どろろが打ち切られた理由についての私見

2019年に平成と令和をまたぐ形で、実に50年ぶりに再アニメ化された手塚治虫原作「どろろ」。 どろろの原作漫画は通説では人気が無くて連載が打ち切られたと言われている。あれほどに魅力に溢れた手塚漫画が何故?書籍から読み解いて見る。
打ち切り どろろ 手塚治虫
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※なお、著作権法で認められている引用の範囲で画像を掲載しています。

紅葉倫子(阿井倫之介) @rinkomomiji
どろろはなぜ打ち切りでもって連載を終了したのか。 この誰しもが一度は抱く疑問について自分なりに手持ちの書籍らから考察して見ました。
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どろろは 昭和42年8月27日号~昭和43年7月21日号まで週間少年サンデーで連載。1) 昭和44年5月号~10月号まで月刊誌である冒険王に連載されていた。。 上記二種類の連載が存在しますが、いずれも打ち切りというか中途半端なところで終わっています。
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①手塚先生のインタビューや作品への記述から読み解く 1)講談社発行、手塚治虫漫画全集どろろ4のあとがきには 最初の10回くらいは本気で乗って描いていたが、回を進めるうちにムードが暗くなり、まいまいおんばの巻からは生臭さも加わり、また新連載も始まって意欲が半減し、編集部の要請もあり
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急遽終わらせた、と少年サンデー版での終了に関してのコメントが掲載されている。 また1969年のモノクロのアニメ版についてもカラーで出来なくて残念、視聴率が悪くて打ち切られた、と述べられている。2)
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2)1984年NHK―FM「FMホットライン」でのどろろに関しての発言の抜粋要約。3) ・劇画ブームに押され、だんだん低迷していく中、どろろになりバンパイヤになり、壁にぶつかってしまった。
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・安保闘争で白戸三平が読み出され大学生が漫画を読むようになった頃には、手塚ヒューマニズムは全部終わったと言われていた。 ・なので逆に悪に向かって子供漫画を切り替えようと、「どろろ」「バンパイヤ」を描いた。しかし一部の批評家から手塚のマンガが汚くなったといわれ、迷うようになった。
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・普段は砂糖を混ぜて漫画を見せているが、それが狂うと「どろろ」みたいに途中から急に生臭くなってしまう。編集長が生臭いとすごく怒ってしまい、打ち切られた。
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②手塚プロやファンからの印象やコメント。 1)実写版どろろムックより、当時の手塚プロダクション資料室室長森晴行氏のコメント4) ・週間少年サンデーの連載は物語の途中で終わっており、先生自身の意図したものではなかった。
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・一般的に言われているのは人気が無かったために編集部からの要請で終わらせただが、実際は違う。 ・連載開始からしばらくは週間少年サンデーでは人気は上位であったと思われる。その証拠にどろろはよく倍増ページを組まれていた。
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また、連載中にほぼまるごと一冊「どろろ」の別冊少年サンデーというものが出たくらいで、当時としては破格の扱いであったと推察される。 ・元々は作者の意気込みも強く、恐怖三部作のひとつとして捉えていた。5)それぐらいきちんと纏めようと考えて当初は作られたものだった。
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・しかしノーマンだけでなく、月刊誌8本、週刊誌3本、毎日連載される新聞1本6)というめちゃくちゃな連載量だったため、手塚先生の悪いクセで途中からだれてきてしまい、それに伴い人気も下降していった。そういう状況もあり、編集部との話し合いで連載は終了したのではないか。
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・アニメ化に伴い冒険王7)にて連載は再開されたが、結局アニメの終了に合わせて、あっさりと終わらせることになってしまった。 ・しかし森氏はよく言われる未完の作品というものではなく、先生にはそれ以上の続編の構想はなかったのではないか、と述べている。
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2)1990年代前半、実相寺監督による実写版「どろろ」の企画が幻となった経緯から見えたもの。8) ・企画が固まり、原作の映像化権の確保のため企画者側が手塚プロを訪れたところ、「他はともかくどろろだけは勘弁してくれ」といわれ、断られた。
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・その理由は、「手塚の側に障碍者を揶揄する気持ちが無くとも、受けて側の読者はあまり快く思えず、連載当初からクレームが作者の元に送られてきていた。漫画やアニメが中断したり未完に終わっているのは手塚の精神状態がその抗議に対して耐えられなかったのではと言われていた」というものであった。
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まとめ ①②を考えるに、打ち切りの背景は通説になっている「人気がなかった」という単純な理由のものではなく、複雑な問題であったことが推測される。
紅葉倫子(阿井倫之介) @rinkomomiji
また論叢を寄稿された東森氏からの情報によると当時の手塚治虫への抗議活動は内容を伴うものからそうでないものまであり、一言ではいえない状況であったという。9)
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当時の手塚漫画への強い抗議行動、障害者を差別しているのではないかというクレーム、同時に進行している作品群への情熱の分散、また編集部からのクレーム、それらが複雑に絡み合い、連載は終了されたものだと、私は考える。

以下、脚注

紅葉倫子(阿井倫之介) @rinkomomiji
1)ちなみに少年サンデー版は無情岬の巻で連載は終了している。 2)1969年版アニメどろろDVDBOXの解説書によると、監督の杉井ギサブロー氏によると、モノクロにした理由は上記とは異なる理由だった。
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スポンサーから食事時に赤い血がバーと流れるのはどうかと指摘を受け、人を斬れば血が出るのだから、それならモノクロにしたら文句がないでしょ、とむしろ喜んでモノクロアニメにしたと、氏は語っている。 pic.twitter.com/LaUiKqXW9f
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3)SIGHT VOL15、SPRRING 2003 何故手塚治虫はアトムが嫌いだったのか より。 4) どろろ完全図絵 メディアファクトリー 2007.1.13発行 pic.twitter.com/jdgSh0W5Sm
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5)現代がバンパイヤ、過去がどろろ、未来がノーマンではないかといわれていたが結局は描かれなかったのではないかというのが通説。
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6)「鉄腕アトム」「アトム今昔物語」「人間ども集まれ!」「ガムガムパンチ」「シャミー1000」「八丁池のゴロ」「グランドール」「ノーマン」「ブルンガ一世」「地球を飲む」「火の鳥」tezukaosamu.net/jp/manga/chron… pic.twitter.com/h3UfplaNJs
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7)当時少年サンデー連載分のものは単行本化されていなかった。冒険王ではその続きというわけではなく、新たに設定を代えて、もう一度描き起こされている。今現在読めるものはそこから台詞や場面をサンデー版の設定にあうように作者自身の手により編集・修正されたものである。 pic.twitter.com/hLsK6tzQ2O
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コメント

酸素喰う一文/h+JP @kzfm1mon 11日前
パンパイヤも打ち切り?なんか海で泳いでるシーンで終わった記憶 ノーマンって月の忍者みたいな話だったよな?アレは綺麗に終わってた記憶
kimuraお兄さん@小豆島 @nobuo_kimura 11日前
( ´H`)y-~~アラバスターとか「手塚的に無理があったんじゃないかな?」という作品は結構あるように思う。
こば@ジェミニのサガっ子クラブ @koba200x1 10日前
というかマグマ大使の時も「だけは勘弁してくれ」言ってた説が
佐渡災炎 @sadscient 10日前
手塚神の場合「本人が飽きた」ってのが最大の打ち切り理由だったりするからなぁ。
rainy season @jkgkikllh 10日前
今年のアニメ見ても思ったけど、「どろろ」って話が進むに連れて「百鬼丸」の強さが逆インフレ起こすんだよね。出オチキャラ。
また結婚したバツ3 @CAFE_XXX 10日前
手塚先生は作品数が多い分、相対的に打ち切りが多いってだけなんじゃないかと。
ロンマニア @LiongHMD 10日前
「この子たちは気の毒だ 誰もかまっちゃくれねえ」
パシフィック231 @allmendstr 10日前
しろくろのをTV で見て、これをいつかまとめて見たいと思っていた。後年、作品集で4巻まででているのを漫画喫茶で発見! 見たが途中で終了.. 最後はラスボスと戦って自分の体を取り戻すものと思っていただけに残念。
ぷらねろ @pltrock 10日前
実相寺昭雄版どろろ見たかったなー
2ap_2 @2ap_2 10日前
人間に近づくほど弱くなる
空家の恵比寿様1968 @ebcdic_ascii 10日前
でも手塚治虫だったら、(本人に続ける気があれば)「百鬼丸が人間の体を取り戻す代わりに魔物への攻撃力は弱まっていく」ということも設定としてうまく活用してクライマックスへ持って行けたはず、というのは持ち上げすぎでしょうか。
とらこ @GOWEST2112112 10日前
誰か高河ゆん作品が完結しない理由を、っと誰か来たようだ
カミ @kami2805 10日前
三つ目がとおる、またアニメ化してくれんかな
ハドロン @hadoron1203 10日前
2007年公開の実写映画は既にある。 https://web.archive.org/web/20070306001257/http://www.dororo.jp/ なので、実相寺監督が断られたのは何か別の理由だろ。
bun🍃 @bun3559 10日前
GOWEST2112112 「いずれ自分は手塚を超えるから、その私を超えるものが出てきて欲しい」とか真顔で言って(強制終了
さだこーじ ツイッターデトックス中 @SadaKoji 10日前
「身障者を〜」を読んで、やっぱりこういうクレームは作品を殺す一つの原因になると思いました(こなみ)
G@回転中 @G_rolling 10日前
なるほど。いろいろと資料をもって論じていただいて参考になりました。 ところで「週間」ではなく「週刊」少年サンデーではないでしょうか。
しわ(師走くらげ)@多忙は続くよいつまでも @shiwasu_hrpy 10日前
高河ゆんを言うならCLAMPもどうなn(狙撃音)
紅葉倫子(阿井倫之介) @rinkomomiji 10日前
G_rolling そうですね。 誤字失礼しました。 直せないのがTogetherの辛いところ、、、。いや、投稿しなおすかな。
snk @snk33970362 10日前
うーん分からん
桃次郎@フォロー遅くなるよ⚡️ @h_pylori2014 10日前
当時からポリコレ棍棒はあったんだな。
猫賀好樹@臥薪嘗胆 @nekoga01 10日前
当時のポリコレは棍棒どころか、モーニングスター並やからな
rainy season @jkgkikllh 10日前
ebcdic_ascii 今季のアニメはそのへんうまいことやっていて、肉体的強さよりも精神の方に焦点を当てている。最初殺戮マシーンだった百鬼丸が人間味を取り戻すことで、弱くなっていく代わりに心が豊かになっていく様が丁寧に描かれている。映画レオンみたいなもの。全然違うが。
ざの人(togetter用垢) @zairo2016 10日前
まとめ主のプロフを見ると、相当なファンだという事はわかった。今季のアニメバージョンは原作通り終わらせるのか? さらに加えて先に進むかはわからない。  が傑作アニメなのは確か、途中で総集編もないようだから、相当うまく回っている。原作通りに終わっても、好評なら続きができるし、他のまとめ読むと? アニメは原作の終わりからさらに一年後まで描いていた模様。そこを踏襲するのか?別の結末にするか? さて。
Kanna☆ケンタウロス @ospf_area0 9日前
GOWEST2112112 死ぬまでに「源氏」の最終話が読みたいもんじゃのう……
倉瀬美都 @clausemitz 8日前
冒険王版のどろろの設定はショッキングだな。今放送中のアニメが、この設定でないことを祈る。
紅葉倫子(阿井倫之介) @rinkomomiji 8日前
年表付け足しました。最終改定?
Yoshiteru Kawai @yoshikun2009 8日前
はっきり言って題材的に手塚さんに読者の多数が期待していた内容ではなかったと思う。 正直当時の読者・視聴者は時代劇忍者バトルや妖怪チックなマンガを読む場合、白土さんや水木さんの世界を求めていたのでは。 今やってるアニメ版はその点を踏まえて再構築しているので出来が良いのだろう。
紅葉倫子(阿井倫之介) @rinkomomiji 8日前
あわあわ、、白土先生の名前も間違ってる!謹んて訂正を。 白戸三平→白土三平先生です。 代表作は忍者武芸帳影丸伝やカムイ伝など。
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