F35 稼働率7割の理由

なぜそうなっているかについて、アメリカ会計検査院(GAO)の報告書をsis_sisさんが読み解きます。
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sis_sis @sis_sis

GAOは2018年1月に「F-35には966の未解決な不備がある」とレポートしていたが、日本では共産党がこれを引用してF-35欠陥論を主張しているけれど、国防総省(DoD)によると「2019年1月までの1年間にこれらの未解決な不備を解消させることに成功した」としている

2019-05-05 00:14:52
sis_sis @sis_sis

DoDはGAOが掲げた966の不備を分析し、同一のデバイスや似通った内容のトラブルなどを再分類したり、あるいは結合することで「まずは単純に不備とされたものの項目を減らし、そこから実際の改善・改良を施すことによって解決を目指した」という

2019-05-05 00:16:13
sis_sis @sis_sis

この結果、2018年度中にカテゴリー1(早急に解決する必要のある不備)とされた約100項目のうち、約50項目を解決し、残る約50項目についてはカテゴリー2(要求仕様を満たさず、緊急解決性のない不備)に再分類して、以後も継続してトラブル解消を目指す措置を取ったという

2019-05-05 00:16:52
sis_sis @sis_sis

特に解決の緊急性があると考えられていたカテゴリー1の13項目については、運用上の回避策を策定して飛行安全性の懸念を払拭したとするトラブルそのものは解消せずとも、使い方を変えることによってトラブルの影響が及ばなくしたという消極策だけど、それでもとりあえずの解消にはつながる

2019-05-05 00:18:12
sis_sis @sis_sis

新たに判明し、カテゴリー1に分類されたのは「キャノピー製造時の施工トラブル」で、テープ接着が不十分なことから湿気が入り、コーティング腐食や亀裂が生じるおそれがある。 確認されたトラブルは約20件。早ければ100時間程度の飛行でコーティングの腐食による剥離が生じる可能性があるという。

2019-05-05 00:19:47
sis_sis @sis_sis

このトラブルが確認されたものと同時期に製造された173のキャノピーについては今後4年間で交換するとともに、現状での標準的な修理手順も策定し、それに使用する代替の接着テープを準備しているという。

2019-05-05 00:20:09
sis_sis @sis_sis

新たに発覚したもう1件のカテゴリー1トラブルは「エンジン系統への燃料供給チューブの不具合」で、これは2018年9月に発生したF-35Bのエンジン発火と、それによる墜落事故の原因になったと推測されているもの。 事故機搭載と同時期に製造されたチューブは2019年6月までに交換される予定となっている。

2019-05-05 00:21:15
sis_sis @sis_sis

引き続きトラブル解消に向けた作業が進行しているのはOBOGSを含むLSS(生命維持装置)について。 これまでに35人のパイロットが体調不良を訴え、このうち30例は飛行中の機内で発生しているが、LSSの機械的な不備や欠陥は現状で確認されていないという

2019-05-05 00:21:47
sis_sis @sis_sis

LSSの製造を担当するメーカーや、このトラブル解消に向けて参集されたアクションチーム、医師も交えて原因の検討をしているが、パイロットが体調不良を起こした際のリアルタイムデータが欠けていることもあり、今後はパイロットの体調をリアルタイムで監視する技術の開発も目指すとしている

2019-05-05 00:22:25
sis_sis @sis_sis

その他のカテゴリー1トラブルとしては、既知のものとなっている「F-35Bのタイヤ耐久性」、「コックピット液晶ディスプレーの一部ブラックアウト」、「ヘルメットマウントディスプレーのドット常時点灯」、「空中給油プローブの耐久性向上」があり、いずれも引き続き解消を目指すという。

2019-05-05 00:24:00
sis_sis @sis_sis

R&M(Reliability and Maintainability=信頼性&保守性)の観点からもこうした不具合の改善や解消が求められるのは当然だけど「改善に必要な専用の予算(資金)は調達されておらず、予算内で執行の優先順位もつけられていないことが問題」とGAOは指摘している。

2019-05-05 00:24:28
sis_sis @sis_sis

R&Mに関した費用は確保された年間予算から支出するしかなく、予算が尽きた時点でプロジェクトの実行は不可能となり、中断されることになる。2018年度中にもいくつかのR&Mプロジェクトは達成されたが、その一方で未達成のまま放置されているものも。これらは2019年度予算が付くまで手がつけられない。

2019-05-05 00:25:09
sis_sis @sis_sis

早急に解決する必要のあるカテゴリー1のトラブルでも、改善や解消に時間を要しているのは「お金の問題」でもあり、批判があるとしたらこの部分ですかね。 ただ、それはF-35だけに限った問題でもないし、改善や解消しなくてはならないトラブルがあること自体についてGAOは批判していない。

2019-05-05 00:25:41
sis_sis @sis_sis

LSSのトラブルは解消されておらず、日本で起きたF-35Aの事故も一部でOBOGSの欠陥を疑う声もある。「酸欠による昏倒…からの意識障害で脱出不能のまま墜落した」と考えているようだけど、F-35はもちろん、同様のシステムを持つF-22で起きたOBOGSのトラブルでもパイロットは昏倒まで至っていない。

2019-05-05 00:26:51
sis_sis @sis_sis

OBOGS不調で生じるのは一般的な低酸素状態であり、「ボーッとした」的な軽度の症状だという。低酸素状態の感じ方は個人差があり、激しい機動飛行を含む訓練後だと自身の体調に起因したものなのか、装置の不具合に起因したものなのか判断も難しく、ゆえにリアルタイム監視システムの出番となるのだろう

2019-05-05 00:29:34
sis_sis @sis_sis

当然ではあるけど、GAOはF-35シリーズを欠陥機とも称していないし、ポンコツ扱いなどしていない。「現状ある不具合は改善を図って解消していけ、そのための費用を適切に確保しろ」と提言しているだけ。

2019-05-05 00:33:39