備忘録

shinshinohara @ShinShinohara

NHKスペシャル「混迷の世紀」で、「民主主義の弱体化」と「強権主義の台頭」が指摘されていた。かつて、歴史の必然とまで考えられていた民主主義が、なぜこんなに弱体化し始めたのか？私が思うに、分配（再分配）にあるように思う。意外なことに、強権主義の方が分配に成功している面がある。

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イギリス、アメリカの両国は民主主義の国ではあるが、貧富の格差が著しい。この2国は民主主義とは別に、新自由主義を採用し、政府による分配・再分配の機能を低下させ、金持ちはより金持ちに、貧しいものは浮上する希望も与えられない状況に追い込まれた。ラストベルトの人たちの不満が典型的。

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世界をリードするアメリカに引きずられるように、このところの世界は新自由主義の影響を受けながらグローバル化が進んだ。そのため、世界の富がアメリカのごく一部の人間に収奪された、と感じる状況に至った。GAFAはその典型例。そして彼らは、資本主義のシステムで当然のことをしただけという意識。

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他方、ロシアは。石油や天然ガスといった、強力な富がある。プーチンは曲がりなりにも、こうしたエネルギーが生み出す富をロシア国民に還流される仕組みを作り出した。もちろん、エネルギー企業のトップにはそれなりの利権はあるだろうが、もしロシアで変に民主主義化を進めると。

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アメリカやイギリスなどアングロサクソンの企業が「公正な競争」という新自由主義を看板にして、ロシアのエネルギーを食い物にした可能性がある。そうなれば、ロシアは民主主義を手に入れる代わりに、ロシア国民にはろくに富が分配されない仕組みになっていた可能性がある。

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中国が強権主義をとるのも、変に民主主義を採用すれば、アメリカやイギリスあたりからよいように食い物にされる恐れがある。また、中国国民が、自分たちの国を変に民主主義で動かそうとしたら、統率が取れずグチャグチャになる恐れがある、と、どこかでわかってる面がある。

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中国はひどい貧富の格差があるが、現在、習政権が曲がりなりにも貧富の格差を是正しようとしている。中国のように巨大な国は、強権主義でないと分配・再分配がうまくいかない、と、上も下も捉えている可能性がある。ワースト（最悪）よりもワース（まだマシな悪）を選択している自覚があるのかも。

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なぜかつて、民主主義は世界最強の時期があったのか。理由は「民主主義だから」ではなく、①分配・再分配がしっかりしていること、②豊かに暮らせること、の2点があったからではないか、と思う。 ソ連や昔の中国は平等を心がけるあまり、国全体の活力が失われ、公平に分配しても貧しかった。

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他方、民主主義国家は、ケインズ経済学を戦後に採用し、基本的には民間の活力を活かすことで国全体の経済を活性化し、その富を国民に広く分配・再分配することで、全国民的に豊かになることに成功した。この様子を見て、共産主義国はこぞって民主主義、資本主義の国になろうとした。

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しかしその頃、イギリスやアメリカでは新自由主義が台頭しつつあった。ケインズ経済学の成果をあたかも新自由主義の成果のように横取りする形で、共産主義の崩壊を「資本主義の勝利」、ひいては新自由主義の勝利、に読み替えた。そして旧共産国を新自由主義が食い物にした。

shinshinohara @ShinShinohara

プーチンは、そうした新自由主義者たちの巧みな収奪からロシアを守り、その富をロシアから持ち出さずに済む仕組みを構築することに成功した。ロシア国民から、全体としては支持されているのは、たとえ強権主義であろうとロシアの富を比較的、分配・再分配に回した、という功績を認めているからだろう。

shinshinohara @ShinShinohara

世界的に強権主義が台頭し、民主主義が弱体化し始めているのは、強権主義が富の分配・再分配に比較的成功している割に、民主主義国が新自由主義を採用したがために分配・再分配の機能が弱まっているためではないか、と思われる。

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ここで私が懸念するシナリオは、「民主主義はもう流行らない、これからは強権主義だ」と、民主主義国で変化していくこと。その場合、恐らくは分配・再分配は機能させないまま、お金持ちが支配者になる形での強権主義になるだけの恐れがある。

shinshinohara @ShinShinohara

ロシアや中国が強権主義を採用するのは、分配・再分配をなんとか実現しようとするための仕方なしの選択であることを忘れ、あるいは意図的に無視し、強権主義を採用することで、お金持ちが貴族にそのままスライドし、貧しい国民は貧しいまま、被支配層に陥れられる恐れを感じる。

shinshinohara @ShinShinohara

これを回避するには、民主主義国においても分配・再分配の機能を強めることだと思う。そうなれば、強権主義よりは自由度が高い分、富を獲得する力が強く、それを全国民的に分配・再分配すれば、強権主義国がうらやむ世界になる可能性はまだ残されている。

shinshinohara @ShinShinohara

しかし、今の民主主義国は新自由主義に侵されており、分配・再分配にはかなり及び腰。だとすれば、国民の不満はますます高まり、「これならいっそ強権主義のほうが」と、先鋭化していく恐れがある。場合によっては、お金持ちの全財産を奪う、ラジカルな政権が「民主的に」生じかねない。

shinshinohara @ShinShinohara

私は、お金持ちがお金持ちでいられるし、命や財産を失わずにすむ社会を維持するためにも、分配・再分配の機能を民主主義国に取り戻す必要があるように思う。そうでなければ、強権主義国への憧れはますます強まり、民主主義そのものが失われかねない。

shinshinohara @ShinShinohara

結局のところ、国を富ませ、その富を分配・再分配する国こそが国民から支持され、世界からうらやまれることになるように思う。そうした機能を、強権主義の国の方がまだしもうまく機能させ、民主主義国は新自由主義のためにどんどん弱体化しているのが、大きな問題のように思う。

shinshinohara @ShinShinohara

お金持ちは、たとえ強権主義に変わったとしても、政治に近いのは自分たちの方だから、貴族的立場を獲得できると踏んでいるのかもしれない。しかしそうは問屋が卸さないかもしれない。ただ金持ちから富を収奪するだけの強権主義が生まれないとも限らない。それだけ、国民というのは格差が大嫌い。

shinshinohara @ShinShinohara

果たして民主主義国は、新自由主義を修正し、分配・再分配の機能を取り戻せるだろうか？それでいて、富を生み出す機能を低下させずに済むだろうか？民主主義が幸せを最も生み出せる経済システムを採用できるなら、民主主義は今後も続くだろう。しかし分配・再分配を嫌がるようなら。

shinshinohara @ShinShinohara

民主主義は失われかねない。そして強権主義は、バランス感覚に優れたリーダーが支配する場合は分配・再分配の機能が発揮されるが、リーダーにそうした意識が欠落した場合、貧富の格差はますますひどくなり、政権に近いものだけが富むことになる。強権主義は必ずしも分配・再分配を約束しない。

shinshinohara @ShinShinohara

ロシアや中国が強権主義でありながら分配・再分配に意識が強いのは、皮肉なことだが、民主主義国がいまだに豊かだからだ。民主主義国はケインズ経済学を長らく採用し、蓄積し、分配してきた歴史のおかげで、新自由主義にそれを突き崩されつつも、まだしも豊かさを比較的全国民的に享受できている。

shinshinohara @ShinShinohara

もし民主主義国が次々に崩壊し、富を独り占めしやすいシステムに変貌していけば、もともと強権主義だったロシアや中国などの国々も、分配・再分配しなければならないという意識を失う恐れがある。彼らは、民主主義の豊かさに負けまいと意識してたから、分配・再分配していたのだから。

shinshinohara @ShinShinohara

世界が混迷に向かうか否かは、①富の追求、②分配・再分配、の２つの機能を民主主義国が取り戻せるかにかかっている。どちらが欠けても混迷することになるだろう。アメリカやイギリス、日本が見本を示せるか。正念場に近づいているように思う。

shinshinohara @ShinShinohara

民主化の勢いが削がれたのは、民主主義のリーダーであるアメリカが分配・再分配の機能を低下させ、しかも貧しい国から富を収奪する仕組みを発動させ続けたためだろう。もし民主主義国が、富を変に収奪せず、それでいて豊かで、分配もしっかりするなら、また世界の標準になることだろう。