ギア・ウィッチクラフト #7

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……」「本当は、探し回って、直接確かめたいものさ。ギンカクをもっと深く知る必要は感じてる。あンたが今難儀しているシュヴァルツヴァルトのそこも、文献上で知るだけだ。だが、あいにく俺にはそういう自由はないんだ、今は」コルヴェットはシルバーキーの人物像を把握しようと、じっと窺う。 22

2019-05-15 22:54:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何ゆえ俺を助けた。理由あっての事であろう」「……ああ、そうだ」「何を為せばよい?」「決まってる。あンたがやろうとしてた事を、やってくれ」シルバーキーは答えた。「ギンカクを守ってくれ。ギンカクは、モータル・ソウルにまつわる人智を超えた力だ。利用だの搾取だの、絶対ヤバイ」 23

2019-05-15 22:58:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「善処はしよう」「あンたがこういうタイプのニンジャで助かったぜ」シルバーキーはこめかみを指で押さえ、ジツの仕草をした。「俺単独でこんな離れた場所に干渉しようとしたら、メチャクチャな骨折りになるところだ。だが、あンたの力を借りれば……」「俺からも頼む」コルヴェットは言った。 24

2019-05-15 23:05:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「あんな場所でくたばるわけにはゆかぬ」「ほう」「何故なら、愛よ」「ほほう!」シルバーキーはにやりと笑った。「そりゃ素晴らしい」「うむ」「ニューロンを、ひらけるか」コルヴェットは頷き、深く集中した。己のローカルコトダマ空間に、シルバーキーを招き入れた……。 25

2019-05-15 23:07:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

01010101……0100101「イヤーッ!」セレクションは翳した手をギンカクに向け、再び力を取り込みにかかる!脈打つギンカクが靄をくすぶらせ、セレクションに吸い込まれてゆく。再び彼のローブは炎と化して輝きを……「イヤーッ!」磔となっていたコルヴェットが不意に顔をあげ、叫んだ! 26

2019-05-15 23:10:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

セレクションは強烈な違和に目を剥いた。その瞬間、彼の求めに倍する速度と勢いで、凄まじいエネルギーが流れ込んだ。「ヌ……グワーッ!?」セレクションは仰け反り、銀の光を吐いた!「イヤーッ!」コルヴェットは翳した右手に左手を添え、更に集中を高めた!セレクションは身をもがく! 27

2019-05-15 23:13:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イイイイヤアアーッ!」「アバーッ!」セレクションが爆発四散!否!弾け飛んだのはその身に取り込んだ銀の炎だ!吹き飛んだ凄まじいエネルギーは大空洞の上方に渦を巻き、悲鳴をあげるギンカクの中へ、再び吸い込まれていった。セレクションは三点着地し、憎々しげにコルヴェットを見た。 28

2019-05-15 23:16:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何をした!」「手品よ」コルヴェットは笑みを浮かべようとした。「ギュンター博士よ。このレリックはどうも、我らが玩具にしてよいものではないようだぞ」「貴様……」「ちと、奇妙な啓示を受けてな」彼は膝をつき、手をついた。「ウム……」霞む目でセレクションを見ようとする。 29

2019-05-15 23:19:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

セレクションは困惑した。だが彼の中に残存する力はそれでも強大であった。カラテが染み出し、装束を補強し、さらに、その手に生じたのは銀の大鎌であった。「イヤーッ!」コルヴェットの首を刈りにゆく!「イヤーッ!」輝く網が展開し、致命の刃を押さえ込む!ブラックヘイズである! 30

2019-05-15 23:24:37
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「イヤーッ!」ブラックヘイズはさらにヘイズネットを投射、セレクションの足を取ろうとした。「イヤーッ!」セレクションは回転ジャンプで逃れ、銀の大鎌を爆散させ、手の中に再び生み出した。ブラックヘイズを目掛け、大鎌の投擲を試みる!「ゴアアアア!」そこにフェイタルが跳びかかった! 31

2019-05-15 23:27:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」セレクションはフェイタルの爪を受け止め、脇腹に蹴りを入れ、地面に叩きつけた。フェイタルはしなやかに地を転がり起き上がった。「ゴウオオオオン!」好戦的な咆哮が空気を震わせる!身を守るセレクション!背後からブラックヘイズが襲いかかる!「イヤーッ!」 32

2019-05-15 23:29:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」セレクションが振り向きざまの大鎌攻撃を繰り出す!ブラックヘイズは鎌を飛び越え、ネットをセレクションの首に飛ばす。セレクションは片手でネットを打ち払う。後ろからフェイタルが襲いかかる!「ゴウオオオン!」「イヤーッ!」セレクションが大鎌で切り払う!アブナイ! 33

2019-05-15 23:31:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」……セレクションの身体がぶれ、鎌斬撃は斜めに逸れた。コルヴェットが人差し指と中指をそろえ、セレクションの足元に向けていた。巻き起こったカゼが散り、コルヴェットは倒れ込んだ。フェイタルにその一瞬のアドバンテージは大きかった!「イヤーッ!」「グワーッ!」 34

2019-05-15 23:33:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

フェイタルの袈裟懸けの爪斬撃がセレクションを切り裂いた!怯んだセレクションの首筋に、ブラックヘイズの手がかかった。腕に巻きつけたネットを辿るように飛びかかった彼はそのままセレクションの首に両手をかけ……力を込めて、栓抜きめいて、ぐるりと回った!「イヤーッ!」「グワーッ!」 35

2019-05-15 23:35:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

その首、二回転半!ブラックヘイズは縦に高く跳んだ。セレクションが呻いた。このレベルの致命攻撃でなお死なぬニンジャ耐久力の持ち主もいる。セレクションはそうしたニンジャだった。歪んだ首をミシミシと軋ませ、なお反撃しようとした彼に、巨大な影が覆いかぶさった。「ゴアアオオオオン!」 36

2019-05-15 23:37:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

フェイタルはセレクションのねじれた首にかじりついた。首に、鎖骨に、胸に、深々と牙を埋めた。溢れ出す血を啜り、噛みしめ、砕き、すり潰した。「GRRRRR!」痙攣するセレクションの身体を振り回し、振り回し……吐き捨てた。「アバーッ!」ズタズタに引き裂かれた残骸がギンカクに衝突! 37

2019-05-15 23:39:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

セレクションは凄まじいありさまで血肉を撒き散らし……「サヨ、ナラ!」爆発四散した!ナムアミダブツ!UUUUUM……ギンカクは憤慨じみた低周波の唸りを発したのち、沈黙した。この衝突爆発四散によって、ギンカク表面に張り付けられた搾取装置もまた、無惨に剥がされていた。 38

2019-05-15 23:42:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

驚くべきことに、これほどの暴力にさらされながら、神秘の石には傷一つ無いのだった。「……フーッ……フーッ……フーッ……」荒い息を吐き、肉片を吐き捨てたフェイタルは、徐々に人の姿に戻ってゆく。そして……カタナ企業戦士達……NRSの影響が薄い者達が徐々に我に返り、銃火器を構えた。 39

2019-05-15 23:45:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ム……」コルヴェットは頭を振って起き上がり、フェイタルに並び立った。「一難去って何とやらか」彼は向けられた銃口の群れを暗澹と見渡した。「ブラックヘイズ=サン!何たる武勲か!」シュルツが興奮してブラックヘイズに叫んだ。「語り継ぎましょうぞ!貴殿のカラテの冴えを!英雄譚なり!」 40

2019-05-15 23:47:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「うむ」ブラックヘイズはシュルツに頷いた。シュルツは足を止めた。ブラックヘイズは葉巻を咥え、点火した。そしてフェイタル達に近づく。「……」フェイタルはブラックヘイズをじっと見る。ブラックヘイズも見返す。そして言った。「いつ気づいた」「は?最初からだ。三文芝居め」彼女は答えた。 41

2019-05-15 23:50:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「もういいッて事だな?」「そうだ」ブラックヘイズは頷いた。「おや。何らかの、なにかかね。成る程な」コルヴェットが合点すると、フェイタルは肩をすくめて認めた。「ン?今、何と?」奇妙な会話をシュルツは聴き咎めた。ブラックヘイズはシュルツを振り返った。「コイツは知らん相手ではない」 42

2019-05-15 23:53:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ヤナマンチのフェイタル、企業傭兵……」シュルツは情報確認めいて言った。「そうだ」と、フェイタル。「今のところはな」「何をお考えだ、ブラックヘイズ=サン」シュルツが呻いた。ブラックヘイズは返した。「ああ。俺はカタナを退職する。コイツが居ようが居まいが、決めていた事だ」 43

2019-05-15 23:56:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アナヤ!ヤナマンチに寝返るというのか!?バカな……!」シュルツはショックのあまり、震えながら数歩後退した。「へっぴり虫のヤナマンチに!何故だーッ!この世に正義は無いのかブラックヘイズ=サンーッ!?」「いや、違う。俺は自由にやる」ブラックヘイズは答えた。シュルツは頭を抱えた。 44

2019-05-16 00:00:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ははは!へっぴり虫!面白い。同感だな」フェイタルは笑った。「私も今、退職する」彼女はヤナマンチの社章ブローチを無雑作に剥がし、指の力で圧し潰し、弾いて捨てた。ブラックヘイズがフェイタルを見た。フェイタルは口の端を歪めて笑った。「お前が居ようが居まいが、辞めるつもりだった」 45

2019-05-16 00:03:47