吾妻四郎助光とその周辺について、なんとなく封獣ぬえと源頼政をもとにしながら考える。

タイトルの通りです。ほとんどネットで手に入る情報のまとめ。
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銅折葉 @domioriha

吾妻四郎助光(あがつましろうすけみつ)という鎌倉の御家人がいる。 昨日なんとなくwikipediaのトップで秀逸な記事に表示されていたので知ったのだが、弓の名手として吾妻鏡に登場していながら、吾妻氏自体が伝承以外にほとんど記録のないという謎多き人物。 ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%BE…

2019-05-15 20:36:39
銅折葉 @domioriha

吾妻氏は鎌倉時代から南北朝時代にかけて、群馬県北西部の吾妻川流域である東吾妻郡を支配したと伝わる氏族であるが、実際にそのあたりを記した資料がほぼ存在せず、伝承として書かれた記録もその大半が彼らのいた時代から500年以上も後の世に成立したものであるという。

2019-05-15 20:38:25
銅折葉 @domioriha

先のwikipediaに吾妻鏡における吾妻助光の活躍がかなり詳細に乗っているが、弓の腕前に関する事績が多い。弓の名手選抜メンバーに選ばれたり、源実朝の館の屋根に止まった青鷺を射止めるのに呼び出され、鷹の矢羽を鷺の目にかすめて落とし生け捕りにしたことで大きな評価を得たなどという話がある。

2019-05-15 20:41:19
銅折葉 @domioriha

吾妻助光は承久の乱(1221年)に鎌倉方として参加し、宇治川の合戦で溺死したと最後が語られているが、一方で彼が治めていたという吾妻郡では、それよりあとの時代の1240年頃に、岩櫃城(後世、真田昌幸の活躍などで有名)に現れた妖怪(ヨウゲツ)の祟りで呪い殺されたなどという伝承がある。

2019-05-15 20:45:31
銅折葉 @domioriha

この岩櫃城の妖怪、悪病をばら撒き、ときに一つ目の化け物や山姥、毒蛇、大猫などに姿を変え、さらには草木や岩に化けて追っ手をくらましたという話が伝えられている。そしてこれを討伐に向かったのが、下河辺行平の息子である下河辺行家という人物であるという。

2019-05-15 20:50:53
銅折葉 @domioriha

下河辺行平はなにを隠そう源頼政の郎党であって、以仁王の挙兵の折には頼朝の元へ頼政の死を知らせた人物であり、その後は頼朝の挙兵に参陣。源平の合戦である治承・寿永の乱では、源範頼の軍に従って一ノ谷の戦いや壇ノ浦の戦いも参戦し、後に奥州合戦においても奮戦している。

2019-05-15 20:54:44
銅折葉 @domioriha

行平は頼朝より「日本無双の弓取」と称賛され、源氏一門に次ぐ地位として扱われていた。そんな経緯を背負って岩櫃城の妖怪退治に向かった行平の息子行家であるが、様々に姿を変えて逃げる妖怪を、神仏の加護をもって暴き出し、鬼岩という場所で仕留めて首を落としたとされている。

2019-05-15 20:58:06
銅折葉 @domioriha

吾妻というのは地名ではあるのだが、語源で言うならば「わが妻」であること、吾妻氏が本当に現地に何かの地盤を持っていたのかまったく記録がないこと(吾妻鏡を読む限り助光はどう見ても鎌倉にずっといるようである)、弓の名手でありながらあまりにも出自が不明で、さらにはこの妖怪伝説。

2019-05-15 21:00:34
銅折葉 @domioriha

承久の乱で死んだとされる助光が、何故かその後の時代に妖怪によって呪い殺しされたとされる話、変幻自在に悪病をもたらした妖怪の姿、そして頼政の郎党であり彼の死を見た下河辺行平という立場がこの見るに、なかなか鵺伝説と関わりのありそうな話に思えてくるのが良いと思う。

2019-05-15 21:02:36
銅折葉 @domioriha

ちなみに下河辺行家という人物も歴史書には一切記録がないそうなので架空の存在っぽいわけですが、こういう妖怪を退治しに向かうにはやはり下河辺という背景の特殊性があったのかなと思ったりもしました。(そもそもこれらの吾妻氏の岩櫃城の伝承も、富士の巻狩りとかを題材にたものっぽい)

2019-05-15 21:05:02
銅折葉 @domioriha

ここだけ省略が激しいが要するに、自作の悲しきかなや身は籠鳥を下敷きにするとこの吾妻助光、ぬえちゃんだったんじゃないか説を持ち出せるんじゃないかと思ったわけですね。 頼政の孫の源頼茂をなんか上手く絡ませられないかと思ったんだけど登場時期が絶妙に違うんだなあ。 twitter.com/domioriha/stat…

2019-05-15 21:09:48
銅折葉 @domioriha

吾妻助光はある日、実朝の警護に選ばれたのに出仕をサボって叱られるんですが他の人が体調不良などを言い訳にする中、鎧を鼠に囓られたので将軍の前には出られないと言ってしまい、実戦に備えて傷ついた鎧を着てこそ警護の本領だろうと怒られて、出仕を停止させられてしまうと言う話があり。 twitter.com/domioriha/stat…

2019-05-15 21:15:03
銅折葉 @domioriha

このあとでさっきの青鷺を射て生け捕りにした話に繋がり、そこで名誉回復を果たすのですが、この「鼠によって鎧をボロボロにされた」というエピソード、やりようによっては白蓮封印中に各地を探っていたナズーリンあたりとの遭遇や戦闘を原因にできそうな気はするのでありますね。 twitter.com/domioriha/stat…

2019-05-15 21:16:59