インポ紳士な宇宙忍者と屍体溶接技師なメス男子が一緒にオシゴトする話

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帽子男 @alkali_acid

勃起不全の知的な中年男性としゃらくさいメス男子の、年の差凸凹カップルの話をお願いします。 odaibako.net/detail/request… #odaibako_alkali_acid

2019-05-04 20:23:08
帽子男 @alkali_acid

あれじゃん。 ネクロテックエンジニアのことでしょこれ。

2019-05-04 20:24:31
帽子男 @alkali_acid

灰白金の髪に、鋼色の瞳、骨のように白い肌。 いつもくすんだ色のつなぎでおおった肢体は、かつては雛鳥のように細かったが、最近とみに実りを豊かにし、ゆったりした布地の上からも腰の丸みなどが解る。ただ顔立ちは依然、少年のような少女のようなあどけなさを残している。

2019-05-04 20:26:46
帽子男 @alkali_acid

化粧をして角に立った方が稼ぎが多そうだが、本人は屍体溶接という流行らぬ仕事を続け、不法滞在者が集まる区画の片隅に小さな工房を構えている。 客などめったに訪れず、目立つ容姿に関心を持った地回りがたまに寄っては、気のない地上げついでに春を鬻いで上納金をおさめるようゆするばかり。

2019-05-04 20:32:57
帽子男 @alkali_acid

溶接具を操る巧みな指さばきが、古風な技にこだわりすぎるのが悪いのか。 作業着で包んだ円かな尻の動きが、あまりに男を誘いすぎるのが悪いのか。

2019-05-04 20:35:10
帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ 宇宙忍者のカトーは、依頼人の待つ閉鎖空間に入ったとたん、思わず鼻白んだ。辺境宙域の中継ステーションに滞在してそう長くはないが、すでに警戒すべき人物は一通り把握している。 筆頭に近いのが屍体溶接技師とかいう風変わりな稼業の人物だ。

2019-05-04 20:38:48
帽子男 @alkali_acid

「特徴だと?偏屈な職人でござい、みてえな気取った顔してるくせに、作業着じゃ隠せもしねえ丸いケツ放りだしてぶるんぶるん男誘うみたいに振りまわしながら、メスの匂いをぷんぷんさせながら泳いでんだ。すぐ解るぜ」 「ぬう…」 不勃治療中心で知り合った地回りは微に入り細に入り説明してくれた。

2019-05-04 20:41:12
帽子男 @alkali_acid

「そのくせこっちがケツ掴んで揉んでやるとよ、信じられねえみてえな態度とりやがって!そんなケツしてる方が悪ぃだろ?なあ?!」 「いや…よく解らん」 「くそ!勃ちさえすりゃああのガキャぁ絶対に孕ませてやる!!俺だって勃ちさえすりゃあな」 「ではXX型?XXY型か?」

2019-05-04 20:43:07
帽子男 @alkali_acid

カトーは尋ねたものだ。すると地回りは目を血走らせて叫んだ。 「XY型だろうとXX型として扱えばそうなっちまうんだよ!そういうもんなんだ!それによ!ここは辺境宙域だ。男だろうと子宮のあるやつがいるんだよ!化物が!」 「子宮?」 「男性子宮!前立腺小室っつーんだ!俺は学はねえが知ってる!」

2019-05-04 20:45:14
帽子男 @alkali_acid

くだんの屍体溶接技師は、尻が円く、男性子宮がある。 そういった真偽不明の情報をカトーは、役に立つかどうかはともかく固定記憶しておいた。 結局そのおかげで閉鎖空間で出くわした人物の正体がすぐ判別できた。かなりの特徴が一致する。特に腰回りの形状だ。

2019-05-04 20:49:38
帽子男 @alkali_acid

「ドーモ、エレクトレスです」 宇宙忍者の掟に従って挨拶しながら、背後をとられぬよう隅に陣取る。 「どうも。デッドウェルダーです」 技師は合わせて簡単に仮名を答えた。辺境宙域にはほかに同業はいないという意味だろう。 今回の案件での互いの呼び方は決まった訳だ。

2019-05-04 20:51:36
帽子男 @alkali_acid

依頼人のドローンが閉鎖空間の輸送ダクトを通って転げ出てくる。 辺境宙域ではごく標準の第六世代人工知能らしい。どうやら金持ちでも吝嗇でもない相手。いや少なくともそう思わせたがっている。 小型機は、請負人ふたりの周囲を旋回して走査していく。

2019-05-04 20:54:09
帽子男 @alkali_acid

光学センサーが入念にデッドウェルダーの太腿の付け根あたりの曲線を調べ上げ、データを照合していく。 「過去データより皮下脂肪の増量を認める」 無機質な声が告げる。 見守るカトーは警戒度を上げた。 人間の臀部は厚みがありさまざまな機器や生物兵器を埋め込むのに最も適した個所だ。

2019-05-04 20:56:45
帽子男 @alkali_acid

何らかの目的で改造をしていた場合、破壊工作の用意である恐れがある。 「…自然増と判断」 だがドローンは平静に続けた。 デッドウェルダーは無言を保ったままだが、やや頬が赤らんでいる。 感情制御インプラントは入れていないらしい。

2019-05-04 20:59:17
帽子男 @alkali_acid

続いて無人機はカトーの股間にセンサーの焦点を合わせた。 「機能の完全な喪失を確認」 宇宙忍者の標準装備である感情制御インプラントが脳内に発生した激しい電子反応を平坦化する。 「完全ではない。重ね合わせだ。観測があるまで確定はしない状態を維持している」 「エレクトレス本人と判断」

2019-05-04 21:02:25
帽子男 @alkali_acid

ドローンの一部が展開。 \ 依頼人 / という文字列を表示する。 「デットウェルダー、エレクトレス両名の到着を確認。これより本案件の説明を開始する。説明終了後の離脱は契約違反と見なす」

2019-05-04 21:04:30
帽子男 @alkali_acid

「十地球標準日前、この中継ステーション近傍の恒星系αIIIに遺跡船が侵入した。三十地球標準日前、連邦宙域に出現し、懲罰艦隊の追跡を受けながら消失した船と同一存在であると確認された」 屍体溶接技師と宇宙忍者は無言で情報を受け取る。

2019-05-04 21:08:11
帽子男 @alkali_acid

「遺跡船は、連邦宙域を超光速で離脱後、αIII恒星系で失速したと推測される。遺跡船の所属文明は外形と各種励起波長から"帝国"と比定。このためネクロテックの運用が必要となる」 ドローンは光学センサーを再びデッドウェルダーの自然増著しい腰部周辺に向け、走査を再開した。

2019-05-04 21:12:15
帽子男 @alkali_acid

「近傍宙域にネクロテックオペレーターは存在せず、オペレーターに準ずる技能を有するエンジニアに直接探査への参加を依頼することに決定…ただし腰部皮下脂肪の著しい自然増から、遂行能力の再判定を行う」 「不要です」 技師はハスキーな、XY型、XX型、XXY型いずれとも定めがたい声で応じた。

2019-05-04 21:15:06
帽子男 @alkali_acid

「いや、その腰部皮下脂肪で遺跡船探査は無理では」 探査でリスクを共有することになる忍者は、専門家としての意見を述べた。 すぐに鋼色の双眸がねめつけてくる。 カトーは口をつぐんだ。

2019-05-04 21:17:01
帽子男 @alkali_acid

ドローンは説明を続ける。 「腰部皮下脂肪についての判断は保留。探査の護衛としてエレクトレスを抜擢。機能の完全な喪失により、同行する技師の腰部状況を問わず、自己決定権侵害のリスクが低いため」 「重ね合わせだ」 忍者は感情制御インプラントの助けを借りつつ冷静に訂正する。

2019-05-04 21:19:16
帽子男 @alkali_acid

「最小限ツーマンセルでの遺跡船探査となる。第三者の関与は認めない。本案件は、連邦勢力および彗星印勢力の注意を喚起せず完了するものとする」 彗星印は古めかしい商業主義を復活させた辺境宙域の一大派閥。 むしろ現時点で遺跡船について嗅ぎつけられていないのが奇跡に近い。

2019-05-04 21:21:58
帽子男 @alkali_acid

「探査開始はゼロ・カンマ・セブン地球標準日後となる。遺跡船への接触方法は一任する。報酬は事前協定の通り。依頼人から請負人の健闘を期待する」 ドローンは輸送ダクトを通って消えた。 デッドウェルダーとエレクトレスは向き合う。 先に動いたのは技師の方だった。死んだ右手を上げる。

2019-05-04 21:25:32
帽子男 @alkali_acid

「腰部への言及は、今後一切拒絶する」 忍者は同意の印に首を縦に振った。 「承知した」 「そちらの機能については」 「同様だ。協定を結ぼう」

2019-05-04 21:27:13
帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ カトーは依然、デッドウェルダーの腰部について疑いを抱いていたが、遺跡船への接近挙動を観察して、何らの改造を施したものではないと納得できた。 新たな相棒は内宇宙用の高機動型ネクロテックに、自らの生命維持ポッドをかかえさせ、巨大な積層構造の表面に接近するまでは優雅だったが、

2019-05-04 21:30:46