アニメ『さらざんまい』4話考察 ～サラ××説の検討、欲望を描く理由など～

しろうと @sirouto

普通のアニメだったら、忙しいアイドルを変装で一日連れ出してデートするとか、もっと共感できる内容にするはず。そういうのならよくあるだろう。

しろうと @sirouto

しかしここで、「アニメの常識は、イクニ（アニメ）の非常識」という法則を思いだして欲しい。普通のアニメと同じように、空気を読んで作ったら、幾原監督作品の突出したオリジナル性は出ないだろう。

しろうと @sirouto

本作で「欲望」というとき、「漏洩」したら困るような、個人の秘密の領域を扱っている。犯罪が絡むようなところは、大事な秘密の最たるものだろう。

しろうと @sirouto

ここで少し飛躍していると思われるかもしれないが、「さら」では「漏洩」という通信の比喩を使っているから、通信の例を出そう。

しろうと @sirouto

「漫画村」と、その通信遮断をめぐる騒ぎを覚えているだろうか？　アニメの話だからここでは、漫画村事件そのものの、是非、賛否、善悪といった価値判断には深入りしない。

しろうと @sirouto

しかし、犯罪が関係するから、通信の秘密を侵して良いかというのは、難しい問題だ。全国民の通信を盗聴しておけば、防げる犯罪もあるだろうが、それはみんな嫌だろう。だから、犯罪の防止だけが絶対ではない。

しろうと @sirouto

あるいは、現実で犯罪がいけないというのと、アニメなどのフィクションで犯罪を描くことは別のことである。しかし、自転車の二人乗りも規制されるような状態なので、犯罪描写の（自主）規制は厳しくなっている。

しろうと @sirouto

現実世界で犯罪がいけないからといって、フィクションの犯罪まで規制したら、密室殺人を扱う推理小説、犯罪小説などのジャンルは、消滅するだろう。それが良いかどうか？

しろうと @sirouto

もちろん、これは「幾原監督がそう考えている」と言いたいのではなくて、作品から私が読み取っているだけである。それを「冷や奴」（無意味な深読み）などといって、鬼の首を取ったように批判する人がいる。

しろうと @sirouto

現にネットの様々なSNSのコメント欄でも、そういう揚げ足を取るだけの人はいるだろう。それについては、「去勢」という、本作の言葉が当てはまる気がする。

しろうと @sirouto

「出る杭を打つ」という日本人の習性は、私も日本人だから実感している。ネットの炎上も毎日のように見る。しかし、その傾向が強過ぎると、みんな萎縮して、社会全体が衰退していく。

しろうと @sirouto

「欲しがりません、勝つまでは」のように、個人の欲望を一切許さない、という全体主義的な社会のひとつの典型が、戦時中の日本だ。そういう風に、単純に「欲望=悪」ではなく、抑圧し過ぎると別の悪を生む。

しろうと @sirouto

また飛躍に思えるかもしれないが、「さらざんまい」の小説版が、早くから出ているのは、ネタバレだから不満だったが、これも欲望と関係しているかもしれない。

しろうと @sirouto

もし、先の展開の予想が外れるのが嫌なら、先に小説版を読めば正解が保証されている。しかし、推理小説を結末から読まないように、考察する過程自体が目的なのだ。

しろうと @sirouto

個人の欲望、あるいはオリジナルな考えを一切許さず、正解をコピペすればいい、という考えが今の日本では、非常に強まっている。たとえば、「何でもAIに任せれば良い」みたいに。

しろうと @sirouto

でも、本当に個人の欲望がすべて悪なら、人間から名前なんか取り上げて、マイナンバーのような国民背番号だけでもいいはずだ。しかし、番号で呼ばれるような人生は、みんな嫌だろう。

しろうと @sirouto

今回の考察後半をまとめると、なんで欲望を描くかと言えば、つまり、アニメ上ですら、犯罪を一切排除しようとか、共感できない部分は一切排除しようとか、そういう社会の空気に、一石を投じているのかもしれない。

しろうと @sirouto

社会がどうこうと重苦しい話になったから、ここで、本当にただの個人的な感想も言っておこう。

しろうと @sirouto

今回、「さら」4話では、女装カズキがカワイイのと、トオイの子供時代がカワイイ。個人的さいかわがハルカなのは動かないが、子供トオイもその座にかなり迫っている。

しろうと @sirouto

カズキは、視聴者には「魔性の男の娘」と思われているみたいだ。たしかに、『ルパン三世』の峰不二子がルパンにおねだりする、みたいな構図が、カズキとトオイに少し感じた。

しろうと @sirouto

トオイがソバを食べる姿に頬を染めていたので、順調に進むとトオイとカズキでくっつきそうだが、エンタがこのまま幼なじみの寝取られを許すのか、逆転劇のようなものがあるのか。

しろうと @sirouto

女装して、誘惑して、犯罪の相談をする。そのあたりが「さら」は、普通の腐女子アニメと雰囲気が違う。まあ「ユリ熊」も、普通の百合アニメとは違う雰囲気だったし。

しろうと @sirouto

4話最後のカズキの「ぼくはハルカが嫌いだ」みたいのも、イクニアニメっぽくて、普通の腐女子アニメとは違う感じだ。あえて他ジャンルで言えば「昼ドラ」展開というのか、予想がつかず先が気になる。

しろうと @sirouto

といったところで、今回の感想は、この辺で区切ります。ありがとうございました。