ぬいぐるみからペニスが出てきて妊娠させられ…その後

今日からヒットマン(ジャンプじゃない方)面白いよね。
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帽子男 @alkali_acid

銃士は立ち上がると、羽根つき帽をかぶる。 「では失礼」 しばらくうろうろとベランダや玄関、両親の部屋などを見て回っているあいだ、留守番の子供はおとなしくしていたが、何となく変形ごっこはしづらいのでしかたなく宿題をした。

2019-03-18 01:39:40
帽子男 @alkali_acid

「ここは安全とはいいがたいが…しかし何とかなるだろう」 「はい」 「何か質問があれば」 「フェルさん」 「フェルでいい」 「フェル…あの、ヌイグルミって全部クマ?」 「そうでもない。色々だ。クマは多いが」 「そうなんだ」

2019-03-18 01:41:30
帽子男 @alkali_acid

「ほかに?」 「…えっと…ヌイグルミ王国について教えてください」 「承知した。ヌイグルミ王国は、自分のような魔法のヌイグルミが暮らす土地だ…人間の国家からは簡単にはたどりつけない。今回も妖精の残した遺物を使って、やって来たのだ」 「へえ」

2019-03-18 01:43:06
帽子男 @alkali_acid

「ヌイグルミ王国は、人間の国家とはさまざまな面で異なる。例えば…そう…今外では水の雨が降っているね」 「はい」 「ヌイグルミ王国ではボタンの雨が降る」 「ボタン」 「君のシャツについているそれだ」 「フェルの目についてるやつ」 「そうだ」 「ボタンの雨」 「そうだ」

2019-03-18 01:44:21
帽子男 @alkali_acid

「ここから外には青々とした畑?が見えるが」 「田んぼ」 「田んぼが見えるが、ヌイグルミ王国では布生地の野原が広がっている」 「ぬのきじののはら」 「海には中綿がただよう」 「なかわた」 「太陽や月から地上に差し込む光は、正しい角度から掴めば糸となる」

2019-03-18 01:47:06
帽子男 @alkali_acid

「王国では、布生地に中綿を詰め、ボタンを付け、糸で縫い合わせて、新たなヌイグルミを作る」 「すごい」 「そうして子孫を生み出すのだ。最初の魔法のヌイグルミが作られたときからずっと…」 「すごい」 「だがある時…」 フェルは溜息をついた。いや溜息をつく仕草をした。

2019-03-18 01:50:58
帽子男 @alkali_acid

リンは正座がつらくなってきたので崩した。 「ある時?」 「ひとりのヌイグルミの姫と、人間の魔術師のあいだで過ちがあった。魔術師はヌイグルミの姫を幼い時から抱きしめ、大切にしていたが…長ずるにつれて…とにかく禍(わざわい)があり、姫は人間のように魔術師とのあいだに子供をもうけた」

2019-03-18 01:53:07
帽子男 @alkali_acid

「姫は子供を産むと同時に亡くなった…魔術師のまじないによって結ばれたが、無理があったのだという。その子供には魔術師の悪しきものが伝わり…いや、これ以上はよそう。君に聴かせる話ではない」 「はい」 「ほかに何か?」 「麦茶もっと飲む?」 「いただこう」

2019-03-18 01:55:09
帽子男 @alkali_acid

その後リンとフェルはカレーを食べた。少年は入浴して洗濯を回し、一緒に洗っってもよいともうしでたが、ヌイグルミは固辞した。ふたり、というか一人と一匹は並んで歯を磨いた。 「一緒に寝る?」 「まさか。自分は警備をせねば」 「解った。おやすみなさい…ねえ」 「何か」

2019-03-18 01:58:42
帽子男 @alkali_acid

「さっきの変形のこと、誰かに話さないで。怒られるから」 「もちろんだとも」

2019-03-18 01:59:06
帽子男 @alkali_acid

真夜中。妖しい気配がアパートに近づきつつあった。 ヌイグルミ。それも一匹ではない。多数のもふもふした塊が敏捷に走りながら玄関の扉に群がり、一匹の頭に別の一匹がのり、さらに別の一匹がのり、インターフォンを押した。 反応なし。 時間を考えよう。

2019-03-18 02:01:51
帽子男 @alkali_acid

だがヌイグルミ達はあきらめなかった。新聞入れや排気口やらを試し、どうにもならないと知ると、何かを呼んだ。やがて扉がみしり、みしりと音を立て、いきなり強引に開く、というか外れた。 一斉に小さな影が室内に攻め込む。 「ガキヲツカマエロ!!」 甲高い叫びがあがる。

2019-03-18 02:04:42
帽子男 @alkali_acid

寝室へ殺到するヌイグルミの短い足を、高速で飛来したボタンが貫いた。 「そこまでだ…招かれざる客よ」 どこからともなく声がする。 「オノレエエ!!」 部屋の電気がつく。 テーブルの上に仁王だちしたフェルが両手に古めかしい銃を構えていた。

2019-03-18 02:07:17
帽子男 @alkali_acid

相対するヌイグルミは、おお何とフェルとよく似た帽子に胴着短ズボン、マント。しかしどれも破れたのをつぎはぎしている。 「まさか…」 「グフフ銃士隊の“二丁”フェルドフェルか…どうだ仲間に再会した気分は」 玄関から途方もなく大きなヌイグルミが入ってくる。無数の色の異なる布をつぎあてた。

2019-03-18 02:09:42
帽子男 @alkali_acid

あまたのヌイグルミの屍を一つにした怪物。 ヌイグルゴーレムだ。人間のおとなよりも上背がある。 「あの御方の血をひきながら、国王のイッヌになりはてた裏切り者」 「黙れ!反逆者!…銃士隊の皆に何をした!」 「愚かにもあの御方を捕えようとしたイッヌどもは、皆あの御方の忠実な僕として」

2019-03-18 02:11:30
帽子男 @alkali_acid

「縫い直してくれたわ!」 一度は中綿を抜かれ、魂を失い、傀儡となりはてたかつての同僚、ヌイグルゾンビの群が、一斉に銃士へ襲い掛かる。 「おのれ…!!!」 フェルは跳躍し、戦友達を再び眠りにつかせるべく、容赦なく二丁拳銃を連射した。

2019-03-18 02:13:06
帽子男 @alkali_acid

ボタンの弾丸が次々とヌイグルゾンビの頭を、胴を、腕を、足を破裂させていく。 「さすがは銃士隊一の凄腕…いやあの御方の子と言うべきか…グフフフ…!」 ヌイグルゴーレムは笑うと、いきなりそばにいたヌイグルゾンビを掴んでなげつける。 「ちいっ!」

2019-03-18 02:14:52
帽子男 @alkali_acid

奇声をあげながら襲って来る敵にボタン弾を浴びせるが、ひきつれたつぎはぎの体は宙で破裂し、無数の虫のぬいぐるみをまきちらす。 「うわっ」 「グフフ」 ヌイグルゴーレムはげびた笑いを発すると、そばを素通りし、寝室へ入る。 「さあてガキはどこ…」 窓が開いている。 「逃げただとお!」

2019-03-18 02:16:58
帽子男 @alkali_acid

「リン!」 銃士が追い付くより先に、ヌイグルゴーレムは急ぎベランダに出ると、獲物を探す。 身軽な子供はパジャマ姿のまま非常梯子で下に降りつつあった。 「グフフ!見つけたあ!」 勢いよく跳躍するヌイグルゴーレム。魁偉な容姿でも中身は綿。 地面に落ちても傷つきはしない。

2019-03-18 02:18:56
帽子男 @alkali_acid

「やめろ!ヌイグルミの風上にも置けぬやつ!」 「グフフフ!王法などくだらぬ!これからはあの御方が新たなるヌイグルミの時代を築くのだ!俺はその跡継ぎとなる!」 「許さん!」 だがヌイグルゴーレムは、銃士が阻止するより早く走る子供に追いつき、襟首をつかんで吊り上げた。 「よーし」

2019-03-18 02:21:22
帽子男 @alkali_acid

「動くなフェルドフェル!このガキがどうなってもいいのか」 「くっ」 「グフフ。さすがに銃士様は立派だ…それとも父(てて)違いとはいえ弟がかわいいか」 「だまれ!」 睨み合う巨大ヌイグルミと小型ヌイグルミ。

2019-03-18 02:22:49
帽子男 @alkali_acid

リンは手足をばたつかせていたが急におとなしくなり、モフモフした二匹を見比べた。 「どういうこと?」 「教えてやる。あのフェルドフェルはな。お前と同じ母親から生まれた、呪われたヌイグルミと人間の子なんだよおお!!!!俺のように縫い上げられた訳じゃない!」 「それ以上言うな!」

2019-03-18 02:24:30
帽子男 @alkali_acid

「すまない…君を…騙すつもりでは」 うなだれるフェルに、リンは目をぱちくりさせる。 「ほんとに?」 「信じられないか?教育してやるか。見ろ」 みしみしとヌイグルゴーレムの股間から生っぽいものが出てくる。 チンポだ。

2019-03-18 02:25:53
帽子男 @alkali_acid

「グフフ!あの御方の中綿を分け与えられた俺にはヌイグルチンポがあるんだよ!さあ銃を捨てろフェル。さもないとこいつでガキを」 「外道め…」 ボタンの目を光らせながら銃士は従った。 「グフフフ…銃士隊の“二丁”もこうなっちまえば…おっとお!!」

2019-03-18 02:27:55