性犯罪に対する認知行動療法について

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西川公平@CBTセンター @gestaltgeseltz

開業心理室【CBTセンター 滋賀/京都】CEO。「ココロの困りごと」界隈の呟き多め。 座右の銘は「渾沌七竅に死す」。「おもしろきこともなき世をおもしろく」医学博士やけど心理やねん。https://t.co/L93piSwv6I

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まとめ ETV特集「性犯罪をやめたい」 ●2019年6月8日(土) 午後11時00分(60分) ●2019年6月13日(木) 午前0時00分(60分) もう性犯罪をやめたい。そう願う人たちが集まる精神科クリニックが横浜にある。ここでは、性犯罪を何度も繰り返す人たちを性嗜好(しこう)障害として治療し、性犯罪の再発を防ぐためのプログラムが行われている。今回、半年にわたる密着ロケが許された。痴漢、盗撮、のぞき、強制性交等…さまざまな性犯罪で逮捕歴のある人たちの声に耳を傾けると、彼らの犯行パターン、思考回路、そして社会に潜む意外な盲点が見えてきた。 【語り】高橋光臣 https://www4.nhk.or.jp/etv21c/2/ 33894 pv 93 37 users 43
西川公平@CBTセンター @gestaltgeseltz

【性犯罪に対する認知行動療法について】 CBTセンターではプログラムを提供してるので、Eテレは見てないんやけど、便乗してあれこれ書いてみようと思う。 そもそもうちが始めたきっかけは、保護観察所の性犯罪CBTプログラムのSVに呼ばれたから。

2019-06-09 00:12:57
西川公平@CBTセンター @gestaltgeseltz

性犯罪は、実のところそこまで再犯が多い困り事ではない。 十数%再犯する人はするけど、しない人はしない。 これまで数多くのやり方が試されてきた。収容・厳罰、外科療法、化学療法、精神療法、社会的制裁、位置情報の取得など。

2019-06-09 00:17:14
西川公平@CBTセンター @gestaltgeseltz

まずは外科療法として去勢するのがある。また、化学的に勃たなくなる薬を入れるのもある。 倫理的な問題から、それらの処置は本人が望まないとできない事になっていて、それらを望むような方々は、そもそも再犯リスクが極めて少ない一群なので、効果のほどは不明です。

2019-06-09 00:20:16
西川公平@CBTセンター @gestaltgeseltz

次は、社会的なやつ。厳罰化、つまり罰金を高くしたり、刑務所への収容期間を長くしたりする事は、再犯防止に特に役立つわけでは無かった。 名前と顔を晒したり、GPS付けたりする奴は、最近の奴だからエビデンス知らないけど、根が厳罰化と同じだから、効きそうにもない個人的には思う。

2019-06-09 00:25:24
西川公平@CBTセンター @gestaltgeseltz

精神療法の場合。 精神分析は、より一層静的な妄想に耽らせることになって、害だった。 アンガーマネジメントは、より冷静に犯罪を犯すようになった。 行動療法は治療中は良かったが、終わると元どおりになった。 認知行動療法だけが数%再犯を減らした。

2019-06-09 00:29:52
西川公平@CBTセンター @gestaltgeseltz

みたいなデータをアメリカが出して来たので、じゃあ日本でもやれ、と上が言い出した。 現場は大変。 とりあえずマニュアル作った。 運用これで合ってるの??みたいな導入時期に、冒頭のお声がかかり、数年ほど保護観察所にSVしに行くことになった。

2019-06-09 00:36:36
西川公平@CBTセンター @gestaltgeseltz

保護観察所って大変だなと思うのは、何年か行くと、職員の入れ替わりが激しくて、継続研修と思いきや、毎年最初から話す、みたいなことになる。 まあでも、司法は法の下の厳しさがあるねと思った。

2019-06-09 00:39:45
西川公平@CBTセンター @gestaltgeseltz

とりあえずバタバタで日本の司法に導入された認知行動療法だったけど、それでもなお、ちゃんと再犯予防効果が出たのね。 ただしそれは、軽い性犯罪(盗撮、下着泥棒、痴漢、覗き、露出など)に対してのみで、少なくとも当初は重い性犯罪(強姦とか)には、あんまり効果なかった。 今は知らんけど。

2019-06-09 00:47:48
西川公平@CBTセンター @gestaltgeseltz

なので、うちのプログラムも対象は軽い性犯罪に限っている。 そして、そのようなプログラムを提供する機関があまりにも少ないために、結構遠方からでもクライアントさんがお越しになる。 電車で2時間とか、ざらです。

2019-06-09 00:51:50
西川公平@CBTセンター @gestaltgeseltz

半分くらいの人は、本人または家族がネットで検索して来る。 もう半分ぐらいの人は、弁護士に勧められて来る。 若い人もいればそれなりの年の人もいるけど、基本男性。 既婚者も多く、ほぼ有職者(ないし学生) いわゆるムショクノフシンシャみたいな人は来ないし、本当にいるかもわからないな

2019-06-09 00:56:12
西川公平@CBTセンター @gestaltgeseltz

性犯罪加害行為は、併存する他の精神疾患の症状としてもありえるし、そうじゃないこともあり得る。 例えば、統合失調症、発達障害、双極性障害、うつ病などの症状が関与してることがある。 しかし、CBTセンターに来ている性犯の方々は、あまりそういう事が無く、その分CBTは勧めやすい

2019-06-09 07:48:28
西川公平@CBTセンター @gestaltgeseltz

行動嗜癖の人たちは、ストレス対処のレパートリーが限定されてしまっているというのがある。逆に行動嗜癖がレパートリーを狭めると言うか、熱中すると他のことが目に入らなくなる。 そういう意味では、「~すると楽しいな」のレパートリーを広げていくことがとても重要。 pic.twitter.com/F0fuM1B3zH

2019-06-09 08:00:27
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西川公平@CBTセンター @gestaltgeseltz

対処(コーピング)のレパートリーが狭いと、性犯罪の大きなトリガーの一つ「ヒマで持て余した時間」が出現しやすくなる。 丁寧にアセスメントすれば一連の性犯罪行動は、偶然目の前にある下着や女性に対して誘発されていない。 そのかなり前の、家を出る更に前からスタートしている。

2019-06-09 08:05:05

🍀いちは🍀 @BookloverMD

痴漢など性犯罪者への薬物療法としてSSRIを用い、副作用の「勃起不全」を逆手にとって再犯防止に……、場合によっては抗精神病薬も……、という記述には若干モヤモヤ。 そもそも、そんな適応外使用を堂々と書いて大丈夫なのか!? 『男が痴漢になる理由』 amzn.to/2KvRZlu

2019-06-06 19:40:22
🍀いちは🍀 @BookloverMD

というか、著者も「多くの痴漢は勃起していない」「痴漢は性欲解消のためではない」というようなことを書いているので、この薬物療法とは少々相容れないのではないかという気がする。 もちろん、そういうケースもあるということで書いているのだろうけれど。

2019-06-06 20:02:51
西川公平@CBTセンター @gestaltgeseltz

@BookloverMD 薬理的去勢はエビデンス無いですけどね、確か。

2019-06-06 20:11:13

西川公平@CBTセンター @gestaltgeseltz

滋賀と大阪とWEBで、定期的な認知行動療法の事例検討会を行っています。 有職専門家であればどなたでも参加できます。 医師、心理師、看護師、EAPの方、作業療法士、施設職員さん、大学の先生、大学院生さん、などメンバーは多彩です。 お気軽にご登録・ご参加ください。 studygroup.cbtcenter.jp/area.php pic.twitter.com/5u0lRwRcsd

2019-06-07 16:57:33
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リンク studygroup.cbtcenter.jp 一般社団法人 CBTを学ぶ会のページ - CBTを学ぶ会 認知行動療法を日本全国で学べるようにするために設立された法人です。研修企画や後援、SVなどを行っています。 302