断サツバツ! 3
2019-04-28 22:08:31「人間じゃない……まるでニンジャだ」「ニンジャだと?ふざけるな!」トルーパーの一人が発狂しかかりながら罵った。「俺が知ってるニンジャはこんなバケモノじゃ……」「フンーッ!」「アバババーッ!」人体縦断サツバツ!「フンーッ!」「アババーッ!」蹴り内臓破裂サツバツ!ナムアミダブツ! 4
2019-04-28 22:11:32「ギュイーキキキキ、チチチチ!」樹上、長い脚で木から木へと飛び移って来た頼もしい鉄蜘蛛が交戦ポイントに到達し、甲冑を走査光で照らした。ZDOOOM!「グワーッ!」対物キャノン命中!鎧甲冑ケンドーオートマトンは衝撃で膝をついた。対物弾丸で頭が潰れ、胴体が引き裂かれていた。機能停止! 5
2019-04-28 22:13:50「ヤ、ヤッタ!流石だ……!」唯一の生き残りは尻餅失禁後退しながら呟いた。「奇跡と共にあれ!」キュイキュイキュイ。鉄蜘蛛は付近の敵を探す。その鋼鉄の装甲の付近を、何かがかすめた。枝から枝へ飛び移った朧な姿だった。「ピガガーッ!?」鉄蜘蛛は痙攣し木から墜落!「アバーッ!」下敷き! 6
2019-04-28 22:17:00「UUUUGH……」朧な姿は唸り声をあげ、枝の上で首を巡らせる。白光する視線が定まった。ガイストは木々のあわい、空中で腕組み直立する姿を見咎めていた。彼はメンポに葉巻を挟んでいる。葉巻の赤い光。ブラックヘイズである。「何たるアビ・インフェルノ・ジゴクか」彼は呟いた。 7
2019-04-28 22:19:42ブラックヘイズは浮遊している。ミスティック!否!読者の中できわめて注意深いニンジャ視力をお持ちの方はこの記述をもとに見定める事ができるやもしれぬ。ブラックヘイズは木から木へ張り渡された微細な糸の上に立っているのだ。彼が得意とするヘイズ・ネットである。 8
2019-04-28 22:21:46「オイ、透けているぞ」ブラックヘイズはIRCでアキナに囁いた。『そ、その通りです』アキナは気丈に答えた。『しかし、光学的にもソナー視界でも認識可能です。大丈夫。科学的存在です。奇跡は我々の側にあります!』「どうだかな」『今回の専用装備で対応可能です!頑張ってください!』 9
2019-04-28 22:24:59「AAAARGH!」ガイストが枝から跳躍!ブラックヘイズはタイミングをはかり、口に咥えていた葉巻を投じた。KBAM!「アバーッ!?」葉巻は爆発し、強い光と風と音を生じた。ガイストは身悶えしてブラックヘイズを捉えそこね、斜めに落下する。「イヤーッ!」ブラックヘイズは右手からネットを投じる。10
2019-04-28 22:27:47補助視界にチリチリとした01ノイズが生じ、耳元で雑音が波打った。ブラックヘイズは顔をしかめたが、ネットで捕らえた相手を引き絞る手を緩めはしない。「イヤーッ!」「グワーッ!」ガイストの身体が跳ね上がった。朧な姿は今や可視性が相当増している。ノイズ周波数爆弾の成果だ。 11
2019-04-28 22:29:43「イヤーッ!」ブラックヘイズは糸から垂直落下し、地面に着地した。逆にガイストはさらに上へ跳ね上げられた。「アババーッ!」「インタビュー可能か?」『いいえ。解析によれば、あれはAIのようなものです。適切な表現かどうかはわかりませんが』「そうか」力を込める。ボギン。獲物がひしゃげた。12
2019-04-28 22:32:17「キュイキュイキキキキ……」彼のそばで鉄蜘蛛がもがいた。補助してやると、鋼鉄無人機はひっくり返った状態から復帰した。戦闘継続は可能のようだ。ブラックヘイズは手首からLANケーブルをのばし、鉄蜘蛛に直結した。データが流入するとき、彼の味蕾に独特の苦みが生じる。良い味ではない。 13
2019-04-28 22:35:55『何か有益な情報は採取されていますか?』アキナが尋ねた。『ガイストによるEMP汚染のせいでしょうか。現地部隊の設備では本部へのデータ通信による報告が不十分なのです』「そうか」『生存者がいればよかったのですが……』「生存者はいない。一歩遅かった。他の連中を探す」『エイメン……』 14
2019-04-28 22:39:24「鉄蜘蛛のログが得られた。これを使って他の部隊の展開座標を割り出す。おおまかなところをな」ブラックヘイズは逆関節を叩いた。「キュイキキキ」「そして……コイツには、ひと働きしてもらうか」周囲を見渡す。一対。二対。三対。眼光が闇に浮かぶ。甲冑オートマトンだ!「AAARGH……!」 15
2019-04-28 22:44:40KBAM!鉄のクロスボウ・ボルトがブラックヘイズの眉間めがけ飛来する!ブラックヘイズは横からボルトを掴んで止めた。「油断も隙も無いな」『タイムイズマネーですね、ブラックヘイズ=サン』「そうだ。イヤーッ!」彼は高く跳んだ!ZDOOOM!鉄蜘蛛が対物ライフルを撃つ!命中!「グワーッ!」 16
2019-04-28 22:46:45跳ね上がったブラックヘイズは高枝に手をかけ、飛び乗った。BRATATATATA!BRATATATATA!鉄蜘蛛が機銃掃射する。二体の甲冑オートマトンは盾をかかげ、銃弾を受けながら前進。構えたメイスで鉄蜘蛛を滅多打ちにする!「フンーッ!」「ピガーッ!」「フンーッ!」「ピガーッ!」 17
2019-04-28 22:48:58ブラックヘイズは加速度的に鉄屑となってゆく鉄蜘蛛を一瞥した。機械とはいえ、アワレなものだ。彼は鉄蜘蛛を囮に放置し、己は枝から枝へ跳んだ。「イヤーッ!」生存部隊への到達が1分1秒遅れれば、それだけ全滅の確率も増える。そうなれば面倒が増える。「イヤーッ!」 18
2019-04-28 22:52:57「まったく、ぞっとしない話だ」『オートマトンとガイストですね?』跳び渡りながら、ブラックヘイズはアキナとIRC会話する。「そうだ。大空洞の祟りと思うか?」『……情報があまり無いのです。結論付けるのは早計かと』「付近にはヤナマンチが展開しているな。ニンジャのジツという可能性もある」19
2019-04-28 22:57:33『実体をコントロールするわけですか』「あるいはボットの操作だ。甲冑はそのニンジャの趣味だとする」『だとしたら、手の込んだ真似をします。しかも、あれほどの数を一人のニンジャが操作しているのだとすれば……』「祟りのほうがマシだな。忘れろ」 20
2019-04-28 22:59:26『さきほどのカラテは鮮やかでした。ご自身では、いかがですか?』「極めて良好だ」『サイバネフレームの論理トリガ反応速度は、現在の値でほぼ限界値といってよいです』「ああ。礼を言う」『承認されるのも、緒戦における貴方のめざましい活躍あればこそですよ』「ああ。俺は信仰に目覚めたのだ」 21
2019-04-28 23:03:57『素敵です』「俺はリアリストだ」祈るたび論理聖教会からの入金が行われる。入金されるから祈る。現世利益。無限のサイクルが信仰を深めるのだ。「イヤーッ!」回転跳躍、木の頂点を蹴って更に跳び、枝を掴んで身体を一回転させ、勢いをつける。『前方に生体反応!交戦中です!』「イヤーッ!」22
2019-04-28 23:07:40BRATATATATA!BRATATATATA!銃声、そしてマズル光!「イヤーッ!」ブラックヘイズは跳びながら眼下の交戦兵の方向へ右腕を突き出す。格納された射出機からクナイダートが飛び、槍斧を振り上げた甲冑オートマトンの関節部を過たず貫いた!「グワーッ!」 23
2019-04-28 23:11:44