ぬいぐるみからペニスが出てきて妊娠させられ…その後

今日からヒットマン(ジャンプじゃない方)面白いよね。
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帽子男 @alkali_acid

ヌイグルゴーレムは間合いを詰めると、いきなりフェルを蹴り飛ばした。 「くうっ!」 ふかふかのクマは宙を跳び、何度も弾んで転がる。帽子の裏に隠した小型拳銃が虚しく落ちた。 「や、やめなよ」 少年はさすがに制するが、すぐ巨大ヌイグルミが拳で襟をひねり喉を締め付けて黙らせる。

2019-03-18 02:30:30
帽子男 @alkali_acid

「あの御方の血を引くからと!調子に!乗りやがって!おら!おら!」 ヌイグルゴーレムの足が幾度も銃士を踏みつける。 「ぐう…むう…ぐあ!」 「ざまあみろ!国王のイッヌ…いやクッマが!」 やがて小型ヌイグルミは痙攣し、のけぞると、形をうつろわせはじめる。

2019-03-18 02:32:05
帽子男 @alkali_acid

短かった手足はすんなりと伸び、ずん胴はしなやかな砂時計型になる。 髪は黒々と豊かに広がり、ふかふかの愛嬌のある容貌は憂いを帯びた人間の女へと変じた。 「こいつは…」 「あぐ…ぅ…」 「そうか…人間とヌイグルミの混血…グフフ…そっちが本性か」

2019-03-18 02:34:03
帽子男 @alkali_acid

ヌイグルゴーレムは嬉しげに笑った。 「こいつはいい。フェルよお。考えが変わったぞ。さっさと縫い直して俺の下僕にするつもりだったが、お前は妃にしてやる。あの御方は言っていた。人間の女をものにするやり方は…力づくで抱くのだと」 「やめ…ろ…せめて…リンの…前では…」

2019-03-18 02:35:45
帽子男 @alkali_acid

「グフフ!お前の弟に見せてやるとしよう。母親がどんな風にお前を宿したのかをなあ!」 巨大ヌイグルミはそう喚くと片手に人間の子供を捕えたまま、半人半ヌイグルの娘におおいかぶさった。

2019-03-18 02:37:49
帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ 「さっきから気を付けろ気を付けろって何の話!」 逞しい体つきのつなぎの女が、ひょろりとしたのっぽの、気の弱そうな青年の胸に指を突き付ける。 「いや…その…リン君が…」 「またリンのお遊び?もー!父親なんだからちゃんとしなよ」

2019-03-18 02:39:27
帽子男 @alkali_acid

二人がいる場所は最果てのサービスエリア。がらんとした駐車場にはほかに人影もない。大型トラック用のコンテナだけがぽつんと置いてある。 「でもさ…だって…しっかりもののリン君が」 「だからって詳しいこと言ってくれなきゃ何にも」 「ヒメカ」 誰かが女の名を呼んだ。

2019-03-18 02:42:18
帽子男 @alkali_acid

ヒメカはぎくりと振り返った。 暗がりから街灯のもとへ一匹のヌイグルミが歩み出る。 クマだ。漆黒の毛並、左右色の異なる宝石のボタンの双眸。闇色のマントをたなびかせている。 「探したぞ…ヒメカ…」 「ひっ…ぁっ…」 気丈そうだった運転手がいきなり腰を抜かしそうになる。

2019-03-18 02:44:18
帽子男 @alkali_acid

あわてて伴侶が抱きとめると、色を抜いた短髪を嫌々をするように打ち振る。失禁の印に、つなぎの股間には染みが広がっていった。 「いや…やだ…うそ…」 「戻ってこい…俺のもとへ…」 「いやああ!!!」

2019-03-18 02:45:57
帽子男 @alkali_acid

「え?ヌイグルミ?え?リン君の言ってたやつ?」 夫は腕の中の妻と、ふかふかした何者かを交互に眺めやる。 「下郎。俺の妃をすぐ離せ」 緑と赤の瞳を燃やしながらヌイグルミは命じる。 「あの…え?本当にヌイグルミ?」

2019-03-18 02:47:33
帽子男 @alkali_acid

「ヒメカ…少年時代。退屈な宮殿を逃げ出し、人間の国へ紛れ込んで…お前にあった…玩具売り場で…目があった時…俺達の運命は決まったんだ」 黒いヌイグルミは歌うように訴えかけながらよちよちと歩み寄る。 「俺の中に流れる血が…お前を選んだ…お前も迷わず俺を抱きしめ…欲しいとねだったな」

2019-03-18 02:49:43
帽子男 @alkali_acid

「やめ…やめて…来ないで…あたし…いや…もう…あんな…」 「俺に口づけし、結婚すると言ったのはお前だ…俺はお前を信じた」 「違う…違うの…許して…」 普段とはまるで別人のように震えおののくヒメカに、伴侶は当惑しながら、さらにヌイグルミを何度も省みる。 「えっと…いやちょっと」

2019-03-18 02:51:39
帽子男 @alkali_acid

「あの時は銃士隊が邪魔に入ったが…今度はさせん…戻ってこいヒメカ…俺達は…失われた絆を取り戻すんだ」 「ちょっと落ち着いてからあらためてにしませんか。ヒメカさんも動揺しているし…参ったな…ヌイグルミなんて…この前は転生勇者だとかいうストーカーだったし…ヒメカさんたら…」

2019-03-18 02:53:16
帽子男 @alkali_acid

懸命に場を収めようとするひょろりとした青年に、初めて注意を向けるかのようにヌイグルミは一瞥を与えた。 「耳が聞こえないのか?どけと言っている」 「いや…」 「この姿では真剣に聞かないか。人間めが」 布張りのクマがゆらぎ黒衣の男に変わる。野性味を帯びた美貌が情愛と憤怒が入り混じる。

2019-03-18 02:56:07
帽子男 @alkali_acid

「ヌイグルミ王国の正当なる支配者、カイルロッドの名において命じる。人間よ。妃を離し、立ち去れ」 「そうはいっても、僕はヒメカさんの夫な訳で…あとヌイグルミ?人間?とか何か誤解を…」 「ヒメカのため、穏便に済ませようと思ったが」

2019-03-18 02:58:00
帽子男 @alkali_acid

カイルロッドが合図すると、暗がりから巨大なヌイグルミ、ヌイグルゴーレムが数限りなくあらわれる。 「その男を始末しろ。ヒメカには傷つけるな」 「いやーちょっと…困ったな…リン君に言われてたのに…あー…やっぱり警察を」 「かかれ」

2019-03-18 02:59:42
帽子男 @alkali_acid

ヌイグルゴーレムの群はげびた笑いを漏らして夫婦に襲いかかった。

2019-03-18 03:00:23
帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ 「いてっ」 ヌイグルゴーレムの顔面にスリッパをはいた少年の爪先がぶつかる。 「いて、いてっ…グフフ、やはりガキを持ったまま女を抱くのは無理だな…ふんっ」 巨大ヌイグルミはリンを放り捨てる。 せき込みながら少年は地面に這いつくばる。 「げほ…フェル…」 「逃げるなよ」

2019-03-18 03:02:16
帽子男 @alkali_acid

「そこでヌイグルミに何ができるかよく見ていろ」 「えほ…えほ…母ちゃん…は…へんなのに…好かれるって…父ちゃん…言ってたけど…えほっ」 「グフ?」 「ほんとだ…えほっ…」

2019-03-18 03:03:37
帽子男 @alkali_acid

少年は頭を上げ、ぐったり横たわる女、さっきまでヌイグルミだった父違いの姉を見やった。 「フェル…あの…言わないでね…ナンバープレートないと…いけないんだ…」 「グフフ?なんだこのガキ?」 リンは身を丸めると、拳を頬の左右にくっつけ、叫ぶ。 「変形!」 「グフフフ!!!」

2019-03-18 03:05:44
帽子男 @alkali_acid

「怖くて頭がおかしくなったのか!人間のこど…もって…いう…のは」 少年の姿がゆらぎ、一台のピックアップトラックがあらわれる。 「グ…フ…?」 ヘッドライトが灯り、エンジンが唸りを上げる。

2019-03-18 03:07:01
帽子男 @alkali_acid

「グフフウ!!!?」 ロケットスタートをかけた大型車は思い切り巨大ヌイグルミを撥ねた。

2019-03-18 03:07:59
帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ 「参ったな…僕の言えたギリじゃないけど、ヒメカさんてほんと変わりものに次々モテるんだから…変形」 青年が女を抱えながら姿を揺らがせた刹那、大型トラックがあらわれる。 「なん…」 「ヌイグルミ王国からいらしたんですよね。僕は別の星から来たんです」

2019-03-18 03:10:52
帽子男 @alkali_acid

「車に化けて暮らしてたんですけど、中古車を探しに来たヒメカさんと会って、ひとめぼれでした…だからあなたの言いたいことはすごく解るんです…でも…」 ヘッドライトが点灯する。エンジンが唸りを上げる。 「ヒメカさんはひとりしかいないし、悪いけど、譲る訳にはいかないんですよね」

2019-03-18 03:12:39
帽子男 @alkali_acid

シートベルトが勝手に伸びて、気を失った運転手をしっかりと固定すると、大型トラックは轟音を上げて、ヌイルグミを挽き潰しにかかった。

2019-03-18 03:13:37