ギア・ウィッチクラフト #6

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ZMZMZMZM……。奇妙な唸り音が空洞に鳴り響いた。それはギンカクから発せられていた。御影石の表面にサザナミが生じていた。(大丈夫なのか?)コルヴェットは歯を食いしばる。ギュンター博士がコルヴェットを振り仰ぎ、緊迫した表情で目配せした。コルヴェットは頷いた。手首にカゼが集まる! 0

2019-05-11 21:28:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「貴様何を!」監視役のカタナ企業戦士が異状を察知しカタナ警棒を振り上げ時には、コルヴェットのジツは既に完成していた。コルヴェットは手枷を連れて行かなかった。彼は彼に属するものを携え、己に吹き込む風に身を任せた。「イヤーッ!」「グワーッ!?」企業戦士は足元を掬われ転倒! 1

2019-05-11 21:31:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

コルヴェットは数メートル頭上に出現した。空中で身を捻り、再び風を集めた!BRATATATA!BRATATATATA!咄嗟に戦士達はアサルトライフルの引き金を引いてコルヴェットを追った。「イヤーッ!」コルヴェットは風に乗った!「アブナイ!やめい!撃つな!」シュルツが叫んだ。「機材に当たる!」 2

2019-05-11 21:33:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

コルヴェットはUNIXデッキ付近に着地!「イヤーッ!」「グワーッ!」ギュンター博士の傍らにいた企業戦士の首筋にチョップし、昏倒させる!「良いのだな!?うまくいったのか博士!」ギュンター博士は頷いた。「ギンカクには手を施した。カタナにこれ以上加担する必要はない!グロースアルティヒ!」3

2019-05-11 21:37:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何だと?」シュルツが目を剥いた。「貴様何をした!観念し任務を再開した筈……」「私には正義がある!」ギュンター博士は胸に手を当てた。「正義と使命!暗黒メガコーポごときに私の研究を自由にはさせん!」「おのれェーッ!謀りおったか科学者ーッ!」シュルツはシュルツブレードを抜いた! 4

2019-05-11 21:42:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イチノタチグワーッ!?」シュルツは走りながら横に回転し、肩から地面に倒れ込んだ。コルヴェットは博士を庇うように動き、片膝をつきながら、手を掬い上げるように動かしていた。ローグ・ニンジャ・クランのカゼのジツのひとつ、カゼのファンブルだ。シュルツはひどい転倒で気絶しかかった。 5

2019-05-11 21:45:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」「ム……」コルヴェットは唸った。覆うように投じられたのは、キラキラと輝くオリハルコンのヘイズ・ネットだった。魔術師は咄嗟にグルグルと右手を動かした。風が集まる。その動きに実際ネットは絡めとられ、本来身動きとれぬ有り様となるところ、右手首に巻き付くに留まった! 6

2019-05-11 21:49:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「チ……ニンジャめ」ブラックヘイズは険しい目でコルヴェットを見た。ロープ・デスマッチめいた状態となる。ブラックヘイズは力任せに引こうとする。コルヴェットはブラックヘイズを不敵に指さした。一瞬遅れて、影がブラックヘイズの顔に飛んできた。ナムサン!?鍔広の旅人帽である! 7

2019-05-11 21:52:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

帽子はまるで命を持つかのようにブラックヘイズの顔面に纏わりついた。「ヌウーッ!」ブラックヘイズは剥がそうとする!帽子は纏わりつく!「俺は単なる魔術師や手品師ではない。そして単なるニンジャでもない。その両方よ!」コルヴェットは言い放った。そして呟く。「で、次はどうしたものか……」8

2019-05-11 21:55:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「「「グワーッ!」」」その時だ!悲鳴と雄叫びがあがったのは大空洞の入り口付近!突入してきたのは白いヘンゲヨーカイ!「うむ、それよ!つまり、それが言いたかったのよ!」コルヴェットは力強く頷き、叫んだ。「フェイタル=サン!こちらだ!ちと難儀しておる!」「ゴアアアオオオオン!」 9

2019-05-11 21:58:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「なッ……!」シュルツは頭を振って起き上がる。「構え!構えい!近寄せるな!十字砲火撃ち方ーッ!」BRATATA!BRATATA!カタナ企業戦士がライフル射撃する!「ゴアアオオオン!」怒り狂った白い影は飛来する銃弾を鉄塊で打ち払う。ナムサン、鉄蜘蛛の損壊脚部だ。それを、投げる!「イヤーッ!」 10

2019-05-11 22:01:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グワーッ!」「アバーッ!」鉄蜘蛛の脚部はクルクルとモータルカタナ兵を吹き飛ばし、クルクルと回転しながら一直線に飛んだ……ブラックヘイズの元へ!「チイッ!」ブラックヘイズは咄嗟にブリッジ回避!コルヴェットは難儀しながら手首のヘイズネットを引き剥がす!「うむ……!」 11

2019-05-11 22:03:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「GRRRRRR!」フェイタルはブラックヘイズに襲いかかる!ブラックヘイズはフェイタルのビースト・カラテに対処!二者はワン・インチ距離のカラテ応酬を開始した。「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「愚か者共め……!」ギュンター博士はギンカクを見る。脈打つ光! 12

2019-05-11 22:08:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ZMZMZM……ZMZMZM!「博士!退散するぞ」コルヴェットはギュンター博士の手をとった。そしてギンカクを二度見した。「安定化……させたのか?だが、見たところ……」ZMZMZMZM!「いや、これでよいのだ。何の問題もない。こうする必要がある」ギュンター博士は請け合った。「カタナには過ぎた叡智よ」13

2019-05-11 22:12:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「AAAARGH!」フェイタルはブラックヘイズを蹴り飛ばし、爪で襲い、銃弾を跳んで躱し、兵士をちぎっては投げ、ちぎっては投げ、背中に襲いかかるブラックヘイズに再び応戦する。「おい」コルヴェットは掴んだ手に力を込めた。「答えろ博士。これでよいのか?」「ナチュアリッヒ!時は来たぞ!」 14

2019-05-11 22:16:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ギュンター博士はコルヴェットの手を振り払おうとした。コルヴェットは抗った。然り、抗わねば容易く振り払われる力だった。「オヌシ……ニンジャか!?」ギュンター博士は答えない。彼は自らのシャツの胸元に手をやり、ボタンごと、荒っぽく引きちぎった。ナムサン!露わになった彼の胸には! 15

2019-05-11 22:18:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

その胸の中心には、菱形の、卵大の八角形の石が埋め込まれていた。どうやらそれはエメツだった。その石を囲うようにして、円状に、ゲルマンルーン文字が刺青されていた。今それが……おお……銀の靄を放っているではないか!コワイ!「これは……」コルヴェットは目を剥いた。そして「グワーッ!?」16

2019-05-11 22:20:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

キイイイイイイイン!ギンカクが哭いた!ギュンター博士のエメツが共鳴した!「故郷が土を離れ幾星霜!我帰還し叡智をこの手に!」ギュンター博士の歓喜の叫びはコルヴェットの耳には半ばまでしか届かなかった。彼の自我は真っ白に染め上げられた。落雷を受けた避雷針に直で触れたようなものだった。17

2019-05-11 22:23:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

010010100……01001……001……01……コルヴェットは奇妙な感覚の中にいた。闇だ。しかし己の掌すら見えないのだ。しかし音はさやかに聞こえた。やがて気づいた。闇ではなく、見えないのだと。コルヴェットは……否……彼女は……闇の中にいても平気だった。普段と変わらぬ感覚だ。 18

2019-05-11 22:27:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼女は……アレックスは既に覚悟を決めている。やらねばならない。他でもない、彼女自身の手で。ぼんやりとした「凝(こご)り」が、闇の奥に霞んでいる。感じ取ることができる。アレックスはごつごつした大地を靴の下に感じながら、おぼつかない足を進める。一歩。二歩。 19

2019-05-11 22:32:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

三歩目からはもう、まっすぐに歩ける。彼女は「凝り」を目指した。やがて辿り着いた。彼女はしゃがみ込んだ。そして、手で触れた。それは肌だった。ぺたぺたと手を動かす。頬だ。女の頬……死体めいて冷たかった。然り、死んでいるのだ。だが死臭はなく、枯れてもいない。まるで時間を止めたように。20

2019-05-11 22:35:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「人」アレックスは呟いた。(人ではない)声が彼女のニューロンに響いた。「えっ!?」アレックスは思わず声をあげた。(わたしはニンジャだ。ニンジャであり……)ニューロンに響く声は続けた。(……ニンジャを殺す者だ)「ニンヤ……シュラフター……?」 21

2019-05-11 22:39:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(……だった、と言うべきだな。わたしはザキ・クロカワという。わたしはせめて、お前のような者がこの地を訪れたとき、その行いを……思い留まらせる為に……)(((グググググ……ググググググ……ニンジャ……ニンジャ……!)))「アイエッ……!」 22

2019-05-11 22:42:24