お好み焼き屋浜風 まとめ９ アソートメント【艦これSS】

紅吏珠名 @chrishna_c2

きのこ、たけのこ。このキーワードでケンカが起こるといえば、きのこたけのこ戦争しかありません。 それは、同じ製菓メーカーが製造・販売しているロングセラー。軽い食感のスナックを、それぞれチョコレートで成型したお菓子。そのどちらが美味しいかという消費者間の論争のこと。 #お好み焼き屋浜風

紅吏珠名 @chrishna_c2

その歴史は1980年に始まり、今なお収束することはありません。 ネットの口コミや検索ではきのこ側、公式に実施された投票ではたけのこ側が勝利と、押すに押されぬ接戦が繰り広げられています。 まさかその戦争の一端を、身内で争う姿として目撃することになるなんて。 #お好み焼き屋浜風

紅吏珠名 @chrishna_c2

これは浦風姉さんと黒潮姉さんがそうした時のように。姉妹同士で銃器を取り出しあって血で血を洗うような市街戦が行われてしまうのでしょうか。 どうしましょう。ここは姉として助け船を出してあげるべきでしょうか……？ #お好み焼き屋浜風

紅吏珠名 @chrishna_c2

「そうだ、のわっち。きのことたけのこ、どっちが美味いと思う？」 「そうね。ここはのわっちの公平な意見を聞きたいわ」 そうして、二人の視線の先が野分のほうへと切り替わりました。 #お好み焼き屋浜風

紅吏珠名 @chrishna_c2

唐突に話を振られた野分は少し思案するような仕草をとり、ややあって。 「そうね……じゃあ二人とも、それぞれ大好きなお菓子をひとつづつちょうだい」 #お好み焼き屋浜風

紅吏珠名 @chrishna_c2

「ほらよ、のわっち」 「はいどうぞ。よく味わって食べてね」 「ありがとう。はむはむもぐもぐ……」 野分が二人からスナックを手渡されると、それらを同時に口に入れ、ゆっくりと味わうように咀嚼しています。 #お好み焼き屋浜風

紅吏珠名 @chrishna_c2

……。 「のわっち、正直どっちが美味かった？」 「怒らないから正直に答えてね？」 息を呑む衆人環視の中、野分からの返答が待たれます。 そして野分から返ってきた答えはこうでした。 「どっちも美味しいわ」 「……へ？」 「……はい？」 #お好み焼き屋浜風

紅吏珠名 @chrishna_c2

「きのこにはきのこの、たけのこにはたけのこの良さがあって、私はどちらも大好き」 「待てよのわっち。俺たちはただ、どっちのお菓子がより美味しいか訊いているだけで」 「そうよのわっち。『どっちも美味しいわ』なんて、それだと勝負にならないでしょ？」 #お好み焼き屋浜風

紅吏珠名 @chrishna_c2

嵐と萩風からの戸惑う声に、野分は首を横に振ってから。 「二人ともケンカしちゃダメよ。大好きな二人が目の前でケンカしていたら、せっかくのお菓子が美味しくなくなっちゃうでしょ？」 間髪入れず、両手をいっぱいに広げて二人を抱きしめました。 なにこの子イケメンすぎます。 #お好み焼き屋浜風

紅吏珠名 @chrishna_c2

「だから二人とも。ここで仲直りの握手をして。二人が仲良くしてくれたら私も嬉しいし。そうしてくれることが、私にとっての幸せなの」 にっこりと天使のような笑顔で微笑む野分。どこでそんな言葉を覚えてきたのでしょう。見ているこっちがどきどきと高鳴ってしまいました。 #お好み焼き屋浜風

紅吏珠名 @chrishna_c2

やれやれです。お姉ちゃんも、もっと上のお姉ちゃん達も、貴女をそんなイケメンに育てた覚えはありませんよ。 「はは……こいつは一本取られたぜ。俺が女だったらこの場でのわっちにプロポーズしてた」 「嵐、あなた女の子」 嵐の天然ボケに対し、萩風から即ツッコミが入ります。 #お好み焼き屋浜風

紅吏珠名 @chrishna_c2

「嵐。気持ちは分かるけど、のわっちはあたしの彼氏だから。いくら嵐でもあげないよ？」 言って肩を竦める嵐の前に、それまで傍観していた舞風が立ち塞がるようにやってきました。 #お好み焼き屋浜風

紅吏珠名 @chrishna_c2

「彼氏！？　のわっちが舞の彼氏なら、俺はどうなるんだよ」 「んー……セフレ、かな？」 「セフレ！？」 「そんな、嵐まで舞に取られちゃったら、私はどうなるの？」 「んー……お母さん、かな？」 「お母さん！？」 #お好み焼き屋浜風

紅吏珠名 @chrishna_c2

「セフレ……身体だけの関係……？」 「お母さん……未婚のお母さん……？」 野分と舞風が機転を利かせたおかげで、あの時のような銃撃戦が起こることを未然に防ぐことができました。 それにしても、４人とも仲がよくて微笑ましいですね。 #お好み焼き屋浜風