人生が何一つうまくいかないので、お城みたいなラブホで美人の義母と義妹と妻と幼馴染に囲まれエロエロ過ごしたい

城ラブホほんと減ったな…減った。 関連まとめ https://togetter.com/li/1358645
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帽子男 @alkali_acid

デブは死んだ女二人を確かめてから首を振り、ちょっとは吐きそうになってからふらふらとPCに近づき、カチャカチャ。 「…おげ…なんかこれ…炎上してない?」 「炎上?」 「いや…この建物を丸ごと…燃やすような…エア…エア…空気循環か…ふえる…フエル…燃料…怖…出ようぜ」

2019-02-24 21:12:10
帽子男 @alkali_acid

「なきがらをどうします」 「あ…ええと…生きてる人間を運ぶのが先かな…あ?」 初めて立ち尽くすレインコートに気づく。 「あ、どうも…こんにちわ」 当然返事はない。 「もしもーし…ここ危ないですよ」 「土方様。それは人間ではありません」

2019-02-24 21:14:03
帽子男 @alkali_acid

「え、怖…」 「式神の一種ですね。非常に強い呪(しゅ)がかかっています」 「怖…」 「そっとしておけば害はないでしょう。さあ急ぎませんと」 「怖…」

2019-02-24 21:15:15
帽子男 @alkali_acid

ライダースーツの女を左右から抱え、主従は火災用非常扉に向かう。 「途中はしごとかあるけど降りられる?」 「まさのり…を…たすけ」 「あとで…あとでね…あとでがあるか分からんけど」 「土方様!」 「あ、ほらいこう」

2019-02-24 21:16:30
帽子男 @alkali_acid

三人がカサ・ブランカから去ってゆくのを、灰色の布地でできた雨合羽の影は微動だにせず見送った。

2019-02-24 21:17:42
帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ お城のようなラブホは不審火によって崩れ落ちた。 だいぶあとになってから瓦礫撤去中に中から相当数の人骨が見つかるが、よく焼けすぎていて身元は不明だった。 レインコートは灰燼から平然として歩み去った。焦げ目どころか、端が縮れさえもしなかった。

2019-02-24 21:20:06
帽子男 @alkali_acid

「二往復はきついな」 デブとイケメンは、最初にバイカー、次に鋏使いを何とか順番に運び出したあと、まさのりなる人物を探そうとしたが、下まで火が回っており無理だった。 「お疲れさまでした」 「あの人達なんだったんだろうな」

2019-02-24 21:23:15
帽子男 @alkali_acid

「とにかくもっと早くホテルに入るべきでした。僕の過ちです」 「っていうか通報した方がよかったよやっぱり。グアダラハラじゃないんだし」 「おっしゃる通りかもしれません」 「…まああとは警察が何とかしてくれる」

2019-02-24 21:26:11
帽子男 @alkali_acid

デブはレンタカーのハンドルを握ったままあくびをした。 「あー…出張の疲れも抜けてないし、もう帰って寝るべき」 「ホテルには…お寄りになりませんか」 「は?」 イケメンがもじもじしている。 「ああ…そうか戦いのあとは」 「…いけませんか」 「いや…うん…まあ…はい」

2019-02-24 21:28:21
帽子男 @alkali_acid

でもそのあと、めちゃくちゃ自動車の破損の件でレンタカー屋さんにお金をとられたし、デブはちょっと泣きそうになった。

2019-02-24 21:30:27
帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ 咲耶が病室で目を覚ますと、そばで眼鏡の会社員が新聞を読んでいた。紙の新聞を。 「…あれ?」 「何か?」 「えっと…あれ?」 「何か?」

2019-02-24 21:32:02
帽子男 @alkali_acid

なぜ怪我が増えているのだろうか。 女は男の包帯だらけの姿をとっくり眺めやって首を傾げた。 「あの…岩長さん…その傷は」 「事故です。寝不足で」 「あ、はい…私…あれ…すいません…どうしてここに?」 「医師にお尋ね下さい」 「え…あ、何かまたご迷惑を」 「…今更何を言ってるんです」

2019-02-24 21:35:17
帽子男 @alkali_acid

「咲耶さん」 新聞をたたんだ眼鏡の会社員はじっと入院服の会社員を見つめた。 「何かトラブルがある時は、早めに打ち明けていただいた方が対策は立てやすいかと思います」 「…え…はい…でも…私…岩長さんには」 「細(さざれ)で結構です」 「細…さん」 「では…落ち着いたらまた通勤の電車で」

2019-02-24 21:38:28
帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ 同じ病院の別の場所。相部屋の病室で、ほっそりした女がぶつぶつと指で髪をねじりながら笑っていた。 「のりさ…まさのり…さ…」 瞳にはすでに正気の色はない。隣のベッドでは大柄な女が拳を固めていた。 「土方(ひじかた)ぁ…土方っつーのかあいつは…俺を…」

2019-02-24 21:42:49
帽子男 @alkali_acid

「馬鹿力で担いでおろしやがって…」 ベッドの金属柵を掴むとひしゃげる。馬鹿力どころではない。 「…やるじゃねえか…あのデブ…」 獣じみた瞳が燃えている。 「また会いたくなったぜえ…」

2019-02-24 21:44:54
帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ なお、謎の豪華列車に、ガラスの猫と切妻屋根の街を望める車両が連結することは、今度こそ本当に二度となかった。

2019-02-24 21:46:09
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