エアパワーの特性ってざっくりこんなもの。

基本に立ち返って、エアパワーについて考えるときの下地について。 あと、ついでで空の機動戦について(解釈間違いがなければですが)。 続きを読む
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錆猫 @Nyar_Horten

何となく基本に立ち返り、ざっくり航空兵力の特性。 ①他に優越する速度を以て、政治や他兵力の機動≠移動とその選択肢の拡大(例えば時間の短縮・捻出)に寄与する。 ②他に優越する速度とその活動領域の特性から、自前の能力で陸海空の目標に直接的に打撃が行える確率が(他兵力に比して)高い。

2019-04-29 17:56:16
錆猫 @Nyar_Horten

③速度とその活動領域の特性から分散・集中に優れ、打撃力の効果的運用が(妨害を受けない限りにおいて)容易である。 ④政治・政策や他兵力の行使・行動・目標達成に強い影響力を持ち、またそれを持てるポジションにいる(威力向上の接続点となり得る)。

2019-04-29 18:01:26
錆猫 @Nyar_Horten

⑤威力の発揮は集中的で、その影響力は総じて点であり、また活動領域と機材の特性上、領域的・時間的な占有力に乏しい。 ⑥威力の発揮には、飛行場を始めとした運用基盤に多くを依存し、またその行動・影響を及ぼす範囲もそれを起点にしたもの以上にはなり難い。

2019-04-29 18:06:32
錆猫 @Nyar_Horten

⑦航空兵力は科学技術にその威力の多くを依存し、技術の変遷により陳腐化の度合いが激しい傾向にある。 ⑧航空機は空に居てこそ威力を発揮する。換言すれば、航空機は地上に於いては的に等しい。 って感じかしら。

2019-04-29 18:10:44
錆猫 @Nyar_Horten

①は、他兵力に対するそれは、例えば重点打撃による間接支援や直接的な近接支援といった攻撃手段による敵の機動・意図或いは意思の阻害、可能であればその破砕による、我が方の行動の自由・選択肢の拡大がそれに当たる。

2019-04-29 18:17:23
錆猫 @Nyar_Horten

政治に対するそれは、例えば南シナ海や朝鮮半島へのB52派遣、或いは湾岸戦争前夜に於けるF15を中心とした戦力の中東への機動といった、迅速な政治的意図の表明がこれに当たる(ただし、占有力という説得力に欠けるので、決定的な意思表示とはなり難い傾向にある)。

2019-04-29 18:26:17
錆猫 @Nyar_Horten

②は、ドゥーエが論じた制空ですね。近年においては、敵重心や情報機能・各種インフラへの打撃が主で、人口密集地等への打撃は政治的に敬遠される傾向にあるのがドゥーエの頃と変わったところかもしれません。

2019-04-29 18:32:28
錆猫 @Nyar_Horten

③もドゥーエの制空から。航空兵力は相手(主に他兵力)に優越する速度から主導権を得易く、この特性から目標の選定や攻撃時期並びに手段選択の自由度が高く、攻勢的な運用に高い適正を持つ。

2019-04-29 18:40:37
錆猫 @Nyar_Horten

(なお、航空兵力に対しては主に物理的な速度ではなく、意思の速度・連続性が主導権獲得の鍵となる。というか、おそらく厳密には陸海空全てに対して、相手に優越する意思決定速度とその連続性により作り出した時間的優越を、兵力の特性である速度や選択の自由度で加速させる形になるのかしら)

2019-04-29 18:47:36
錆猫 @Nyar_Horten

ただ、近年は監視網の高度化により、目標に至るルートは(損失等を考慮に入れると)割と限定的になる傾向にある。また、近年は防空火器の軽便化とその拡散から、能力の低い航空機の活動域は大きく制限されつつある状況といえる。

2019-04-29 18:53:21
錆猫 @Nyar_Horten

④は、①に基づく他兵力・政策との連携により、その効果を向上する。他兵力との連携は主に開戦劈頭の重心・縦深への打撃(殊これらの目標達成の可否はその後の紛争の方向性に影響する)、政策は平時に於いては①まま、有事に於いては軍事は政策に従属するによる。

2019-04-29 19:07:46
錆猫 @Nyar_Horten

⑤は、特に近年の政治的非寛容の傾向から広域で無差別的・可視的な攻撃は敬遠されがちなところから被害範囲局限への志向が強く、その影響力は(殊エアパワー単独の場合)軍事的なそれに反して点≒縮小傾向にあるといえる。

2019-04-29 19:13:49
錆猫 @Nyar_Horten

また、空は飛び続けないとそこに留まることは出来ず、航空機は空中で人員の疲労を回復させたり一度使用した武器の再補充は出来ない。その為、航空兵力は領域を(ローテーションの巧緻で一定の緩和は可能なれど)強制力を以て支配し続けることは困難である。

2019-04-29 19:21:26
錆猫 @Nyar_Horten

⑥は言葉通り。精密で高度な技術の産物である航空機は高度な保守管理を必要とし、離発着にも一定の強度と面積を有する飛行場が必要になる。また、行動半径が決まっている以上、(空中給油である程度は緩和するも)飛行場を戦場に近づける為に別途努力が要求される。

2019-04-29 19:29:33
錆猫 @Nyar_Horten

⑦は、陸海と比較して使用機材は技術力に依存する割合が高いとされることに起因する。厳密には、対応すべき状況や、それに対して利用すべき技術の選定や発展に影響を及ぼす戦争観やドクトリンの変遷が、航空機の技術的な世代交代に相互作用的に影響を及ぼしている、というべきなのかもしれませんが。

2019-04-29 19:37:45
錆猫 @Nyar_Horten

⑧は言わずもがな。 と、趣味人さん的にはこんな解釈(本職さんじゃないので抜けは勘弁)。参考資料は芙蓉書房出版のエアパワーや戦略論大系のドゥーエ等々。なお、某PDFはPCのHDがクラッシュした際に喪失。あれあればもっと簡潔に出来たんじゃろけどにゃ。

2019-04-29 19:41:53
錆猫 @Nyar_Horten

ちょこっと補足。 ⑥と⑦。航空兵力は運用基盤や技術に依存する度合いが高いということは、必然的にその戦力構築に当たっては大きな出費が必要となることも意味する。その為、殊近年可視化された低強度で継続的な武力行使という消耗戦において費用対効果が悪いという問題も持ち上がっている。

2019-05-01 07:37:16
錆猫 @Nyar_Horten

あと、⑤で影響力は点としたけど、警戒・監視という効用に於いては、近年は技術の発展から殊戦域に対するそれは(ローテーションの巧緻、或いは機材の質量に左右される部分があるけど)概ね「線(という、面程ではないが連続的な警戒・監視)」の影響力を持つといえる。

2019-05-01 07:46:03
錆猫 @Nyar_Horten

(空も空で海みたく数が足りないので、手足(の長さ)に目と判断力を速く・早くすることで、相手に連続的な思考を強要しその飽和を志向する方向性っぽいからにゃ。スタンドオフ極超音速兵器の搭載って多分その文脈の補完要素なんじゃないかしら)

2019-05-03 08:25:18
錆猫 @Nyar_Horten

霧を作為(例えば情報インフラへの直接打撃)し、それによって摩擦の生じる要素を捻出・演出(欺瞞行動等による)、それを助長する為の(我が方の判断の)速度と分散・集中、によって相手の意思(≠戦力そのもの)の瓦解・破砕を企図する、みたいな?

2019-05-03 08:32:58
錆猫 @Nyar_Horten

相手戦力は、必要であれば打撃すべき対象になるし、実際打撃を加えることになるけど、それは結果的に行われることであって、主題・主要目標としてのものではない、って感じなんかなぁ、あとりしょんな方でない戦い方って。

2019-05-03 08:37:25
錆猫 @Nyar_Horten

それぞれに戦い方で差が出るのは、多分時間の扱い方。あとりしょんな方は累積的で確率的な効果を期待するので、時間には割とルーズになるかもだけど、も一方の方は相手の思考の飽和が肝なので、矢継ぎ早な時間の使い方になる、って感じかにゃ。

2019-05-03 08:42:10
錆猫 @Nyar_Horten

多分、海の武器分散や空の共同交戦や高速度なウェポンって要素は、そこら辺が根っこにあるんじゃろな、と。

2019-05-03 08:45:17
錆猫 @Nyar_Horten

とはいえ、それだけだと目標は達せられても目的は未達成に終わる、てことになるんじゃろけども。というか、以上は恐らく相手の拠りどころを奪う戦力の花道を作る過程に於いての話になるじゃろし、海と空のそれは。

2019-05-03 08:53:39
錆猫 @Nyar_Horten

あと、矢継ぎ早なアクションは言換えれば攻勢に当たるが、攻勢には限界がある。この攻勢の止まる時間をどう誤魔化すのか、或いは相手がそれに気づくのをそれだけ遅延させるか、も殊威力向上の接続点となる空の重要な役割になるんじゃろな、と。

2019-05-03 14:26:57